日本図書館情報学会誌
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56 巻, 2 号
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論文
  • 寺澤 正直
    原稿種別: 論文
    2010 年 56 巻 2 号 p. 49-64
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,民間所在史料の保存に関する文化行政の支援の現状と課題を,質問紙調査により明らかにすることである。近代以前の記録史料を収蔵している文化行政機関を対象とし,2009年2月に質問票を送付した。主な質問項目は,(a)支援内容,(b)史料収集,(c)支援に関する広報活動,(d)所蔵者状況の把握,(e)機関間連携,である。質問紙の送付数は296件,有効回答数は205件,回収率は69.3であった。調査結果を分析し,(1)所蔵者が複数の機関へ来訪する負担がある,(2)所蔵者が機関の機能を誤解する,(3)不十分な支援に対する要因が未検討である,(4)複数の機関で作業が重複している,(5)個々の機関で行うことにより効果が期待される支援が明らかにされていない,の課題を明確にした。
  • 河村 芳行, 歳森 敦, 植松 貞夫
    原稿種別: 論文
    2010 年 56 巻 2 号 p. 65-82
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,札幌市において,ある住区ブロックに居住する全世帯の全構成員を対象とする住民調査を行い,世帯を最年少児の年齢で分類することにより,ライフステージの進行と図書館利用形態の推移,自家用車の利用可能性と利用館の選択など,家族を単位とした利用行動の実態について明らかにした。同伴利用世帯(夫婦あるいは親子)においては,遠方の大規模館を近隣の中小規模館同様に「貸出図書館」として利用しており,これらの利用者セグメントが自家用車を利用することにより施設までの距離を基本とする従来の階層的な図書館整備手法が通用しない状況を生み出していることがわかった。
  • ユン ユラ
    原稿種別: 論文
    2010 年 56 巻 2 号 p. 83-100
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    韓国の学校図書館における読書教育の現状を把握するために,高校の生徒を対象にして質問紙調査を行った。調査対象は司書教師が配置されている6校の高校の生徒369人である。質問紙調査の結果を補足するために,6校の図書館内の生徒の動きを観察して記録し,司書教師へのインタビューも行った。主な結果は,1)読書は関心事を解決するための情報源として有効であると認識している,2)読書の主な理由は楽しみのためであり,読書が好きではあるが社会的な要因により本をあまり読めない状況に置かれている,3)学校図書館を利用する目的や学校図書館のイメージは本の貸し出しや読書であり,楽しみや休憩である,4)司書教師が学校図書館で行う読書教育に対して,直接的な方法で深層的なレベルまでの教育を求めている,の4点である。生徒の関心事を把握し,本を楽しめることを念頭に置いた,直接的で深層的な読書教育のプログラムを開発する必要がある。
  • 利根川 樹美子
    原稿種別: 論文
    2010 年 56 巻 2 号 p. 101-123
    発行日: 2010/06/30
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,戦後日本の大学図書館における司書職法制化運動の経緯,および関係団体と行政機関の交渉の経過と内容を示し,運動の意義と限界,提案の実現を妨げた要因,焦点となった大学図書館司書の資格について考察した。その結果,司書職確立の観点に立つならば,当時の大学図書館において必要であった取り組みとして,少なくとも次の四つの事項が挙げられることを明らかにした。(1)大学図書館全体を対象とし,大学図書館司書の資格の内容,認定方法等を具体的に検討して,根本からの解決を図ること,(2)そのために,関係者の考え方において,大学設置主体別の立場から大学図書館全体の立場へ転換を図ること,(3)司書職法制化の提案における根本的な問題について検討し,解決を図ること,(4)以上の事項について取り組むために,団体組織による継続した運動を形成することである。
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