日本公衆衛生看護学会誌
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12 巻, 2 号
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巻頭言
総説
  • 石上 愛夏, 榊󠄀原 文
    2023 年 12 巻 2 号 p. 89-98
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/30
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    目的:新聞記事に基づく分析により,新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)流行下における地域のつながりを維持するための工夫を明らかにする.

    方法:読売新聞を対象紙とし,データベースを用いて,「コロナ」,「地域」,「つながり」のキーワードをandでつないで検索を行い,49件の記事を分析対象とした.地域のつながりの維持に関する文脈を抽出してコード化し,類似するコードを統合してカテゴリー化した.

    結果:COVID-19流行下での地域のつながりを維持する工夫として,《屋外での交流》《感染対策を講じた屋内での交流》の集合型と,《オンラインによる対面交流》《メッセージを交わす》《メッセージを届ける》《物を介した交流》《つながりを感じられるように住民の作品を展示する》の非集合型が示された.

    考察:感染状況に応じて集合型の交流を取り入れること,COVID-19流行を機に新たなつながりを築くこと,地域のつながりを健康づくりへと発展させることが重要である.

原著
  • 中尾 凪沙, 瀬尾 采子, 戸村 友美, 石附 史帆, 刀稱 華未, 平野 美千代
    2023 年 12 巻 2 号 p. 99-108
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/30
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    目的:新型コロナウイルス感染症流行下における都市部在住男性高齢者の社会的孤立とInformation and communication technology(以下,ICT)および人づきあいとの関連を明らかにする.

    方法:対象は65~79歳男性900名とし,無記名自記式質問紙調査を実施した.調査項目は,ICT利用実態,人づきあいの状況,社会的孤立等とし,分析は社会的孤立を非孤立群,孤立群の2群に分け,二項ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:回収数は442 部,有効回答数435部であった.非孤立に有意に関連したのは,電話の利用頻度(odds ratio [OR]=1.23),メールの利用頻度(OR=1.19),直接会って会話をする頻度(OR=1.21),近所づきあいの程度は,「ほとんどない」を基準に「多少のつきあいがいある」(OR=4.16),「親しくつきあっている」(OR=4.80)であった.

    考察:COVID-19流行下における男性高齢者の社会的孤立の防止には,身近な人たちとの対面交流によるつながりの実感や,電話・メール等による双方向のコミュニケーションが有効であることが示された.

研究
  • 岡野 明美
    2023 年 12 巻 2 号 p. 109-118
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/30
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    研究目的:保健師を対象とした認知症高齢者の生活支援に向けた地域包括支援センターのコーディネーション尺度の3職種への適用可能性を検証する.

    研究方法:全国の地域包括支援センターで認知症高齢者支援を行う保健師等,社会福祉士,主任介護支援専門員を対象に,郵送法による無記名自記式質問紙調査を2020年10月~11月に行った.調査内容は,個人属性,保健師を対象に作成した認知症高齢者のコーディネーション尺度,外部基準尺度,地域ケア会議年間参加回数,地域診断実施の有無であった.

    結果:543名に郵送し432名の回答から有効回答356名を調査対象とした(有効回答率,65.6%).項目分析の結果除外はなく25項目を探索的因子分析した.4因子23項目が抽出された.Cronbach’s α係数は0.84~0.95であった.外部基準尺度との関連では全てに正の有意な相関が認められた.既知グループ法による2群差には有意差が認められた.

    考察:改変した尺度の3職種への適用性が確認された.

  • 吉岡 千夏, 内村 利恵, 小寺 さやか
    2023 年 12 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/30
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    目的:外国人結核患者のDOTSにおける保健師の支援内容を明らかにする.

    方法:外国人結核患者の服薬支援を経験した保健師に支援内容や支援の意図等について半構造化面接を実施し,質的記述的に分析した.

    結果:保健師は,治療開始期には《治療への障壁の緩和》《文化の違いを超えた対象理解》《日頃の関係性を基軸とした医療機関との連携》により確実に治療につないでいた.治療継続期には《文化に配慮した服薬の動機づけ》《支援者の発掘と協働》《医療との橋渡し》《治療に専念できる環境の整備》により治療中断を防ぎ,個別事例を通して《地域全体の課題の把握》を行っていた.全期間を通して,【相互理解のための歩み寄り】《言語的ハードルの緩和》に努めていた.

    考察:外国人結核患者との意思疎通の試み,文化の相違や社会経済的困難を理解する姿勢,フォーマル・インフォーマルな関係者との連携が治療成功につながる可能性が示唆された.

活動報告
  • 岩本 萌, 中野 久美子, 松永 篤志, 藤﨑 万裕, 大森 純子
    2023 年 12 巻 2 号 p. 128-136
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/30
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    目的:B県A市はCOVID-19の感染が急拡大し,保健所機能がひっ迫する事態に陥った.応援要請を受け,大学教員と大学院生がCOVID-19保健所業務の支援に参加した.保健所と大学が連携する上での課題と今後の示唆について考察することを目的とした.

    方法:地元の医療・看護系5大学の教員と看護系大学院生計64名が2021年3月中旬より約1ヶ月半支援を行った.支援終了後に支援活動の振り返りを行った.

    活動内容:他自治体派遣職員と大学教員・大学院生が協力して活動を行うための支援体制を構築し,その維持を図り,業務支援を行った.業務内容は,自宅待機者の健康観察,陽性判明時疫学調査,PCR陽性者が滞在していた施設調査であった.

    考察:効果的な支援活動の展開には,業務マネジメントやシフト管理を保健所と相談しながら綿密に行う必要があり,状況変化に応じた支援ニーズへの迅速な対応の必要性が示唆された.

国際委員会報告
学術実践開発委員会報告
編集委員会企画
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