ターゲットスタジアに際して, トランシット望遠鏡の鏡筒が直射日光で加熱される場合, レンズが熱変形して生ずる夾長誤差ならびに照明条件によりレンズと眼の性能が変化することによるスタジア誤差を取り上げ, レンズフードと絞りの使用でこれらを緩和し, 気差について配慮するならば, 普通の内焦式トランシットを用いて単観測中等精度1/2000~1/3000のターゲットスタジアを実現する見込みがあることを述べた。ターゲットスタジアは, 一般に総合精度が1/3000以上に達するにもかかわらず, その単観測精度がしばしば1/500以下に低下するため信頼性に乏しいとみなされてきた。しかし, これは上記の諸誤差に対する注意を欠き, スタジア常数の決定なども不十分であったためと考えられる。
本文はこれら未知の誤差をさける実測上の対策を提案し, 実用的には本文に述べる諸対策によって, 鋼巻尺の検定精度1/2500程度の単観測スタジア精度は容易であり, Tellurometerと協力すれば敏速なトラバース測量を行ないうる能力を普通型トランシットに与えることができることを明らかにした。
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