日本地球化学会年会要旨集
2014年度日本地球化学会第61回年会講演要旨集
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G09 生物と有機物の地球化学
  • 池谷 康祐, Rachel L. Sleighter, Patrick G. Hatcher, 渡邉 彰
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 1P26
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    個々の構成成分の分子式を決定できるフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析を、黒色度の異なる土壌フミン酸10点に適用し、成分組成を比較した。個々のm/z値から分子式を求め、H/C-O/C分布により分子種を同定した。脂肪族類似化合物(H/C>1.5)は、二重結合等量(DBE)値0-7を有し、黒色度に依らずm/z 200-700で検出された。リグニン類似化合物 (0.7< H/C <1.5) のうち、m/z 500-650かつDBE値15-20の成分は、黒色度の低いフミン酸でより多く検出された。縮合芳香族類似化合物(H/C<0.7)のうち、300<m/z<500かつDBE値15-20の成分、およびm/z>300かつDBE>20の成分は、黒色度の高いフミン酸で多く検出された。
  • 川口 慎介
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 1P27
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    2010年9月,沖縄トラフ伊平屋北熱水域で「ちきゅう」による掘削調査(IODP Exp. 331)が行われた。この情報を事前に入手した我々は,掘削の直前および直後を含む2年間にわたり,半年に1度の頻度で掘削孔の様子を調査し続け,次に挙げる5つの事実を明らかにした[Kawagucci et al. 2013]。 事実1.掘削孔から高温熱水が噴出する「人工熱水」噴出が2年以上継続している。 事実2.掘削前の熱水は総じて‘甘い’組成であったが掘削後は‘辛い’組成になった。 事実3.掘削前は成長しなかった天然チムニーが掘削直後は急成長した。 事実4.掘削後に成長した上記チムニーはいわゆる黒鉱の化学組成であった。 事実5.掘削孔の周辺に低温熱水が拡散しはじめると,ただちに生態系が構築された。
  • 淵田 茂司, 岡崎 香生里, 益田 晴恵
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 1P28
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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     海洋堆積物は有機物の重要なリザーバーとして機能する。とくに,生物起源のタンパク質やアミノ酸は全有機炭素(TOC)の10-15wt.%を占めると考えられている。本研究ではIODP第338次航海(2012-2013)で採取された堆積物コア(最大913mbsf)に含まれるアミノ酸を測定し,海洋底深部域におけるアミノ酸の分布と特徴について考察した。測定の結果,全加水分解性アミノ酸(THAA)の濃度は最浅部(200mbsf)で最も高く,819.9μmol/gであった。その後,THAA濃度は深度とともに急激に減少し,最深部(913mbsf)では177.1μmol/gであった。浅部域では各種タンパク質性アミノ酸がほとんど同じ割合で存在していた。しかし,最深部ではセリンの存在比が増加しTHAAの21%を占めた。これは深部域ではアミノ酸がケロジェンなどの腐食物質に変化する熟成反応が進んでいることを示唆している。
  • 石川 優人, 栗塚 泰平, 宮本 妃菜, 大林 由美子, 金子 竹男, 癸生川 陽子, 小林 憲正, Rafael Navarro-Gonz ...
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 1P29
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    近年、地球上のさまざまな極限環境にも生物活動が知られるようになった。アミノ酸は主要な生体分子であり、地球上の生物活動の評価にアミノ酸濃度を用いる可能性が考えられる。本研究では、地球極限環境の土壌試料として世界でもっとも乾燥しているとされる南米チリのアタカマ砂漠土壌のアミノ酸分析を行い、アミノ酸分析が極限環境試料中の生命活動評価法として用いることができるか検討した。アタカマ砂漠土壌のアミノ酸濃度は、横浜国立大学土壌のアミノ酸濃度の1/750から1/70程度であり、アタカマ砂漠のような極限環境土壌中のアミノ酸濃度が極めて低いことが確認できた。アタカマ砂漠土壌試料間では、降水量が少なくてより乾燥している地点ほどアミノ酸濃度が低くなった。細菌数や酵素(ホスファターゼ)活性値でも同様の傾向がみられ、生物活動の評価にアミノ酸濃度が使用し得ることが示された。
  • 猪狩 俊一郎
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 1P30
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    当所では、地球温暖化物質であり光化学オキシダントの原料物質である空気中非メタン炭化水素(NMHC)の測定を定期的に行っている。その際、試料容器内の空気を真空ポンプでNMHC濃縮カラムに引き込むと、同量の水が試料容器に入る構造の装置を用いている。空気中のNMHC濃度は低濃度であることが多いため、使用した水からのNMHC放出による汚染が問題となる。また、天然ガス中のNMHC濃度の測定は天然ガスの起源を解釈するために重要であるが、測定を行う際、水を使用し、その水からのNMHCの放出が問題となる。しかしながら現在のところ、軽質のNMHCを除去できる市販の純水製造装置は、ほとんど無い。そこで、通常の蒸留水や水道水を用いた場合どの程度のNMHCの汚染があるか、また、どのような処理をすればNMHCを除去できるか検討を行ったので結果を報告する。
