日本顎口腔機能学会雑誌
Online ISSN : 1883-986X
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21 巻, 2 号
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原著論文
  • 遠藤 舞, 松川 高明, 豊田 有美子, 眞木 信太郎, 濵坂 弘毅, 松井 藍有美, 大川 穣, 染川 正多, 大川 周治
    2015 年21 巻2 号 p. 97-108
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル フリー
     本研究では,部分歯列欠損患者(Eichner分類;B3,B4,C1,C2)を対象として,咬合支持喪失状態が「[n]持続発音時の下顎位」(以下,[n]持続発音位)に及ぼす影響について検討するとともに,[n]持続発音位を応用して新製した有床義歯装着者における[n]持続発音位の経時的変化についても併せて検討した.
     実験1として,部分歯列欠損患者22名を対象に咬合支持喪失状態が[n]持続発音位に及ぼす影響について検討した.実験2として,咬合支持を喪失した部分歯列欠損患者3名を対象に,[n]持続発音位を応用して新製した有床義歯装着者における[n]持続発音位の経時的変化について検討した.
     その結果,以下の結論を得た.
    1.咬頭嵌合位を発音開始位とした場合の,[n]持続発音位における垂直的開口距離(以下,[n]空隙)は,コントロール群,B3群,B4群,C1群,C2群のいずれの群間においても有意差は認められなかった.
    2.下顎安静位を発音開始位とした場合の[n]空隙は,コントロール群,B3群,B4群,C1群,C2群のいずれの群間においても有意差は認められなかった.
    3.コントロール群,B3群,B4群,C1群,C2群の各群における,2種類の発音開始位(咬頭嵌合位と下顎安静位)間での[n]空隙の有意差は認められなかった.
    4.[n]持続発音位を応用して新製した有床義歯装着者(Eichner分類 C2)における[n]空隙は,義歯装着後6か月までの間において,咬合採得時とほぼ同一の値を示すとともに,有意差は認められなかった.
     以上より,[n]持続発音位は垂直顎間距離決定における基準下顎位として有用となることが示唆された.
  • 宗形 芳英, 北見 修一
    2015 年21 巻2 号 p. 109-117
    発行日: 2015年
    公開日: 2016/03/12
    ジャーナル フリー
     本研究ではタッピング運動中の咀嚼筋活動に対して視覚情報が影響を及ぼすかどうかを検討した.25名の健常者の咬筋と側頭筋の筋活動を表面電極で双極導出した筋電図から解析した.下顎切歯部に取り付けたLED標点の動きをフォトセンサーで記録して顎の動きを解析した.プリズムレンズを取り付けた眼鏡を用いて被験者の目の前に現れる光景を変化させた.被験者は枕で頭を保持して仰臥位に横たわった.被験者にプリズムレンズの作用前後で連続したタッピング運動を行うよう指示した.ほとんどの被験者で側頭筋EMGと咬筋EMGの比(T-M比)が眼鏡装着後に減少した.同じく,タッピングポイントの前方偏位がプリズムレンズの作用後で認められた.しかしながら,プリズムレンズの作用によるT-M比の減少とタッピングポイントの前方偏位は,被験者が自力で頭位を保持した際には現れなかった.これらの結果は,視覚情報が咀嚼筋活動を制御し,頸筋の自己受容器がこの制御システムに関わっていることを示唆している.
第53回学術大会抄録
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