日本公衆衛生看護学会誌
Online ISSN : 2189-7018
Print ISSN : 2187-7122
ISSN-L : 2187-7122
12 巻, 1 号
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巻頭言
研究
  • 藤本 尚子, 小林 真朝
    原稿種別: 研究
    2023 年 12 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
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    目的:女性の生活保護受給者に対して福祉事務所の保健師が行う支援について記述する.

    方法:4名の福祉事務所の保健師にインタビューを行い,質的記述的に分析した.

    結果:『世帯の生活の安定を目指して伴走する』がコアカテゴリーとして,【味方であると認識してもらうような態度で接する】【世帯の貧困が子どもに及ぼすリスクを見越して見守る】【複数の問題への支援をコーディネートする中で,希薄であった社会との接点をつないでいく】【一番響くアプローチを探るために,生まれ育った背景からその人をとらえる】【スモールステップで「健康」に意識を向けるための関わりをする】【認められる経験が少ない対象者に肯定的な関わりをすることで自己肯定感を育む】がカテゴリーとして,抽出された.

    考察:福祉事務所の保健師は,信頼関係の構築を図りながら対象者との社会的接点となり,健康という切り口から包括的に生活を支えていると考えられた.

  • 坂本 結, 大西 昭子, 野村 美紀, 髙藤 裕子
    原稿種別: 研究
    2023 年 12 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
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    目的:地域への愛着につながる新任期保健師の経験を明らかにする.

    方法:市町村に勤務する新任期保健師12名を参加者とし,半構造化面接法により得られたデータを質的帰納的に分析した.

    結果:地域への愛着につながる新任期保健師の経験として,【日常的に地域へ出向いた】【地域のことを理解した】【地域を思う人々とともに活動した】【住民とのつながりを実感した】【地域の理想の姿を思い描いた】【自分の地域を受けもってPDCAを展開した】【住民の健康づくりに貢献できたと実感した】【地域のことを考える時間をもった】の8つのカテゴリーが抽出された.

    考察:本研究で明らかとなった8つのカテゴリーは,新任期保健師の地域への愛着の形成と強化につながっていくと考える.これらの経験を,新任期に安心して積み重ねていくことができるような支援体制の構築が必要であると示唆された.

  • 日置 彩伽, 和泉 比佐子, 中山 貴美子
    原稿種別: 研究
    2023 年 12 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
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    目的:放課後等デイサービス施設の平常時における防災行動の実態とその関連要因を明らかにすることである.

    方法:10府県888施設に質問紙調査を行い159件(17.9%)の回答を得た.5つの防災行動を従属変数としロジスティック回帰分析を実施した.

    結果:防災行動の実施率は,耐震補強の実施(39.0%),施設内の整備(59.7%),被災用備蓄(45.9%),児童参加の防災訓練(84.9%),家族参加の防災訓練(15.1%)であった.防災行動と関連の見られた項目は,被災用備蓄と経済的ゆとり等,耐震補強の実施と施設の所有形態等,施設内の整備と施設の防災対応に関する家族の認識の把握等,児童参加の防災訓練実施と職員の勤続年数等,家族参加の防災訓練実施と常勤職員数等であった.

    考察:防災行動促進のためには,防災対策見直しに向けた支援,金銭的支援,家族と連携した体制づくりが重要であることが示唆された.

  • 榎本 晃子, 大木 幸子
    原稿種別: 研究
    2023 年 12 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
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    目的:被災高齢者が中長期にわたって生活を再建していく過程におけるレジリエンスを促進する要素を明らかにし,生活再建に向けての一貫した効果的な支援についての示唆を得る.

    方法:被災によって住まいを喪失した65歳以上の住民22名に二次元レジリエンス要因尺度を用いた質問紙への回答ののち,半構成的面接を行った.

    結果:住まいを喪失した被災高齢者が生活再建を進めていく力の基盤となるレジリエンスの促進要素は,【支え合う人と場がある】,【自分の中にある生きる力の源に気づく】,【自分らしい生活を送る】,【震災を経験した人生に意味を見出す】の4つであった.

    考察:被災高齢者の生活再建過程におけるレジリエンスを促進する支援として,被災体験を語り,分かち合える場や機会の提供,日常性の回復,コミュニティの営みの回復のための支援,また,平常時においてはコミュニティへの関心を高めるための多様な機会の提供が求められる.

活動報告
  • ―心療内科子どもデイケアの取り組みから―
    西村 由美子
    原稿種別: 活動報告
    2023 年 12 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/28
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    目的:心療内科クリニックの子どもデイケアに通う,発達障がいや不登校など特別な配慮を持つ子どもへの食育活動が,食行動にもたらした変化について検討した.

    方法:子どもデイケアの食育活動に参加した11名の小学生から高校生までの参加児を対象に,5年2カ月間の参加児の食行動の変化を調査した.調査方法は,振り返りシートへの記載内容,担当者,主治医,看護師,保護者の意見により,総合的に食行動の変化を考察した.

    結果:食育活動への参加児の多くに,食への興味関心の向上,偏食や食わず嫌いの減少や,班活動への積極的参加などの行動変化がみられた.

    考察:医療チームが食育活動に関わることで,学校現場とは違う安心感の中で食育活動に参加できたことが,食行動の変化に繋がったことが考えられた.

第11回日本公衆衛生看護学会学術集会会長講演
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