  • 杉田 隼人, 北島 富美雄, 島田 和彦, 奈良岡 浩, 清川 昌一
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 1P31
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    始生代の地球環境についての情報を得るためにケロジェンを研究対象とし、西オーストラリア・ピルバラ地塊で採取された2種の黒色頁岩をサンプルとして用いた。まずサンプルをCsF-HFで処理し、ケイ酸塩鉱物を除去することで炭素を濃縮し分析した。また、局所的に炭素が濃集している部分を探索し赤外分光などの顕微分光法による分析を試みた。SEM-EDS分析でCsF-HF未処理のサンプルを観察したところ、炭素の分布は不均質であり炭素が濃集している微粒子が存在することがわかった。この炭素微粒子について赤外分光分析を行った結果、比較的未熟成な構造を持っていることがわかった。この未熟成炭素微粒子のみを回収するためにポリタングステン酸ナトリウムを用いて重液分離を試みた。その結果、比重2.4以下のフラクションに未熟成炭素が濃集していることが元素分析とSEM-EDS分析によりわかった。
  • 浅居 大記, 西田 民人, 奥村 文章, Simon Wallis, 三村 耕一
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 1P32
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    有機化合物は、熱に対する反応性が高いという特徴を持ち、これまで数多くの研究がなされてきた。その中でも、熱を被った天然試料中の有機組成変化の研究は、ビトリナイト反射率などの熱指標を用いて評価するのが主流である。そのため、熱拡散の観点から温度を見積もり、その温度で有機組成変化を評価している研究は、現在のところ皆無でる。本研究では、火成岩貫入を経験した泥岩の最高到達温度を熱拡散の観点から算出し、その温度に対する有機物の組成変化について報告する。
    試料には、鹿児島県甑島列島に露出する白亜紀の泥岩を用いた。試料の最高到達温度は熱拡散モデリングにより算出した。そして、試料から有機溶媒抽出によって可溶性有機物、酸処理によって不溶性有機物を分離し、温度と組成変化の関係を検討した。
    研究の結果、不溶性有機物の元素比や可溶性有機物の各成分の割合は、最高到達温度が上昇するに伴い、様々な傾向を持つことがわかった。
G10 水圏環境の地球化学
  • 児玉谷 仁, 前田 千尋, 外薗 寿宗, 神崎 亮, 冨安 卓滋
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P33
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    環境中に放出された水銀は、環境中で特に有毒なメチル水銀に変化し食物連鎖を通じ生体に蓄積することが知られている。しかしながら、環境中に放出された水銀がどこでどのようにメチル水銀化するのかは詳細には明らかになっていない。本研究では、自然水銀が産出することで知られた旧イトムカ水銀鉱山周辺で,水銀の環境挙動とメチル水銀の生成について調査した結果について報告する.
  • 渡辺 勇輔, 高橋 嘉夫
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P34
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    タリウム(Tl)は殺鼠剤や農薬に使用されていた有害元素であり、非常に高い毒性を持つ。Tlは主に1価と3価の価数で存在しておりそれぞれ挙動が異なる。しかし環境中でのTlの分配挙動や存在状態については未解明な部分が多い。本研究では、水‐土壌系でのTlの化学形態を水側はHPLC-ICP-MS、土壌側はXAFSを用いて決定することで、環境中のTlの分配挙動の解明を目指した。高濃度のTlが存在する環境では水側土壌側ともに大部分が1価として存在していたが、低濃度(pptオーダー)では水側の3価の存在割合が多かった。これはTlの無機化学種のみを考慮した熱力学計算とは異なった結果であるが腐植物質等との有機錯体を生成する事でTl(III)が安定化していると考えられる。Tl溶液と有機配位子を共存させた場合1価から3価への酸化還元電位の低下が確認されたことから、Tlに対して有機物が過剰に存在する環境ではTlは有機錯体を生成し3価として存在していることが示唆された。
  • 青木 隆太朗, 小豆川 勝見, 松尾 基之
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P35
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    FeはAsに対し高い吸着能を持ち、高効率にAsの共沈を起こすことが明らかになっている。また、国内の天然のAsは非汚染地域の土壌においても2~5 mg/kg存在し、低濃度ながらも環境中への溶出の可能性は大いにある。これらの知見から、本研究では都市域のような非汚染地域においても、Feが多く見られる地点では鉄共沈によって天然由来のAsが濃集していると推測し、検証を行った。土壌、水試料共にAsの基準値を超過する地点を確認した。特にFeの析出物を多く含む土壌試料には高濃度のAsを確認した。FeとAsに高い正の相関が見られたことから、Asに対するFeの吸着能が大きく起因していることが考えられ、環境中でFeが多く析出している地点において鉄共沈によりAsの濃集が起きる可能性があることが示唆された。
  • 中川 書子, 大山 拓也, 角皆 潤, 小松 大祐, 梅田 信
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P36
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    湖沼において、窒素は一次生産を制限する主要元素の一つであることから、その窒素循環速度を定量化することは、富栄養化や窒素飽和といった環境問題の対策を検討する上できわめて重要である。本研究では、培養に頼らずに湖沼における包括的な窒素循環速度を定量することを目的に、湖水中に溶存する硝酸の天然同位体トレーサーである三酸素同位体組成を指標に用いた窒素循環速度の定量法を開発し、それを富栄養湖である三春ダム(福島県)に応用したので、その結果を紹介する。
