土木学会論文集
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1956 巻, 37 号
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  • 伊丹 康夫
    1956 年 1956 巻 37 号 p. 1-50
    発行日: 1956/10/31
    公開日: 2010/08/24
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    本研究はブルドーザによる土工の設計において, その主軸とされる土工量の算定および工費の算定に関するものである。設計に関する各項目についての指針を示すことはもちろんであるが, 従来より要望されていたが不明確であり未知であつた多くの問題について理論的解明を行い, またこれらの実績に関する諸資科を整理して, 算定に必要な諸係数を求めることに成功し, その結果これらの算定を作業条件とブルドーザの各型式の種別に従つて, 実用的に実施できる段階に導いたものである。
    土工量の算定においては, 土工量の実用的な算定公式を考案し, その公式を用うると, 作業条件の変化にともなう土工量の算定が従来より簡単であり, 著者が工種別に作業の難易性を分類して求めた現場作業係数を用うることにより, 設計と実施とにおける作業能率の誤差を少くできることが研究の要点となつている。またこれの計算を単時間に簡便に行うための計算尺の考案も実現した。
    工費の算定においては, 償却費と修理費を加えた費用が常に一定である償却理論を各種の条件にまで発展させ, 時間当り修理費, 残存価格, 償却費等の算定についての具体的な計算を可能とした。また物価の変動をともなう場合の使用科および中古機械の使用料の算定法, あるいは使用料に関係する管理経費の問題等について解明した。さらに使用料算定に必要な諸係数, 特に各型式のブルドーザの経済的耐用時間と維持修理費の購入経費に対する割合いについて実験的に求め, 現在わが国で使用されているブルドーザについての使用料等の実用値を計算することを可能とし, また計算例もいくつか示した。
    次に修理費の見積りについても, 初めて定期的全分解整備の時期および回数を考慮に入れた計算法を確立し, 各型式に対する修理率を実験的に求めることができたので, 修理費の見積りを正しく求めることに成功した。
    運転経費の算定においても, 時間当りの主燃料, 油脂等の消費実績等について, 多くの資料を整理し, 作業条件の変化に応ずる消費量の増減を知ることができる。
    最後にブルドーザの型式別に現場作業の難易性と, 土運搬距離に応じた時間当り土工量と土工単価の表並びにグラフを作成してブルドーザによる土工に関する見積りを一層便利ならしめた。
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