本稿では,2014 年度に経済産業省が実施した「サイバーセキュリティ経済基盤構築事業(スマートメーター・システムのセキュリティ評価手順等に係る検討)」における,我が国の電力スマートメーターのAルートの現状調査にもとづき,海外のスマートメーターシステムに係るセキュリティ基準とその背景にある考え方について述べる.産業技術総合研究所は,この調査事業の中で,海外の政府機関,セキュリティ組織,民間企業等を往訪調査し,関係者との綿密な意見交換を実施して,スマートメーターに係る米国と欧州のセキュリティ基準についての考え方をまとめた.本稿では,調査を通じて得られた基礎データをもとに,各国のスマートメーターシステムやスマートグリッドを取り巻く環境,およびセキュリティ基準や各国の背景について述べる.併せて,日本のスマートメーターのセキュリティ対策の現状,セキュリティ分野における自動化技術の研究開発に対する期待について述べる.
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