天然色写真が, 写真上でいろいろなものを観察するのに非常に優れていることはすべての人が認めるところである。特に, 地形の細部を写真上で調査, 解析しようとする航空写真にあつては, 従来の黒白の写真とくらべて, いろいろな点で有効な科学的手段となるであろうことは, 誰もが考えることである。
しかし, わが国では天然色航空写真について手をつけた人はなく, 外国でもその研究はまだ緒についたばかりであるらしい。実際に高空から天然色写真をとつたらどのように写るものか, また現在用いられている天然色フィルムの感度その他を考えると, 果して調査, 研究に役立つような写真がとれるかどうか, ということさえも見当がついていなかつた。
この報告は, 天然色航空写真について4回の試験撮影を行い, 撮影条件と現像, 焼付けなどの処理方法について, 広範翻な実験研究を行つた結果をまとめたものである。この研究によつて, 満足すべき色調をもつた天然色航空写真を得るのに必要な諸条件をまとめあげることができた。
さらに, これらの研究をもとにして, 地質や森林などの調査に, 天然色航空写真の利用の道がどのように発展されて行くかについても, その基本的な考察を加えた。
使用したフィルムは, 主として国産ネガポジ方式のものであるが, さらに外国製のフィルムについても, 比較検討した。天然色航空写真で, 最も困難な問題は Haze の影響を処置する方法, 色調を調整するために必要なフィルターの選択などに関することがらである。
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