日本図書館情報学会誌
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論文
  • ─公共図書館の利用につながる支援─
    川島 美奈, 三輪 眞木子
    原稿種別: 論文
    2025 年71 巻2 号 p. 79-100
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

     知的障害特別支援学校教員(135人,内112人回答)を対象に,学校図書館における児童生徒の情報行動とその要因,公共図書館利用につながる支援と合理的配慮を,学習指導要領にも記載のある世界保健機関(WHO)の国際生活機能分類(ICF)を用いて調査分析した。担任教員が選んだ学校図書館の利用が多い児童生徒(98人)と利用が少ない児童生徒(100人)の図書館利用頻度と情報行動(活動・参加)のカイ二乗検定,情報行動と要因(環境・個人)の重回帰分析,および図書館利用における支援と合理的配慮,電子図書の利用に関する自由記述回答についてM-GTAによる分析を行った。これらにより図書館利用経験の積み重ねと分類案内の大切さ,イベント・蔵書・司書に関する支援と合理的配慮,電子図書利用の課題が明らかとなった。これらの結果は,特別支援学校図書館の活用促進と,公共図書館と特別支援学校の連携が重要であることを示唆している。

  • ─文献モニタリングのために収集すべき情報源として─
    村上 陽菜
    原稿種別: 論文
    2025 年71 巻2 号 p. 101-112
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

     薬事規制における副作用報告制度はスモン事件を契機とした1979年の薬事法改正により法制化された。本研究ではスモン事件において生産された学術情報を定量的に分析し,副作用報告制度のための文献モニタリングで調査すべき情報源について検討することを目的とする。具体的には『スモン・キノホルム関係文献目録集』に掲載された文献情報を対象に,雑誌論文と学会抄録という学術情報の種別に着目し経年変化等を調査した。その結果,スモン事件の原因が特定された1970年の前年より雑誌論文での報告が増加していた一方,スモンが初めて症例報告された1958年から1968年までは雑誌論文よりも学会抄録での報告が多く,特に地方会で発表されていたことが明らかとなった。本研究により,未知の副作用情報を収集するために行われる文献モニタリングにとって,雑誌論文だけでなく学会抄録も重要な情報源であることを示した。

  • 西浦 ミナ子, 佐藤 翔, 安保 浩輝, 小川 萌, 外間 玲美, 渡邊 珠生, 原田 隆史
    2025 年71 巻2 号 p. 113-134
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究は,日本の大学生による大学図書館と公共図書館それぞれの利用傾向を比較することで,その実情を明らかにすることを目的とし,2023年11月に調査会社(株式会社クロス・マーケティング)に依頼し,ウェブ上で質問紙調査を実施した(有効回答1,000件)。結果から,①全体的に大学生は公共図書館よりも大学図書館を利用するが公共図書館の利用率も低くない,②各図書館の利用には,所属大学の規模・種別,学問領域別の傾向が一部見られる,③併用する大学生は“library-hopper”に類似する図書館利用行動を取り自主的に学習の幅を広げる傾向にある,ことなどが明らかになった。また今後,大学生を公共図書館の利用者グループとして認識・検討し,大学生が地域あるいは社会に付加価値を与える存在となるよう支援していく余地があることが示唆された。公共図書館と大学図書館は情報をシェアし,協力することで,より一層の効果を生み出すことが期待される。

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