日本顎口腔機能学会雑誌
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原著論文
  • Imai Atsuko, Matsuo Shinji, Kakudo Masaki, Yasui Yuka, Tatsuta Mitsuhi ...
    2024 年31 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    The various organs involved in mastication perform movements appropriate to the physical properties of the food. Using the teeth, peanuts are crushed into small pieces and meat is cut into smaller pieces and eaten. Soft foods such as jelly are not chewed but crushed with the tongue and hard palate. The tongue presses the food against the hard palate immediately after the food is taken into the mouth to determine whether it should be chewed or crushed.

    In this study, we aimed to find a method to observe the tongue movement of chewing gum with teeth and tofu compressed by the tongue and palate using ultrasound images and to examine the difference in chewing patterns.

    Study participants consisted of 10 healthy volunteers(mean age, 29.6 ± 3.8 years). Tongue movement was observed using a portable ultrasound device and a linear probe. Mandibular kinesiographs were used to measure jaw movements. Gum and tofu were selected as test foods. Three consecutive strokes were selected for each food. The average values of the distance of mandibular opening and the distance of lateral movement were obtained. Cycle time of tongue movements were measured. The distance from the submental skin surface to the top and bottom points of the dorsal tongue movement trajectory was measured. In this study, the upper and lower points of the region of high ultrasonic intensity near the submental skin surface were measured.

    In the ultrasound image, the trajectory of the tongue’s dorsum and the proximal region moved up and down almost simultaneously in gum chewing. Conversely, in the crush, the trajectory of the tongue’s dorsum moved up and down, but the proximal region hardly moved. It was suggested that this imaging method could be used to examine the difference between chewing and crushing.

学術大会抄録
  • 山田 果歩, 大川 純平, Ma Therese Sta. Maria, Aye Mya Mya Khaing, Min Thu Ya, 小 ...
    2024 年31 巻1 号 p. 10-11
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     摂食行動において,咀嚼による食品の粉砕は,嚥下しやすい食塊を作る要素であるとともに,食品を味わうための要素でもある.特に,食品摂取時に感じる香りはレトロネーザルアロマと呼ばれ,咀嚼によって食品から放出され,咽頭を経て鼻腔にて知覚される.我々は,咀嚼中にレトロネーザルアロマの減弱するタイミングと嚥下閾に到達するタイミングとには一致性があることを報告した1).しかしながら,食品の持つ香料含有量の変化が嚥下閾にどのように影響するかは不明である.そこで本研究では,規格化された咀嚼機能評価用グミゼリーの香料含有量を調整し,それを自由摂取したときのレトロネーザルアロマおよび嚥下閾の変化について検討した.

  • 仲座 海希, 船岡 俊介, 増田 裕次
    2024 年31 巻1 号 p. 12-13
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     近年,要介護状態へ移行するリスクのひとつとして,オーラルフレイルが重要視されている.また2021年には我が国の保険診療における口腔機能低下症の対象となる年齢層も広く改定されたことにより,今後口腔機能を評価する機会が増え,より簡便かつ迅速に測定できることが望ましいと考えられる.現在,咀嚼機能評価法として,グルコース溶出量を測定するグミゼリーを用いた方法が広く使われている.しかし,測定中に,咀嚼時の唾液を嚥下しないことや,咀嚼後のうがいでグミを吐き出すといった複雑な行程を確実に行わなければならない.さらにグミゼリーを用いた方法では,糖尿病リスクの高い者を対象にした際に注意が必要である.これらのことから対象者を選ばない新たな方法の開発は,口腔機能の測定に多いに役立つものと考える.

     一方,外耳道と顎関節の解剖学的位置関係(図1)から,外耳道のひずみは顎運動に対応した波形とし記録されることが知られている.本研究では,気圧計を用いた耳栓型センサーから得られる外耳道ひずみの波形データを基にして,人工知能を用いることにより咀嚼能力の判定が可能かどうかを調べることを目的とした.

  • 中富 千尋, 小野 堅太郎
    2024 年31 巻1 号 p. 14-15
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     円滑な摂食・嚥下を行うには,食品の形状や物理的性質に合わせた咀嚼や嚥下運動の調節が必須である1,2).食品の物理的性質(食品テクスチャー)は粘性,硬さ,弾力性,粒子性などに分類されている3).これまで,口腔内での食品テクスチャーの受容や認知のメカニズムはほとんど明らかにされていない.これは,食品テクスチャーの認知を客観的に評価する動物実験系が確立されていないことが一因と考えられる.実験動物でのテクスチャー認知研究の難しさとして,食品に物性を付与する添加物の味や匂いを齧歯類が認知しているために,テクスチャーのみを対象とした解析が困難である点が挙げられる4,5).本研究では,食品の粘性と粒子性に着目し,動物実験での口腔内テクスチャー認知評価法の確立を目的とした.

