有機塩素系廃棄物を処理する場合の安全性について,焼却処理を中心に文献調査を行った.その結果,有機塩素系化合物の熱による分解性は,酸素濃度やC,H,C1の比率により大きく影響を受けること,不十分な分解のおもな原因は,炉内の局所的酸素不足であることなどがわかった.したがって,焼却温度を高くするだけでなく,局所的な酸素不足を解消することが重要である.さらに,有害副生成物(ダイオキシン類など)の発生を防止できる安全な処理条件を求めるために,各種化合物の熱安定性および分解生成物の解明,焼却炉の燃焼状態の工学的記述などが今後の課題であると考えられる.
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