本論文は,兵庫県南部地震による建築物の被害をビルと小規模住宅とに分け,構造躯体の損壊,内外装材や開口部材の被害,およびそれらの火害実態の調査結果を述べたものである.ビル関連では,1981 年の新耐震設計法施行以降に建てられたものでは損壊率がきわめて小さく,内外装材の被災度合いも軽微であったが,/971年以前のものはかなり大で,1階や中間層の崩壊が数多く観察され,小住宅関連では,木質構法が普及した1970年ごろ以降に建てられたものは被害が軽微で,内外装材の損壊も少ないが,古い住宅は,粗略な造り・土葺き和瓦屋根・筋交いや壁量不足・老朽化などの理由で多数崩壊し,多くの圧死者が出たと指摘している.また,道路・空地のほか,防・耐火造も火災時の焼け止まり要因として有効に寄与したと述べている.
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