行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
22 巻, 1 号
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  • 相川 裕子, 土屋 利紀, 原田 一道, 高山 巌
    原稿種別: 本文
    1996 年 22 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    通院中の緑内障,高眼圧症患者の心理的,身体的特徴を面接,タイプA行動質問紙法で捉えた。その結果,18人の緑内障患者のタイプA行動の平均得点は22人の健常者の平均得点に比べて有意に高かった。緑内障患者は心理的緊張が強く,身体的にも過緊張状態がみられた。そこで,心身の緊張を緩和させるために,ATを中心とする心理的アプローチを試み,症状がどのように変化したか検討した。ATを習得した患者全員の症状が緩和し,ATの実施によって,眼圧不安定だった緑内障,高眼圧患者8例中6例において,統計的に有意な眼圧下降が認められた。これらの結果から,緑内障患者は,交感神経系が充進状態にあることが推測され,ATを中心とした心理的アプローチが,一部の患者の症状緩和に有効であることが確かめられた。
  • 松本 聰子, 織田 正美, 坂野 雄二
    原稿種別: 本文
    1996 年 22 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,nonclinical群における気晴らし食い(binge eating:BE)に関わる心理的特徴を明らかにし,過食(over eating:OE)との違いを検討することであった.ダイエットの習慣に対する質問,BE調査票,食行動調査票(EAT),そして食行動異常調査票(EDI)を高校生と大学生(計186名)に実施した.さらに被験者はBE調査票に基づいて,BE群,OE群,そしてnormal群(N群)の3群に分類された.3群を比較した結果,BE群はN群やOE群より,自己像不満や肥満恐怖が高く,また情緒的に不安定であった.さらに,BE群は他の2群より高頻度でダイエットを実行しており,より歪んだボディ・イメージを抱いていることが示唆された.重回帰分析の結果,OEにはダイエットが影響しているが,BEにはダイエットと肥満恐怖が強く影響していることが明らかにされた.
  • 松岡 勝彦, 野呂 文行, 小林 重雄
    原稿種別: 本文
    1996 年 22 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,自閉症生徒2名を対象に条件性確立化操作(Michael,1993)を適用し,道具に対する要求言語行動を形成した。その際,社会的で柔軟な要求という観点から,対象生徒による道具の要求が充足されないときには,機能的に等価と考えられる代替道具を要求する訓練を行い,その形成に必要な訓練変数について検討した。その結果,単一の確立化操作に対して,機能的に等価と考えられる代替道具の要求反応を形成することにより,複数の確立化操作間で道具要求反応の刺激性制御が転移したことが示された。このことにより,訓練で使用された場所や課題以外においても,「活動を完成させるために必要となる道具」の機能が一致していれば,その要求反応が転移するということが明らかになった。
  • 塚本 真紀, 岩永 誠, 生和 秀敏
    原稿種別: 本文
    1996 年 22 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 1996/03/31
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究では,ピアノ演奏の実技試験場面を用い,パフォーマンス不安状況における身体症状知覚について検討を行った.音楽大学生女子196名を対象に,試験終了直後に身体症状知覚を含めた演奏不安についての調査を行った.その結果,ピアノ演奏場面においては,演奏を直接的に阻害するような手足や指先の身体症状が,全身的な身体症状に比べて知覚されやすいことが明らかになった.重回帰分析の結果,手足や指先の身体症状の知覚は,症状知覚以外の演奏中の不安反応とともに,演奏後の不安に促進的な影響を及ぼすことが明らかになった.一方,全身的な身体症状の知覚は演奏後の不安に有意な影響を及ぼしていないことが示された.
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