日本補完代替医療学会誌
Online ISSN : 1348-7930
Print ISSN : 1348-7922
4 巻 , 1 号
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総説
  • 大西 武雄
    2007 年 4 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/14
    ジャーナル フリー
    細胞に温熱処理を施すと X 線の場合と同様に,生体内では細胞の運命を決定するキータンパク質であるがん抑制遺伝子産物 p53 を中心としたシグナルトランスダクションが誘導されることを我々が世界に先駆けて発見した.正常型 p53 遺伝子をもつがん細胞は変異型 p53 がん細胞に比べて温熱で Bax, Caspase-3 を経たアポトーシスが誘導されやすく,温熱に感受性であり,ハイパーサーミア治療に適している.しかし, 変異型 p53 がん細胞に対してもグリセロールや p53C 末端ペプチドを利用した分子シャペロン治療,アポトーシス促進・細胞分裂抑制を標的とした化学物質や siRNA を利用した標的がん治療,p53 遺伝子を利用した遺伝子治療などで有効な治療開発に成功してきており,臨床への応用が期待されている.現在のハイパーサーミア治療においても放射線療法,化学療法,外科療法との併用を行うことによって,より効率的ながん治療を工夫することもできる.いま,その治療増進のしくみを分子生物学的手法で科学している.
  • 谷中 昭典, 田内 雅史, 山本 雅之, 兵頭 一之介
    2007 年 4 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/14
    ジャーナル フリー
    ブロッコリーの芽に含まれるスルフォラファン (Sfn) は,酸化ストレス応答転写因子 nrf2 を活性化することにより,細胞内の抗酸化酵素群を誘導し,酸化ストレスによる細胞障害を防止し,in vitro において抗 H. pylori (Hp) 作用を発揮する.我々は,Hp 感染マウス,およびヒト Hp 感染者において,Sfn 含有食品であるブロッコリースプラウト (BS) の摂取により Hp 胃炎を予防しうるか否かについて検討した.その結果,BS 投与によりマウス,ヒト両者において,Hp 菌数は減少し,胃炎は軽減した.以上より,Sfn 含有食品である BS の摂取により,Hp 胃炎の軽減効果が確認され,Sfn による胃癌予防効果が示唆された.
  • 山下 仁, 津嘉山 洋
    2007 年 4 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/14
    ジャーナル フリー
    鍼の臨床研究には未だ解決されていない方法論上の問題が存在する.薬剤のランダム化比較試験 (RCT) でいうところのプラセボ錠に相当するものとして,偽鍼群や偽経穴刺鍼群を設定している鍼の RCT は近年多く実施されるようになった.しかし偽鍼は皮膚に触圧刺激を与えたり鍼を浅く刺入したりしているため,プラセボ錠と同等のものと認識することは適切でない.最近では現時点で最も日常的に行われている治療法よりも,それに鍼治療を加えたほうが効果的かということを検証した pragmatic RCT も推奨されている.
    何を対照群として臨床試験を行うかという点だけでなく,国による偽鍼群設定の妥当性の違いや,非経穴刺鍼による治療効果など,鍼灸の RCT には多くの未解決の問題がある.最近では欧米でも,鍼灸独特の環境によって生じる効果も含めた評価の必要性を示唆する研究者も現れるようになった.
    鍼灸,特に鍼治療が安定して医療の中に位置づけられるためには,論理的にも臨床的にも妥当な研究方法論によって有効性・安全性・経済性のエビデンスが示されなければならない.同時に,現在の研究方法論が鍼灸の本質を正しく評価しているかどうかについても再検討してゆく必要がある.
  • 新田 紀枝, 川端 京子
    2007 年 4 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/14
    ジャーナル フリー
    緩和ケア病棟の看護師による補完代替医療 (CAM) の習得と実施の現状を明らかにすることを目的に全国調査を行った.調査票は看護師 907 名(回収率 77.3%)から回収された.9 割の者が看護ケアとして CAM を実施したことがあり,CAM の関心,身体的,精神的効果の認識,必要性の認識はいずれも高かった.看護基礎教育で学習する機会があったマッサージや足浴,罨法がよく実施されていた.身体的,精神的症状に応じて異なる CAM が使用されていた.実施上の問題点として「技術が未熟」,「時間の不足」,「効果の評価ができていない」があげられた.CAM の習得上の要望には,講習会の開催に関するものが多かった.看護ケアとして CAM を実施していくためには,各種 CAM のエビデンスの蓄積と看護基礎教育,継続教育における CAM の教育プログラムの充実が必要であると考えられた.
原著
  • 大野 智, 大野 由美子, 鈴木 信孝, 川越 信秀, 新井 隆成, 井上 正樹
    2007 年 4 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/03/14
    ジャーナル フリー
    【目的】喫煙と発癌との因果関係は数多く報告されている.今回,我々は喫煙による有害作用として,活性酸素による DNA 酸化修飾物質であり発癌との因果関係も指摘されている 8-ヒドロキシデオキシグアノシン (8-OHdG) を指標に抗酸化成分による介入試験を行った.
    【対象と方法】健康な喫煙者(男性 6 名,女性 6 名,平均年齢 38 歳,平均 Brinkmann 指数 264)を対象に行った.抗酸化成分として PICACE® (Pycnogenol® 15 mg/capsule, Vitamin E; 56.1 mg/capsule, Squalene; 138.9 mg/capsule) 4 カプセル/日を 14 日間服用し,服用前,服用後 3,7,14 日目,服用終了後 1 ヶ月目の尿中 8-OHdG を高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法で測定した.
    【結果】服用 3 日目の尿中 8-OHdG は,クレアチニン換算値で 3.7±1.3 ng/mg CRE(平均±標準偏差)で,服用前の 5.0±2.0 ng/mg CRE より有意に低下していた (p<0.01).服用終了後 1 ヶ月目の尿中 8-OHdG は,4.7±0.9 ng/mg CRE であり,投与中止によって再上昇した.
    【結論】抗酸化成分複合物である PICACE® は,喫煙による DNA 酸化傷害を抑制することが示唆された.
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