堤体下部への滲透流の問題は, 透水係数が一様の場合には等角写像法により, 数多くの場合について解かれている。しかしながら垂直方向に透水係数が連続的に変化する場合や, 相異なる二つの透水係数を持つ透水層のあるときは, 上述の方法が利用できないので, まだ解かれていなかつた。本文では筆者はこのような問題を取扱い, つぎのような方法によりそれらの解をえた。すなわち最初に基礎方程式を満足する解を無限積分の形式で与え, つぎに Fourier 積分等を用いることにより全境界条件のうちいくつかのものを満足するように積分内に含まれる任意函数を決定する。
最後に複合境界条件である故に, アプリオリには求められない任意函数を変分法 (Friedrichs 変換) を用いて決定したものである。
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