一般に糖尿病患者では糖化による赤血球膜の異常が知られている。その異常が糖尿病における血管合併症を引き起こす可能性について検索する目的で, 好中球を活性化させ生じた活性酸素による赤血球膜障害について糖尿病患者と健常者を比較した。赤血球糖化蛋白を測定すると糖尿病患者では健常人よりも有意に高値であった (mean±SD; 418±72, 363±24nmol/10
10RBC, ρ<0.05)。好中球由来の活性酸素による障害は, 赤血球より遊出したLDH活性値, 増加した赤血球膜過酸化脂質で評価した。結果はともに糖尿病患者で有意に高値であった (LDH活性値mean±SD; 905±283, 547±191IU/10
10RBC, ρ<0.001; 増加赤血球膜過酸化脂質値mean±SD; 4.52±3.57, 1.93±0.77nmol/10
10RBC, ρ<0.02)。これらの結果は活性酸素による膜障害が糖尿病における合併症の進展に関与する可能性を示唆した。
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