通院中の緑内障,高眼圧症患者の心理的,身体的特徴を面接,タイプA行動質問紙法で捉えた。その結果,18人の緑内障患者のタイプA行動の平均得点は22人の健常者の平均得点に比べて有意に高かった。緑内障患者は心理的緊張が強く,身体的にも過緊張状態がみられた。そこで,心身の緊張を緩和させるために,ATを中心とする心理的アプローチを試み,症状がどのように変化したか検討した。ATを習得した患者全員の症状が緩和し,ATの実施によって,眼圧不安定だった緑内障,高眼圧患者8例中6例において,統計的に有意な眼圧下降が認められた。これらの結果から,緑内障患者は,交感神経系が充進状態にあることが推測され,ATを中心とした心理的アプローチが,一部の患者の症状緩和に有効であることが確かめられた。
抄録全体を表示