Zoysia属芝草の種子からのカルス形成及び植物体再分化に及ぼす遺伝子型, 基本培地, 硝酸銀 (AgNO
3) 添加の影響を検討した。表面殺菌した種子を, LS基本培地に5mg/l 2, 4-D, 0.1mg/l BA, 4mg/lチアミン塩酸塩, 100mg/lα-ケトグルタル酸, 3%ショ糖, 0.2%ゲルライトを添加した培地に置床した。フライアブルなカルスは種子の胚盤から誘導され, 柔らかく半透明であった。一方, フライアブルなカルスから二次的に誘導されたコンパクトなカルスは瘤状で黄白色であった。コンパクトなカルスを, LS培地に1mg/l BA, 3%マルトース, 0.5%ゲルライトを添加した再分化培地に移植した。コンパクトカルス形成率および植物体再分化の頻度は遺伝子型間で異なった。また, LS培地と小川培地を比較した結果, コンパクトカルス形成率および植物体再分化率に差異は認められなかった。5および10mg/lのAgNO
3を添加した培地では, コンパクトカルス形成およびシュート形成が有意に増加した。組織学的な観察の結果, 再分化培地に移植後2週間で, コンパクトカルスが丸みを帯び, その後, 葉原基がカルス表面に認められた。
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