低補体価血清の補体活性面からの簡単な解析法, C42-
Tmaxを考案した。希釈した被検血清と一定濃度の感作ヒツジ赤血球 (EA) を反応させ, 時間毎に汲み出し, EDTA処理モルモット血清 (C-EDTA) を加え更に1時間反応させた後溶血を測定することによって, EA上に形成されるC42site数の時間的経過を見る方法である。横軸に反応時間, 縦軸に溶血率をプロットして結びC42-
Tmax曲線とし, 曲線のピークを示す時間 (
Tmax) と溶血率 (
Ymax)とからC1, C4, C2の活性を推定する。緩衝液としてゼラチンベロナール緩衝液を用いた1: 600希釈の正常ヒト・プール血清 (NHS) の場合は, 3~5分 (
Tmax) で60~70%溶血 (
Ymax) をピ-クとし, 20分では溶血率5%以下まで下降する急峻な曲線が得られた.同条件下で実際の低補体価血清によるC42-
Tmax曲線を描いたところ, alternative pathway活性化血清やC7あるいはC9の欠損症の血清ではNHSコントロールの場合と大差なかったが, cold activation血清などclassical pathway活性化血清では, 著しい
Ymaxの低下など, NHSの場合とは大きく異なる曲線が得られた。本法は, 特殊なintermediate cellや精製補体成分を必要とせず, 低補体価を示す血清の補体学的解析に際し, 活性化経路の判定, cold activationや各補体成分欠損症の診断などに有用な方法であると考えられた。
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