  • 壇辻 昌典, 望月 文子, 中山 希世美, 中村 史朗, 井上 富雄
    2024 年31 巻1 号 p. 16-17
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     咀嚼は食物を嚥下しやすくするだけでなく,食物からのエネルギー摂取の効率を上げ,生命維持に重要な役割を果たす.咀嚼運動のパタンはリズミカルに反復される顎運動を基本とし,口腔内の感覚情報により,食物の物性に応じて変化する.縫線核に存在するセロトニン(5-HT)神経は,咀嚼を含めた呼吸や歩行などのリズミカルな運動で活動が増大し,様々な運動機能に関与することが報告されている1).咀嚼筋を支配する三叉神経運動ニューロンも5-HT神経からの入力を受け取り神経活動が調節される2).セロトニンは顎運動の制御に関与する可能性が高いが,セロトニン神経系が実際の咀嚼運動にどのように関与するか詳細は不明である.そこで本研究では,光遺伝学的手法を用いて,上位脳へ投射する背側縫線核(DRN)もしくは,三叉神経運動核を含む脳幹へ投射する不確縫線核(Rob)の5-HT神経を活性化し,咀嚼運動への5-HTの影響を検討した.

  • 真山 達也, 中川 量晴, 吉見 佳那子, 山口 浩平, 戸原 玄
    2024 年31 巻1 号 p. 18-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     食物形態を調整することは嚥下機能が低下した患者の誤嚥,窒息を予防するために有効である.一方で,嚥下障害患者は食べられる食品が制限され,特に漬物などの発酵食品は食べたいと希望する者が多いにも関わらず嚥下調整食から除外されることが多い.そこで,発酵食品を食べやすい形態に調整し,咀嚼能率の比較を実施した(実験1).次いで,腸内環境の変化を解析し,その有用性を明らかにすることを目的とし,まず事前研究として開発した発酵食品を健常成人に摂取させ,腸内環境の変化を解析した(実験2).

  • 石井 優貴, 飯田 崇, 山川 雄一郎, 岩田 好弘, 小見山 道
    2024 年31 巻1 号 p. 20-22
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     超高齢社会を迎え,高齢者の健康維持・フレイル予防は重要な課題となっている.また,高齢者における口腔機能の低下が,栄養状態を介して身体機能,認知機能に影響を与えることが報告されており1,2),高齢者における口腔機能低下の早期予防ならびに低下した口腔機能の回復は,歯科領域のみならず,フレイルや認知機能低下の予防,あるいは高齢者の生活の質向上といった観点においても,貢献度は高いものと考えられる.これまでに口腔リハビリテーションとしてガムを用いた咀嚼訓練が高齢者の口腔機能維持,改善に有用と報告されている3).しかしながら,ガムを用いた咀嚼訓練は,認知機能や嚥下機能が低下した高齢者において窒息,誤嚥性肺炎のリスクを伴うとともに訓練方法の定量化が困難であると考えられる.したがって,より侵襲性の低く,安全性の高い咀嚼トレーニングの確立は高齢者の口腔機能低下に対する対処手段として今後必要になると考えられ.

     さらに過去の疫学調査より,高齢者の平均臼歯残存歯数は,60~69歳(11.1本),70~79歳(8.0本),80~89歳(5.1本)であり4),下顎大臼歯は歯の喪失頻度が高いと報告されている5).したがって,残存歯を考慮した口腔リハビリテーション方法の確立も必要と考えられる.

     本研究は,高齢者を対象とした,歯の欠損状況に影響を受けない,非侵襲的で定量化可能な口腔リハビリテーション方法の確立を目的とした.

  • 山本 梨絵, 高岡 亮太
    2024 年31 巻1 号 p. 23-25
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     これまで肥満と咀嚼の関係性についてさまざまな臨床研究が行われてきた.なかでも,いわゆる早食いが肥満につながることがたびたび報告されている1).しかし,過去の研究では早食いが自己回答の質問票により評価されており,早食いについての具体的な定義や客観的指標が確立されていないのが現状である.

     そこで本研究では,筋電図を用いて食事中の咀嚼筋活動を計測し,咀嚼関連パラメータを用いて肥満に影響を与える早食いを定義することを目的とした.

  • 柴垣 あかり, 冨田 洋介, 鈴木 善貴, 大倉 一夫, 新開 瑞希, 小澤 彩, 谷脇 竜弥, 吉原 靖智, 松香 芳三
    2024 年31 巻1 号 p. 26-27
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     姿勢調整と頭頸部筋活動は関連し,機能を補助し合う関係にある可能性がある.第70回大会にて,挙上中の上肢に負荷を加えると上下肢筋だけでなく,咬筋,舌骨上下筋群,側・後頸部筋の活動を認めることを我々は報告した1).また,予測不可能なタイミングで負荷を加えると予測可能な場合よりも大きな筋活動量が認められた.しかしながら,負荷を加えた際の上下肢筋や頭頸部筋の活動のタイミングや重心動揺との関連性は未だ明らかとなっていない.本研究の目的は挙上上肢に負荷を加えた時の姿勢の乱れと,姿勢調整時の頭頸部筋の筋活動の関連について明らかにすることである.

  • 金井 亮太, 山口 浩平, 吉見 佳那子, 中川 量晴, 戸原 玄
    2024 年31 巻1 号 p. 28-29
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/03/12
    ジャーナル フリー

    Ⅰ.目的

     感覚間協応は,五感において一見無関係な感覚どうしの情報間に自然な結びつきを感じる現象である.感覚間協応に関しては,先行研究にて健常成人で認められることが明らかとなっている1).一方で,高齢者を対象としたものは少ない.そして感覚間協応が実際の食行動に与える影響は明らかでない.従って今回我々は,視覚・味覚感覚間協応が高齢者においても成立するか,また,成立した場合,食行動に与える影響を明らかにするため調査した.

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