  • 中口 譲, 池田 善紀, 濱屋 心, 高山 真太郎, 朝倉 知也
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P37
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    大阪府下を流下する天野川で夏季にpHが上昇する現象が観測された。2013年8月に連続観測した結果pHは最大9.65を示した。都市河川が塩基化するメカニズムの解明を目的に研究を行った。
  • 杉谷 けんいちろう, 森 直樹, 笠井 光, 上野 振一郎, 佐藤 都, 原田 尚美
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P38
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    河床礫付着物は,シアノバクテリア,緑藻,珪藻等の付着藻類と,他のバクテリア,原生生物,そしてシルト・粘土等の混合物であり,その化学組成もそれぞれの画分が占める割合によって大きく影響を受け,かつそれぞれの画分の化学組成も河川の汚濁の程度等の環境要因によって変化する,極めて複雑な系である。この河床礫付着物を生物地球化学的な視点から系統的に解析するため、三重県中部を流れる櫛田川を対象として,ダムのある支流蓮川を含めその全域約30地点で河床礫付着物と河川水を採取し,付着物については炭素,窒素を含む主要・微量化学組成,炭素・窒素同位体組成,オパールシリカ量を,河川水については主要陽・陰イオン濃度,溶存シリカ濃度,鉄,マンガン,亜鉛濃度を蛍光X線分析法,ICP発光分光法,分光光度法等で測定した。その結果を報告する。
  • 井上 凌, 益田 晴惠, 米澤 剛, Truong Xuanluang, Hang Do Thi, 新谷 毅, 日高 伸也
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P39
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    乾期と雨期にベトナム領内で紅河とその支流から採取した河川水試料(分析試料数は乾期:45、雨期:29)の分析を行った。得られたイオン濃度の特徴に基づいて紅河本流をラオカイ、ラオカイ‐ハノイ間、ハノイ以南の3つの地域に区分し、それぞれについて主成分と季節変化について述べる。中国との国境に接している最上流のラオカイとその周辺地域は乾期、雨期ともに最も総イオン濃度が高い地域であった。塩化物イオンと硫酸イオンの濃度も最も高く、中国領内における生活排水など人為起源による汚染物質が原因と判断された。ラオカイ‐ハノイ間はラオカイに比べて総イオン濃度が低い。これはホアンリエン山脈を涵養域とする支流から本流よりも低濃度な水が流入することが原因である。この影響は雨期に顕著で、総イオン濃度はラオカイの半分以下にまで下がる。ハノイ以南は総イオン濃度の変化が比較的小さいが、生活排水など人為起源の汚染物質の流入が原因であると考えられるような変化が各イオンにみられる。
  • 眞坂 昂佑, 植村 立, 宮城 正宙, 松本 理誠, 植村 美希
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P40
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    降水や地下水などの天水に含まれる硫酸エアロゾルは、雲の凝結核として働くことが知られており、対流圏の化学・物理過程を理解するうえで重要な物質である。硫酸エアロゾルの硫黄の安定同位体比(δ34S)は、起源ごとに特有の値を示すため、天水中のδ34S測定によりその起源を推定することができる。従来の測定法では、多量の試料からBaSO4を沈殿させ、フィルター等で回収して測定していた。本講演では、試料量の削減と簡易化を目的にして、スズ箔製のカップ中に直接BaSO4を蒸発乾固させる手法の検討と開発した手法を用いた降水試料の測定結果について報告する予定である。
  • 亀井 隆博, 山下 勝行, 大西 彩月, 栗原 洋子, 千葉 仁, 中野 孝教
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P41
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    瀬戸内海式気候に属する岡山県は年間降水量が全国平均よりも低く、安定した水資源の利用が課題となっている。岡山県をほぼ南北に流れる一級河川の水は農業用水や水道水として利用されているが、多くの元素濃度や同位体比を用いた詳細な地球化学的研究はされていない。本研究では、岡山県の一級水系である旭川水系、吉井川水系、高梁川水系を研究対象とし、河川水中に含まれる主要溶存成分、微量元素、O-H-S-Sr同位体比について分析した。
  • ポリネ メジェア, ダニエレ ピンテイ, 高畑 直人, 溫 心怡, 佐野 有司, マリ ラロクゥ
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P42
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    Groundwater flow and residence times are fundamental parameters for quantifying water resources, yet difficult to estimate. Noble gases are excellent groundwater tracers and chronometers because they are inert and have isotopes produced by radioactive decay of U, Th and K. Recently we performed groundwater studies in a region close to the most populated region of eastern Canada.
