日本公衆衛生看護学会誌
Online ISSN : 2189-7018
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5 巻 , 2 号
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巻頭言
研究
  • 渡邉 美樹, 鈴木 みずえ, 長田 久雄
    2016 年 5 巻 2 号 p. 116-125
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/02
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    目的:住民ボランティア運営型地域サロンの女性高齢参加者における口腔の健康に関する認識の実態を把握し,口腔の健康への認識が外出頻度にどのように影響するのかを明らかにすること.

    方法:住民ボランティア運営型地域サロンの女性高齢参加者を対象に質問紙による面接調査を実施した.調査項目は,基本属性,活動能力や口腔の健康状況,外出に関する行動などである.分析は218人を対象とし,口腔の健康への認識と外出頻度の関連について共分散構造分析を実施した.

    結果:共分散構造分析を行った結果,「口腔の健康への認識」は,「活動能力」や「外出に対する自己効力感」および「残存歯数」の要因を介して有意に「外出頻度」に影響していた.

    結論:口腔の健康への認識が高いことで口腔の健康が保持され,食べる喜び,話す楽しみを得ることができ,また,活動能力が維持されることで社会と関わる機会となる外出への自己効力感を高める要因になると考えられた.

  • 木村 宣哉, 佐伯 和子, 平野 美千代
    2016 年 5 巻 2 号 p. 126-135
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/02
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    目的:健康増進の施策化でのアセスメントのツール開発に向け,保健師が認識する地域の栄養・食生活アセスメント項目の重要度と入手しやすさを明らかにする.

    方法:市区町村の経験年数11年目以降の保健師504名に郵送による無記名自記式質問紙調査を実施した.アセスメント項目は地域の概要,地域のリスク分析,地域の強みの3カテゴリーで構成し,計77項目の重要度・入手しやすさを4件法で尋ねた.分析には加重平均値を用いた.

    結果:重要かつ入手しやすい項目として人口構成,要介護認定数などの基本的な健康状態,特定健診等の項目が該当した.重要だが入手しづらい項目には死因,生活習慣,保健サービス,専門医に関する項目が該当した.

    結論:健康増進の施策化において,今回の結果で分かった重要なアセスメント項目を優先的に情報収集することで情報が蓄積していき,施策化で必要な経年的な分析も容易になる.

  • ―クラスレベルと個人レベルでの検討―
    水田 明子, 岡田 栄作, 尾島 俊之
    2016 年 5 巻 2 号 p. 136-143
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/02
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    目的:中学生のいじめの加害経験と,クラスの結束,いじめの被害経験,時間的展望,家族構成,経済状況との関連を明らかにする.

    方法:2012年12月から2013年1月に,公立中学校8校の生徒(N=2,968人)に調査を行った.いじめの加害と被害経験の有無は2値変数にした.生徒同士の繋がりを4項目4段階評価で尋ね,クラスの平均値を算出し「クラスの結束」と定義した.いじめの加害経験を目的変数,クラスの結束,いじめの被害経験,時間的展望,家族構成,経済的余裕を説明変数とした単変量ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:クラスの結束が高いといじめの加害経験のオッズ比が低かった(男:OR=0.44,95%CI=0.29–0.67;女:OR=0.59,95%CI=0.37–0.95).いじめの加害経験は被害経験と正の関連,現在の充実感と過去受容は負の関連があった.

    考察:クラスの結束はいじめの加害経験と関連した.いじめ防止対策にはクラスレベルでの信頼の構築が重要であり,現在の充実感,過去受容への働きかけも有用である.

  • 飯島 清美子, 山口 忍, 渡辺 尚子, 綾部 明江
    2016 年 5 巻 2 号 p. 144-153
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/02
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    目的:本研究は,市町村保健師が精神保健分野の個別対応で抱える困難を表す内容を明らかにし,実践への示唆を得る事を目的とする.

    方法:市町村に勤務する保健師を対象に,半構造化面接法を用いてデータ収集を行い,質的記述的に分析した.

    結果:8名の市町村保健師の協力が得られ,市町村保健師が精神保健分野の個別対応で抱える困難は,476のコード,45の小カテゴリー,11の中カテゴリー,4つの大カテゴリーが抽出された.市町村保健師は【当事者・家族への対応の難しさ】を感じ,社会資源の少なさや支援拒否,支援効果のわかりづらさから【当事者がもつ生活しづらさの改善の難しさ】があり,【市町村という立場での連携・組織体制構築の不足】や【支援の際に起こる保健師の感情コントロールの難しさ】でも困難を感じていた.

    考察:市町村保健師自身は,精神保健分野の対応技術の獲得,否定的感情のコントロール,当事者理解を進めていく必要がある.

  • 馬場 わかな, 岡本 玲子
    2016 年 5 巻 2 号 p. 154-164
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/02
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    目的:本研究の目的は,地域の健康課題明確化に向けた自治体保健師による質的データ活用技術を明確にすることである.

    方法:対象は,自治体保健師経験5年以上で,地区担当及び研究経験のある12人である.データ収集方法は個別面接であり,対象が地域の健康課題を明確にできた活動事例の展開過程を聴取し,質的記述的に分析した.

    結果:質的データ活用技術として,3つの技術,即ち,質的データによって健康課題を実在化する技術,量的データが示す健康課題を質的データによって具体化する技術,事例の危機的状況を質的に分析することによって優先度の高い健康課題を具現化する技術,が質的データの着目から健康課題明確化の展開過程において抽出された.

    考察:本技術は潜在的な健康課題の早期把握,原因不明の健康課題の探索に活用できる.

  • 國府 隆子, 丸山 美知子, 鈴木 良美
    2016 年 5 巻 2 号 p. 165-173
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/09/02
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    目的:福祉分野での経験が,行政保健師の役割認識にどのような深まりをもたらしたかを明らかにする.

    方法:福祉分野に異動し,再度保健分野に戻った市町村等の行政保健師15名に対し,半構造化面接を行い,質的に分析し記述した.

    結果:役割認識の深化には3段階のプロセス,【職業的アイデンティティの揺らぎ】,【保健師活動の本質の再発見】,【普遍的な役割の気づき】があった.このプロセスをとおして保健師は,住民の生活に深く関わる意識を強め,予防活動や社会資源を創設する役割などを再確認し,最終的にはどこの部署でも保健師の役割を発揮することは可能であると確信するようになった.

    結論:今後,組織の中で保健師の役割を「開拓する」意識をもつことや,福祉分野の保健師の「揺らぎ」を成長につなげるためのサポートの必要性が示唆された.

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