行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
25 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 内山 喜久雄
    原稿種別: 本文
    1999 年25 巻2 号 p. 1-9
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    この度、日本行動療法学会が迎えた創立二十五周年を契機として、まず、我が国における行動療法の誕生の経緯と初期の活動について、関係文献、研究活動、関連領域、本学会設立経過等を中心として考察した。次いで、研究成果の概況や展開状況に触れ、ひるがえって大会開催地域の偏在、会員数の伸び悩み等の問題について検討するとともに、これと関連して我が国における行動療法の発展上の隆路についても分析を加えた。さらに、最近多くの会員の関心を集めている認知行動療法について取り上げ、最後に今後の行動療法研究のあるべき姿について期待をこめつつ展望を試みた。
  • 松本 聰子, 熊野 宏昭, 坂野 雄二
    原稿種別: 本文
    1999 年25 巻2 号 p. 11-23
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は父親,母親,同胞,女友達,男友だちのうち誰からの「やせに対する社会的圧力」という社会的影響が最も強く,そしてどのように摂食障害の発現に影響しているのかを明らかにすることであった.なお,対象は女子学生2,866名,平均年齢は17.20歳(SD=1.81)であった.その結果,いずれの社会的影響も自己像不満,やせ願望,摂食障害傾向,そしてダイエット行動と関連しており,その中でも女友達からの影響は最も関連が強く,父親からの影響は最も弱いことが明らかにされた.また,重回帰分析の結果から,自己像不満には肥満度の影響度の方が社会的影響よりも強かったが,その他の変数に対しては社会的影響の方が強いことが示された.パス解析の結果,肥満度は自己像不満を媒介してのみ、一方,社会的影響は自己像不満とやせ願望,そして食事強迫に直接影響し,それらを媒介してダイエット行動に結びついていることが明らかにされた.
  • 松岡 勝彦, 菅野 千晶
    原稿種別: 本文
    1999 年25 巻2 号 p. 25-35
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、15歳の発達障害児に対して、実際の店舗におけるレジ並び行動が可能となるための形成技法について検討を行った。ここではレジに並ぶ行動を、(1)列の最後尾に位置する行動、(2)前の客がつめた後に自分もつめる行動、(3)自分の番になってはじめて支払いを開始する行動という3つの標的下位項目から構成した。訓練室ではシミュレーション訓練を行い、実際の店舗では般化の測定を行った。訓練前の対象児は、いわゆる「割り込み」など不適切な行動を頻繁に行っていたが、訓練によりスーパーマーケット、およびコンビニエンスストアのレジに適切に並ぶことが可能となった。本研究の結果から、様々な列のパターンを訓練することにより、特にコンビニエンスストアなど、比較的流動的に形成される列においても、適切に並ぶことが可能になったと考えられた。
  • 小野 昌彦, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    1999 年25 巻2 号 p. 37-45
    発行日: 1999/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    小学5年生女子不登校(10歳)に対して、再登校行動の形成を目的として介入を実施した。そして、その有効性と問題点の検討を行った。 本症例は、不登校発症前の要因として、社会的スキル、特に書三張的スキルの欠如が考えられた。主養育者が祖母から母親に交替した後、彼女の対人関係困難場面からの回避行動を母親が強化的対応をしてしまったことにより、不登校が誘発されたと考えられた。彼女が家庭に滞留する行動が、母親からの世話やき、電話掛けといった強化刺激が提示され、維持されていると分析された。 彼女への介入として、かかわりの形成、社会的スキル訓練、体力訓練、学習指導、単独通室訓練、親指導が導入された。2期(2ヶ月間)、9セッションの介入の結果、再登校が開始した。予後も良好であった。 かかわり形成が困難な事例の場合、行動アセスメント項目として、友人関係における正の要因が何であるか、欠如しているか、習得の可能性や手順はどうかが問題となる。
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