日本公衆衛生看護学会誌
Online ISSN : 2189-7018
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ISSN-L : 2187-7122
10 巻, 3 号
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巻頭言
研究
  • 清水 めぐみ, 原田 小夜
    原稿種別: 研究
    2021 年 10 巻 3 号 p. 94-102
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/28
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    目的:介護支援専門員の高齢者の飲酒問題に対する認識と飲酒問題を持つ本人,家族への関わりを明らかにする.

    方法:介護支援専門員24人の面接内容を質的統合法(KJ法)により分析した.

    結果:介護支援専門員は【飲酒問題に対する学習機会の不足と飲酒に寛容な地域の中で飲酒問題を抱える高齢者を支援する難しさ】と【家族の揺れ動く気持ちを理解することの難しさと支援がうまくいかなかったことへの不全感】を認識しており,【飲酒に向き合う本人の気持ちに寄り添いながら介入のタイミングを見極め,本人の気づきを促す姿勢】で【介護サービスを利用した家族支援と飲めない環境づくり】を行っていた.【専門外の内科医の熱心な指導と専門医との協働】と【本人・家族の学習の場となる断酒会の存在】を望んでいた.

    考察:介護支援専門員は飲酒問題の学習不足を感じつつ,介護サービスを活用し,医師や断酒会と連携して本人,家族を支援していたと考える.

  • 鈴木 良実, 麻原 きよみ
    原稿種別: 研究
    2021 年 10 巻 3 号 p. 103-111
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/28
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    目的:地域づくりを目的とした自主グループ参加による,定年退職した男性の自身の生活や考え方の変化を明らかにし,これらの人々の自主グループ参加を促進する支援方法を検討する.

    方法:自主グループに参加する定年退職男性6名を対象に半構造化インタビューをし,質的な内容分析を実施した.

    結果:男性は自主グループ参加により【グループの成長のために仲間と互いに自主性を生かして活動するようになった】り,【地域の役に立つためにグループの一員として活動するようになった】ように,グループの仲間と共に地域の役に立つために活動するようになった.

    考察:定年退職した男性は自主グループでの活動目的が,自分の欲求を満たすためだけではなくグループの仲間や地域の人々に役立つために変化した.参加促進の支援として,住民が地域課題について話し合い,地域づくりを目的した自主グループ参加や発足につながる地区活動事業の実施が大切と考えられた.

活動報告
  • 水村 純子, 吉本 照子
    原稿種別: 活動報告
    2021 年 10 巻 3 号 p. 112-120
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/28
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    目的:地域包括支援センターにおける多職種連携による支援を促すための基準を用いた研修を実施し評価することである.

    方法:研修は,地域包括支援センターのケースカンファレンスの基準を用い,全3回(210分)で構成した.対象は,A市の委託型地域包括支援センター7か所の専門職30名と委託元の保健師3名とし,研修後の対象の認識とケースカンファレンスの実施状況により研修の効果を評価した.

    結果:専門職は,研修の内容を理解して各々の専門職の役割と多職種の専門性を認識し,ケースカンファレンスの基準をもとに実施して,多職種連携の必要性と支援の方向性の統一,多職種連携への進展につながった.また,A市保健師は,研修での学びを確認し,地域包括支援センター内の連携を促せた.

    考察:本研修は,地域包括支援センターの多職種連携による支援とA市保健師による地域包括支援センター支援を促すと考える.

  • 平野 美千代, 大西 竜太, 髙島 理沙, 阿部 弥喜, 佐伯 和子
    原稿種別: 活動報告
    2021 年 10 巻 3 号 p. 121-129
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/28
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    目的:大学と自治体との共同研究のプロセスを報告し,共同研究を推進させた要因を検討する.

    方法:対象は都市部と地方の2つの自治体とした.まず,自治体ごとに共同研究のプロセスを記述したシートを作成し,共同研究の推進要素を研究者の観点から整理した.次に,保健師へインタビューを実施し,インタビュー内容から共同研究の推進要素を保健師の観点から整理した.上記2つの結果をもとに,公衆衛生看護の共同研究を推進させた要因を検討した.

    結果・考察:共同研究を推進させた要因として,保健師と研究者の対等な関係性のなかでの目的共有があった.また,住民を第一義的にとらえる保健師の認識とそれに基づくコーディネートや,日々の活動を通じた保健師と住民との関係構築があった.さらに,共同研究と地域の健康課題解決の方向性を一致させる目的の再共有や,保健師の保健師活動に対する熱意や認識が示された.

災害・健康危機管理委員会報告
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