フライアッシュを約20%混合せしめたポルトランドセメントすなわちフライアッシュセメント (市販) と普通セメント, 早強セメント, 中庸熱セメント, シリカセメント, 高炉セメントの乾燥収縮を比較した結果, フライアッシュセメントは常に最小の値を示した。この関係は養生期間を変化せしめても成立した。
ポルトランドセメントにフライアッシュを内割で20%, 30%混合したモルタルについてリング試験 (きれつ発生の難易を比較する) を行なった結果, フライアッシュ30%混入のものはきれつ発生の傾向が非常に小さく, 湿潤養生を適当日数行なったものが特に小さかった。同様の供試体について, 収縮率・弾性率を測定した結果, 上記の傾向はこれらの率が小さいことに大きな原因のあることを明らかにした。
このきれつ発生度の小さいこと, 長期材令の強度が大きいことの長所をコンクリート舗装に生かすべく, フライアッシュを各種ポルトランドセメントに対し20%内割, 10%外割に混入したフライアッシュセメントをかなりの量試製して使用した。セメント使用量が300kg/m
3のコンクリートとし, 単味ポルトランドセメントと比較して, 厚さ20cm, 1×25mの帯状継目なしコンクリート版を6条だけ試験道路として舗設し, きれつ発生の有無, カールソンメーターによる伸縮を観測しているが, 2年半を経過した今日においても, きれつは発見されていない。
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