行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
21 巻, 2 号
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  • 中尾 睦宏, 野村 忍, 久保木 富房, 末松 弘行, 下澤 達雄, 藤田 敏郎
    原稿種別: 本文
    1995 年21 巻2 号 p. 71-78
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    高血圧患者10名を対象にパイオフィードバック療法による白衣高血圧症の降圧効果の検討を行なった。治療前の自己血圧値と医師測定値が収縮期において25mmHg以上差があった者を白衣高血圧群(以上W群;5名),それ以外の者をN群(5名)とした。治療は週1回計4回行なった。治療による自己血圧の低下はわずかであったが,医師測定血圧は,収縮期でW群18mmHg,N群11mmHg,拡張期圧でW群11mmHg,N群8mmHg低下し,W群の降圧が著しかった.また,暗算負荷テストによる血圧上昇もW群の方が治療による抑制が著しかった。本治療法にストレスによる昇圧反応を抑制する効果があり,白衣高血圧によい適応があることが示唆された。
  • 福井 至, 西山 薫
    原稿種別: 本文
    1995 年21 巻2 号 p. 79-91
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    論理情動療法に基づく2つのタイプのコソピューター・アシスティド・カウンセリソグ(CAC)のためのプログラムを作製した。1っはクライエソトの信念が合理的か不合理かをフィードバックし,合理的信念を教えるプログラムであった。もう1つはクライエントの信念が合理的か不合理かをフィードバックし,不合理な信念について洞察させ,さらに不合理な信念について論駁した上で,合理的信念を教えるプログラムであった。このプログラムの効果検証のために,以下の2つの実験をおこなった。実験1においては特性不安の高い女子短大生をランダムに3っの群にわけ実験をおこなった。第1群は前者のタイプのCACプログラムでカウソセリングを1回受ける群(F-CAC群)であり,第2群は後者のタイプのCACプログラムでカウソセリソグを1回受ける群(D-CAC群)であり,第3群はControl群でありCACプログラムによるカウンセリソグ)を受けない群であった。この結果,F-CAC群とD-CAC群においては不合理な信念の変容が示された。また,D-CAC群においては,SADSで測定された不安の低減が示された。実験2においては,高不安の学生に後者のタイプのプログラムを用いて約3週間の期間で5回カウンセリングを実施した。その結果,実験1よりも大きな不合理の信念の変容と,STAI(S-F-ORM),SADS,FNEで測定された不安の低減,そしてSTAI(T-FORM)とMASで測定された不安の低減傾向が示された。これらのことから,論理情動療法に基づくCACにより,不合理な信念の変容と,不安の低減が可能であることが明らかとなった。
  • 内田 一成
    原稿種別: 本文
    1995 年21 巻2 号 p. 92-101
    発行日: 1995/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,NDRA(naturalDRA,内田,1987)における自然的強化事象に対応づけて拮抗行動の系統化を図れぽ,その質的向上がもたらされ,間接的に同一性保持行動も軽減されるという臨床仮説を検討した。CAとMAの同等な自閉症児各2名について,NDRAにおいて選定されたGSB対応の身体運動遊びとLSB対応の玩具遊びそれぞれの質的水準を系統的に操作した。新たに自閉症児2名を追加して,同一性保持行動を全状況的に評価した。その結果,1)NDRAの系統的操作は,示範提示と人為的強化刺激がなくても,象徴的な身体運動遊びと玩具遊びを有意に増加させた。2)身体運動遊びと玩具遊びの質的向上は同一性保持行動を有意に減少させたが,その効力は前者の方が顕著であった。本知見は,最少制約環境ないしは非障害児者の通常の地域社会において,NDRAの系統的操作が自閉症児の社会性発達を促進する本質的な役割を演じることを示唆した。
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