行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
26 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 陳 峻文, 貝谷 久宣, 坂野 雄二
    原稿種別: 本文
    2000 年 26 巻 2 号 p. 57-68
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、患者がエクスポージャーを実施する際の困難点を検討した上で患者教育を行い、患者教育がエクスポージャーの実施に及ぼす影響を検討することを目的とした。予備調査によって患者がエクスポージャーを実施する際に感じる困難点を明らかにした上で、研究1では、患者教育前後の患者の自己効力感の変化を検討した。その結果、患者教育前に比べ、患者教育後には、エクスポージャーを実施できるというセルフ・エフィカシーや、自らエクスポージャーを実行する意欲が高くなることがわかった。研究2では、エクスポージャー実施に及ぼす患者教育の効果を検討した結果、患者教育あり群は患者教育なし群よりも症状をコントロールできるというセルフ・エフィカシー、エクスポージャーが実施できるというセルフ・エフィカシーが有意に高く、エクスポージャー後の状態不安とSDSの得点が低下することがわかった。最後に、エクスポージャー実施に先立つ患者教育の意義が議論された。
  • 足達 淑子, 温泉 美雪, 曳野 晃子, 武田 和子, 山上 敏子
    原稿種別: 本文
    2000 年 26 巻 2 号 p. 69-82
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    1歳6か月児健診を利用して、その母親182名に養育行動に関する質問票調査を行い、育児ストレスと養育スキルや認知との関係を検討した。その結果、大多数の母親は育児に疲れて戸惑いつつも、相談相手や支援者がいて、育児を楽しみ前向きにとらえるなど健全な養育行動をとっていることがわかった。しかし、児の困った行動への対処法やストレス対処のスキルが乏しかったり、否定的な認知を示したり、夫との交流が乏しいなどが10〜20%あり、これらは養育の高危険群であることが示唆された。抑うつ、イライラ、健康上の悩みの育児ストレス反応は、排泄やかんしゃく等、子どもの行動で養育上困っていることの数、不適応的なストレス解消法、育児についての否定的な感想などと相関していたことから、この時期に養育スキルとストレス対処に関する親訓練を行うことは育児支援として有望であると結論した。
  • 金山 元春, 後藤 吉道, 佐藤 正二
    原稿種別: 本文
    2000 年 26 巻 2 号 p. 83-96
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では、小学3年生63名を対象に、孤独感低減に及ぼす学級単位の集団社会的スキル訓練(集団SST)の効果について検討した。児童らは、学級ごとに訓練群と統制群に振り分けられた。3つの標的スキル(規律性スキル、葛藤解決スキル、社会的働きかけスキル)を訓練するために、8セッションからなる学級を単位とした集団SSTが訓練群に対して行われた。研究1では、訓練の直後査定が実施された。その結果、訓練群の児童は、統制群に比べて、自己報告による社会的スキル得点に有意な増加を見せていたことがわかった。また、教師評定尺度においても、訓練群に社会的スキル得点の有意な増加と問題行動得点の有意な減少が確認された。さらに、統制群に比べて、訓練群の孤独感得点に有意な評定得点の減少が認められた。これらの結果は、集団SSTが児童の孤独感低減に寄与していたことを示唆している。さらに、研究IIにおいて検討されたフォローアップ査定の結果、これらの訓練効果が、訓練終了後6か月を経過した時点まで維持されていたことが示された。
  • 宮野 秀市, 貝谷 久宣, 坂野 雄二
    原稿種別: 本文
    2000 年 26 巻 2 号 p. 97-106
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、簡易型VRエクスポージャーを雷恐怖症に適用し、その効果を継時的に評価することであった。市販されている頭部搭載型ディスプレイとボディソニック装置を利用して、従来のVRエクスポージャーと比べて安価で操作が簡便な簡易型VRエクスポージャーシステムを構築した。症例は43歳の女性で、これまで17年間、雷恐怖に苦しんできたが、19セッションの介入の結果、質問紙で測定された雷に対する恐怖反応は顕著に低減し、雷によって日常生活が阻害されることもなくなった。2か月後、7か月後のフォローアップにおいても治療効果は維持されていた。本研究により、簡易型VRエクスポージャーが雷恐怖の治療に有効であることが示された。また、仮想環境における臨場感に影響を及ぼす刺激呈示法や臨場感と治療効果の関係について考察した。
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