環境大気中の微量ふっ素の定量法として, ふっ素をトリメチルクロロシラン (TMCS) でシリル化し, 生成するトリメチルフロロシラン (TMFS) をヘッドスペース・ガスクロマトグラフ法で定量する方法を検討した。
大気中のふっ素を孔径0.8μmのメソブランフィルター(粒子状ふっ素化合物用) と1%炭酸ナトリウム含浸戸紙 (ガス状ふっ素化合物用) を直列に配置し, 吸引速度20
l/minで1~2時間通気捕集する。 捕集した炉紙に水20m
lを加え, 沸騰水浴上で20分間加熱抽出した後, 炉過して25m
lとし, 試料液とする。
試料液 (ふっ素イオン0.3μg以下) を50m
l用のバイアル瓶にとり, 塩酸20m
lと水を加えて全量を50mlとした後, TMCS飽和塩酸溶液1mlを加え, 直ちにゴム栓をし, キャップで密封する。 次に, 30℃の恒温水槽に入れ, 30分間振とうした後, 気相をガスタイトシリンジにて分取し, FID付ガスクロマトグラフに注入する。 TMFSのピーク高を測定し, 検量線からふっ素イオンを定量する。
本法は, 0~0.3μgの範囲で良好な直線性を示し, 0.1μg添加した場合の繰り返し実験による相対標準偏差は2.4%(n=10) であり, 共存イオンの影響も少なく, 高感度に迅速かつ簡易にふっ素イオンを定量することができた。
また, 実試料への適用として環境大気中のふっ素イオンの測定を行ったところ, 良好な結果が得られ, 定量下限は2m3通気捕集したとき, 0.01μg/m
3であった。
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