行動療法研究
Online ISSN : 2424-2594
Print ISSN : 0910-6529
24 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 福井 至
    原稿種別: 本文
    1998 年24 巻2 号 p. 57-70
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,抑うつと不安を引き起こす認知内容を測定するための質問紙を開発し,抑うつと不安の相関を認知内容から説明できる認知行動モデルを構築することであった。抑うつと不安を引き起こす認知内容を測定する項目選択とそれらの項目についての因子分析の結果,「将来否定」「脅威・嫌悪状況予測」「自己否定」「過去・現在否定」「状況の脅威度・嫌悪度」の各10項目ずつの5つの下位尺度からなるDACSが作成された。またDACSとDepressionandAmdetyMoodScaleを用いた共分散構造分析から,「抑うつ気分」は「将来否定」から引き起こされ,この「将来否定」は「過去・現在否定」と「自己否定」から引き起こされること,他方「不安気分」は「抑うつ気分」と「脅威・嫌悪状況予測」から引き起こされ,この「脅威・嫌悪状況予測」は「過去・現在否定」と「状況の脅威度・嫌悪度」から引き起こされることが示された。これらの結果から,抑うつと不安の両者を引き起こす共通の認知内容の「過去・現在否定」によって抑うつと不安の相関が説明できる,新しい抑うつと不安の認知行動モデルが構築された。
  • 佐藤 正二, 佐藤 容子, 高山 巌
    原稿種別: 本文
    1998 年24 巻2 号 p. 71-83
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究は、3名の引っ込み思案幼児の社会的スキルの長期的維持を出現させるために、(1)社会的スキル知識を促進する訓練室でのコーチング、(2)社会的スキル実行を促す自由遊び場面でのコーチング、(3)トレーナーによる構造化された遊び場面の設定、(4)訓練場面への仲間の参加とを組み合わせた社会的スキル訓練(SST)を構成した。15セッションからなるSSTを受けた訓練対象児は、訓練終了後、仲間に対する働きかけ、仲間からの働きかけ、協調的行動を増加させ、社会的孤立行動を減少させた。さらに、一年後のフォローアップ査定では、3名中2名の訓練対象児が、訓練効果を維持していることが分かった。これら2名の訓練対象児のポジティブな行動変容は、担任教師による社会的行動評定得点にも反映されており、本研究で実施されたSSTが長期的維持を効果的に促進していたことが実証された。
  • 鈴木 伸一, 熊野 宏昭, 坂野 雄二
    原稿種別: 本文
    1998 年24 巻2 号 p. 85-97
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2019/04/06
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,嫌悪状況における心理・生理的反応に及ぼす対処行動の影響を検討することであった.男子大学生40名が,effort対処群,distress対処群,effort-distress対処群,統制群に振り分けられた.そして,対処実行中,および電撃の到来予期中のHR,血圧,皮膚コンダクタンスレペル,心理的ストレス反応が比較された.主な結果は以下の通りである(1)effort型の対処行動は,対処実行中の心臓血管系の反応を強めるが,電撃予期中の心理・生理的反応を鎮静した.(2)distress型の対処行動は,対処実行中の皮膚電気活動や心理的反応を強めるとともに,電撃予期中の皮膚電気活動も上昇させた.(3)Effort-Distress型の対処行動は,対処中,および電撃予期中の心理・生理的反応を比較的高い状態に維持させた.
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