日本公衆衛生看護学会誌
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9 巻, 1 号
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巻頭言
研究
  • ―生活習慣病予防の運動普及事業より―
    丸谷 美紀, 雨宮 有子, 細谷 紀子
    原稿種別: 研究
    2020 年 9 巻 1 号 p. 2-9
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/30
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    目的:生活習慣病予防の運動普及ポピュレーションアプローチ事業(以下事業とする)実施場面における保健師による個別支援の特徴を明らかにする.

    方法:3市の事業実施場面を参加観察し,個別支援の対象,機会,内容を分類整理した.

    結果:個別支援の対象は参加者・参加者の家族・居合わせた住民,機会は「事業準備中に保健師から声をかける」等であった.内容は,参加者へは【個々の心身の状態に応じた安全で効果的な運動参加・継続支援】等,参加者の家族は【参加者を含む家族の健康と運動継続の支援】,居合わせた住民へは【事業拡大を意図した運動普及の支援と健康支援】等に分類された.

    考察:看護の基本と地域住民の健康に対する責任に基づき,事業準備から終了後まで,個人と環境へ働き掛けて,安全・効果的で主体的な運動習慣の定着を図り,ハイリスクアプローチを補完し,参加者以外との接点をも好機と捉えて運動普及・健康を支援する特徴が得られた.

  • 千葉 栄子, 桂 晶子, 安齋 由貴子
    原稿種別: 研究
    2020 年 9 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/30
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    目的:市町村保健師が行う子ども虐待ハイリスク家族に対する関係機関との連携の取り組みを明らかにする.

    方法:虐待ハイリスク家族に対して関係機関と連携して支援を行った経験のある市町村保健師6名に半構造化面接を行い,データを質的記述的に分析した.

    結果:保健師は連携の必要性を的確に判断し【連携相手と手を組む】ことを積極的に行っていた.複雑な背景をもつ母子と関係機関が確実につながるよう両者に働きかけ【下地を整えつなぐ】ことを行っていた.【協働支援の体制をつくる】取り組みをし,母の意向を尊重しながら【虐待予防に向けた協働支援】を行い,【協働支援の評価】を実施していた.また日頃の活動を通して【円滑な連携に向けた土台づくり】を行っていた.

    考察:保健師は,効果的に連携を行うため日頃の活動から信頼関係構築を図るように心がけていた.また,困難感を伴う支援に対し職場内外からのサポートの有無が重要であると示唆された.

  • 竹田 汐里, 佐伯 和子, 水野 芳子
    原稿種別: 研究
    2020 年 9 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/30
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    目的:本研究の目的は,高齢者が中心の地域サロン参加者の組織コミットメントの実態と組織コミットメントに関連する要因を明らかにすることとする.

    方法:地域サロン参加者に,無記名自記式質問紙調査を集合で行った.調査内容は,個人属性,参加状況,集団凝集性の意識,組織コミットメント(情緒的,規範的,集団同一視)とした.分析は,単変量解析及び多重ロジスティック回帰分析を用いた.

    結果:有効回答は183部(有効回答率88.0%)であり,75歳以上54.6%,女性80.3%,役員35.7%であった.3つの組織コミットメントはいずれも年齢と関連を示した.さらに,情緒は課題凝集性,規範は成員凝集性,集団同一視は課題・成員凝集性と関連があり,加えて,集団同一視は会員よりも役員が有意に高かった.

    考察:地域サロン参加者のコミットメントを高めるには,情緒的コミットメントを維持しながら,役員だけでなく多くの会員を交えた運営への支援が重要である.

  • 林 千華, 蔭山 正子
    原稿種別: 研究
    2020 年 9 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/30
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    目的:精神障がい者をパートナーにもち子育てをする配偶者の経験を記述することを目的とした.

    方法:18歳未満の子をもつ当事者をパートナーにもつ妻8名と夫2名の計10名に個別インタビューを行った.逐語録を質的記述的に分析した.

    結果:配偶者の経験として【当事者の病気に戸惑い,翻弄される】【病状の悪化に伴い生活がままならなくなり,追い詰められる】【子どもへの説明や病気の影響にひとりで悩む】【病気の偏見や無理解によって孤立する】【理解者や支援者との出会いに救われる】【結婚生活を続けるかどうか考える】という6つのカテゴリーが生成された.配偶者としての経験は結婚生活を継続するか否かという帰結に向かっていた.

    考察:配偶者が自分の意思で結婚生活を継続するようになるためには,配偶者が学ぶ場の提供,配偶者の障がい受容のためのサポート,周囲の理解と支援,子どもへの支援が必要であることが示唆された.

活動報告
  • 酒井 久美子, 安田 貴恵子, 御子柴 裕子
    原稿種別: 活動報告
    2020 年 9 巻 1 号 p. 37-44
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/04/30
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    目的:自治体で取り組む生活習慣病予防教室の運営・継続参加に向けた専門職スタッフの支援内容を明らかにし,終了後も継続した活動に結び付けるための支援の特徴を検討した.

    方法:教室に携わる専門職スタッフ(保健師,管理栄養士,健康運動指導士,歯科衛生士)各1名に半構成的面接調査を実施した.教室で大切にしていた考え,その考えのもとに行った支援を聞き取り,内容を質的帰納的に分析した.

    結果:専門職スタッフの支援は「生活改善への動機づけと行動化」,「教室終了後も活動を継続できるグループ力の形成」,「専門職スタッフの一員としてのマネジメント」等であった.

    考察:専門職スタッフは,生活改善への動機づけと行動化を高めるためにグループの力を形成し,メンバー同士の関係性に働きかけていた.それぞれの専門職が捉えた情報を発信して,互いに共通の情報を把握していることはチームでの役割の認識と行動化につながったと考えられる.

第8回日本公衆衛生看護学会学術集会 会長講演
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