目的:本シンポジウムは,アクションリサーチ後の継続性や研究成果の転用のためのアドボカシーのあり方について議論を行い,エビデンスの社会実装という観点から両者の相互の関係性や役割についての理解を深めることを目的とした.
方法:2人の研究者からのアクションリサーチや地域・社会的介入研究の事例紹介の後,研究後の事業の継続や研究成果の他地域への転用を論点として,アドボカシーの役割について討論した.
結果:話題提供された事例は,住民主体の健康なまちづくりを目指したアクションリサーチ,身体活動の向上を目指した行政や住民と協働した地域介入研究と企業と連携した社会的介入研究であった.研究後の事業の継続のためにはアクションリサーチという研究手法の有用性が改めて確認された.アドボカシー活動として住民,行政に加えて議会関係者を対象とすることの必要性が示唆された.研究成果の他地域への転用を進めるためには,アクションリサーチの知見を増やすことに加えて,アクションリサーチの知見を転用できる人材の育成と配置が必要であることが確認された.
結論:アクションリサーチは,組織や社会の変化を目指したアドボカシーの優れた研究手法であり,研究者と現場の関係者が協働してPDCAサイクルを回すことが活動の継続につながる.研究成果の他地域への転用を進めるためには,研究の推進と成果の可視化,成果を活用できる人材育成が必要である.
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