情報知識学会誌
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32 巻, 4 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 2022 年 32 巻 4 号 p. 369-370
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー
  • 小風 尚樹
    2022 年 32 巻 4 号 p. 371-374
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     人類史における情報の構造化にツリー構造が果たした貢献は大きい.TEIをはじめとするテキストの構造的理解にもツリーの影響は大きいが,近年のグラフによる情報の構造化手法の台頭を背景に,TEIでも<standOff>マークアップの開発などに見られるようなグラフによる構造化の動きが出てきた.本稿では,ツリーでは構造的把握の難しいテキスト類型を対象にしたグラフによる構造化について,会計史料を例に考察したい.

  • 岡⽥ ⼀祐
    2022 年 32 巻 4 号 p. 375-378
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     文は人文学の基礎にある.したがって,人文学の探究にテキストの分節と伝達は不可欠である.その構造の認識の伝達は,これまで原典の意味構造の視覚的再現という手段で行われてきた.しかしながら,そこから研究者がどのような構造を分節したかはかならずしも伝えきれない.ここでは,デジタル特有の手段,具体的にはTEI によってそれを行うことの利点を日本古辞書の符号化を例に論ずる.

  • 間淵 洋子
    2022 年 32 巻 4 号 p. 379-382
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     本論文では,日本語史研究に資するための言語資料の電子化について,①近代活字資料,②近世版本資料,③中古訓点資料を例に,その課題と対処例を紹介し,標準スキーマとの連携の必要性について述べる.

  • 金 甫榮
    2022 年 32 巻 4 号 p. 383-388
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     本発表では,『渋沢栄一伝記資料』の別巻第1,2に収載されている渋沢栄一の日記および予定表である「集会日時通知表」のテキストデータを,TEIを用いて再構築した事例研究の成果について論じる.『渋沢栄一伝記資料』は,日本近現代史研究において重要な資料とされているが,そのテキストデータが可視化・分析されたことはまだない.本研究では,テキストデータの信頼性向上と多様なデータ分析を可能にするための構造化を行い,その成果をウェブサイト「渋沢栄一ダイアリー」で公開した.この研究過程で,TEIによるテキストの構造化が何をもたらしたかを考察する.

  • 中村 覚
    2022 年 32 巻 4 号 p. 389-392
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     TEI(Text Encoding Initiative)などを用いたテキストデータの構造化の利点の一つとして,計算機による処理が容易となる点が挙げられる.本発表では,TEIデータの可視化および分析の支援を目的とした既存のツールおよび新規に開発したツールについて紹介する.

  • 叢 艶, 高久 雅生
    2022 年 32 巻 4 号 p. 393-405
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     唐詩作品は, 中国古典文化に欠かせない重要な遺産の一つである.唐詩作品は独特な文体,押韻規則と平仄規則の制約条件がある.これらの制約条件は,唐詩作品の韻律 (リズム) の把握が可能であり,作者の気持ちや,詩文が描く風景などを感じる重要な要素である.しかし,初心者は,唐詩作品を読み,模倣し,さらに詩文を創作する際,唐詩作品の制約条件を守ることは困難であり,創作した詩文が,制約条件に合うか否かのチェックも困難である.そのため,本研究では,詩文の自動作成モデルを用いて,生成した詩文の制約条件の判定システムおよび評価システムを構築する.本研究では,事前学習済みの詩詞 GPT-2 モデルを利用し,詩文を自動作成した後,詩文の制約条件の判定と評価を行った.詩語集に任意のキーワードを 8つ選択し,100 首ずつの詩文を生成し,生成した詩文のルール判定および評価を行った.結果としては,使ったキーワードに対しては良い結果が得られた.100 首詩文を生成したうち,600 点以上の詩文の割合は 9.9%,500 点以上 600 点未満の詩文の割合は 16.8%,400 点以上 500 点未満の詩文の割合は 12.4%となった.一方で,“-1”で表した文体に合わない生成した詩文は 26.8%となった.今後,評価実験を行う予定である.

  • 阿達 藍留, 山田 俊幸, 大向 一輝
    2022 年 32 巻 4 号 p. 406-409
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     近年,人文学分野において資料の共有に対する学術的・社会的な要請が高まっている.一方,既存のデジタルアーカイブの構築手法には情報技術の知識,維持のためのコストを前提としたものが多く,データ公開を妨げる要因となってきた.そこで,本研究では資料に関わる当事者が手軽にデジタルアーカイブを提供するための静的サイト生成ツールを提案する.構築されるデジタルアーカイブは閲覧者側のWeb ブラウザでの検索やIIIF を用いた画像ビューア,外部連携用のメタデータの出力機能などを備え,利便性を確保しながらも専用のアプリケーションを必要としない.なお,本ツールはJupyter Notebook 形式で実装しており,クラウド上のPython 実行環境でも動作するため,資料情報を記載した表形式のメタデータと画像を用意するだけで使用することができる.本手法により低コストでのデータ共有が実現され,資料活用の促進が期待される.

