目的:A市の統括的保健師と研究者が取り組んだアクションリサーチを通して,自治体で健康危機管理を推進しようとするとき何が困難となるのか,災害健康リスクアセスメント(Disaster Health Risk Assessment; DHRA)は健康危機管理を推進する起点になり得るのかを検討する.
方法:DHRAの実践に関わる統括的保健師の取組内容を記録するとともに関連資料の収集を行った.収集データの質的内容分析を行い,アクションリサーチのプロセスを記述した.
結果:健康危機管理を推進する困難として,保健部局の危機管理体制,保健師の連携体制,統括的保健師の準備状態に関することがあると分かった.統括的保健師と研究者が市役所の健康危機対応力に関するDHRAに取り組んだ結果,統括的保健師の中で健康危機管理に対する取組方針が確立し,具体的な行動計画の導出に繋がった.
考察:DHRAの実践は,自治体保健師による健康危機管理の推進を後押しする可能性が示唆された.
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