  • 片倉 峻平, 永崎 研宣, 大向 一輝
    2022 年 32 巻 4 号 p. 410-413
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     近年陸続と発見されている中国出土資料は,古代中国研究全体にとって非常に重要な同時代資料であり,ここに記される古漢字の解読情報をコンピュータで扱えるようにすることは研究の幅を広げるために急務と言える.この問題意識のもと,報告者は出土資料の一つである「包山楚簡」を対象に,典拠文献に載せられた解読情報をテキストデータベースとしてエクセルファイルに整理してきた.本報告ではこれまで作成してきたこの「中国出土資料テキストデータベース」を軸として,そのTEIマークアップを検討する.今後の課題としては,「外字」の取り扱い方や錯簡への対応が挙げられる.

  • 永崎 研宣
    2022 年 32 巻 4 号 p. 414-415
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     本稿は,日本文化資料と関係の深い国際的な情報技術標準の事例として、ケンブリッジ大学デジタル図書館における日本古典籍を事例として紹介するものである.

  • 小川 雄太, 宮本 行庸
    2022 年 32 巻 4 号 p. 416-419
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     本稿においては共生社会の実現に資するため,全盲の視覚障害者とテレビゲームを楽しむ際に晴眼者に求められる認識について,スーパーファミコンを使った実践を通して考察を行う.盲学校に所属する教員の晴眼者であっても全盲の視覚障害者とテレビゲームの繋がりをほとんど認識していなかったが,全盲の視覚障害者とテレビゲームで遊ぶ体験がその認識を大きく変化させた.また,全盲の視覚障害者が格闘ジャンルのスーパーストリートファイターⅡ ザニューチャレンジャーズに対応できていたことを踏まえて,激しいゲーム展開が予想される他のジャンルもプレーできるという期待を持つに至った.したがって,全盲の視覚障害者とテレビゲームを楽しむため,晴眼者には全盲の視覚障害者もテレビゲームができるという先入観のない認識が必要である.

  • 石田 友梨
    2022 年 32 巻 4 号 p. 420-423
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     近年日本では観光業を中心にハラール認証の取得や礼拝室の設置が進み,イスラーム教に対する理解が求められるようになった.一方,政策としてデータサイエンス教育の推進が掲げられている.そこで,両者を組み合わせた「イスラーム×デジタル」教材を開発することにした.具体的には,クルアーンの「陸」と「海」に該当する言葉に注目したテキストマイニングや,預言者ムハンマドの言行録ハディースのText Encoding Initiative (TEI) に従ったマークアップなどの教材がある.課題としては,教材を利用する機会が少ないことから教育効果の評価ができていないこと,教材として用いることが適切であるかイスラーム教徒への調査が必要であることが挙げられる.

  • 長岡 千香子, 古川 雅子, 林 正治, 孫 媛, 山地 一禎
    2022 年 32 巻 4 号 p. 424-427
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     現在,国内の複数の研究・高等教育機関では,自大学で提供した講義の映像をまとめたOpenCourseWare (OCW),教育用ガイドライン,自学用教材等の学習・教育用コンテンツを,誰でも無償で利用できるOpen Educational Resources(OER)として公開している.これらのOERを公開するためのプラットフォームの種類は多様であるが,その一つの手段として,機関リポジトリ上で公開する試みがみられる.本発表では,日本国内のOER公開に関する取組,機関リポジトリで実際に公開されているOERへのアクセス状況の集計,機関リポジトリ上でOERを公開する際の検討事項等を通じて,OER公開用プラットフォームとしての機関リポジトリの可能性について検討・考察する.

  • 小川 潤, 大向 一輝, 中村 覚, 北本 朝展
    2022 年 32 巻 4 号 p. 428-431
    発行日: 2022/12/18
    公開日: 2023/01/27
    ジャーナル フリー

     近年、歴史資料の中で言及される出来事や状況などの歴史知識をデータ化する動きが進んでおり、その際、複雑な情報連関の表現に適した知識グラフを利用する事例が多く見られる。一方で、知識グラフは基本的に抽象化された知識リソースを扱うため、人文学研究においてとくに重要になる一次資料テクストの表現可能性が十分ではない。この課題に取り組むべく本研究は、TEI/XMLによるテクスト・マークアップと知識グラフによる情報表現を組み合わせ、歴史知識の構造化と高いテキスト参照性を実現するデータモデルとデータ構築支援システムを提案する。

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