  • 新谷 毅, 森川 徳敏, 安原 正也, 益田 晴恵, 井上 凌, 淵田 茂司, Emilie Even, 根本 達也, 升本 眞二, 中野 ...
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、地下水に残された地盤沈下の影響を評価するために、大阪平野の100m以深の取水井戸を主な対象として採水し、一般水質と水素・酸素安定同位体比を分析した。また、その結果を既存の地下水分析結果と合わせて、3次元マップを作成し、大阪平野の地下水流動系の全体像の可視化を試みた。その結果を報告する。 地下水の分析結果のうち、Cl濃度、水素・酸素の安定同位体比の値をフリーソフトのGRASS GISにより3次元図にプロットした。上町台地西側の海抜0m地帯において深度100m以浅の地下水は海水の影響を受けているが、100m以深の地下水には影響がみられない。これらの地下水水質は希薄なナトリウム‐炭酸水素型である。地盤沈下発生時に難透水層である粘土層から絞り出された地下水は今も存在しており、新たな涵養によっては十分に地下水が回復していないと推定される。
  • 高橋 浩, 半田 宙子
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P44
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
     水試料のDICの炭素同位体が,試料中の炭酸塩鉱物との反応や,生物活動,大気との交換等によって,試料容器に保管している間に変化してしまうことがある.そこで,いくつかの地下水試料について,試料採取からの経過日数による同位体比の変化を測定した. 検証用の試料として,温泉水(2試料),地下水(2試料),試薬から調製した水を用いた.保存容器の材質は,ガラス,PAN樹脂,PP樹脂の3種類である. 温泉水試料と試薬では,炭素同位体の変化が少なかったが,地下水試料では,生物活動の影響と思われる同位体比の低下が見られた.この試料では,井戸からの導水途中に有機物の付着した区間が認められ,この区間での微生物の混入も考えられることから,同位体比の変化の有無が,温泉水と地下水の違いによるとまでは言いきれない. 保存容器の材質としては,PP樹脂の容器で値の変化がやや大きい傾向があった.
  • 高橋 浩, 南 雅代, 半田 宙子, 荒巻 能史, 中村 俊夫
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P45
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
     水試料の放射性炭素濃度の経時変化と保管容器の材質についての検討を行った。ガラス、PAN樹脂、PP樹脂の容器のそれぞれに試薬から調製した試料を分取して、放射性炭素濃度の経時変化を測定した。ガラス容器は、容量が130mL程度で、グリスを塗布した摺合せ栓で密閉しており(ビニールテープで固定)、容器内の上部に数mL程度の大気が残っている。PAN樹脂とPP樹脂の容器は、容量が300mL程度で、内部に大気が残らないようにしてPP製のスクリューキャップで密閉して保管した。 放射性炭素濃度の経時変化は、glass容器とPAN樹脂容器で小さく、PP樹脂容器で大きい結果となった。一方で、PP樹脂容器の炭素安定同位体比は大きな変化をしていない。混入してきた炭素成分との値の差が放射性炭素とは異なるためと思われる。PP樹脂容器は水試料の採取では一般的に用いられるが、炭素同位体分析用の試料容器には不向きであることが示された。
  • 南 雅代, 高橋 浩, 荒巻 能史, 半田 宙子, 板木 さゆり, 中村 俊夫
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P46
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    水のDICの14C分析のための化学処理法としては、沈殿法、バブリング法、ヘッドスペース法などが用いられている。海水試料については、バブリング法を用いたWOCE基準と呼ばれる国際標準の処理法が取り決められているが、海水以外の水試料の14C分析法についての取り決めはない。そこで我々は、水試料の化学処理法の違いによる14C相互比較を行うプログラム(RICE-W: Radiocarbon Intercomparison on Chemical Experiments, Water series)を立ち上げ、DIC濃度・塩濃度の異なる水試料(海水、温泉水、地下水等)を6研究機関に配布し、14C相互比較を開始した。本発表では、これまでに得られた結果のうち、化学処理法による違い、水銀添加の効果、14C濃度の経時変化について報告する。
  • 吉西 晴香, 益田 晴恵, 土岐 知弘, 中野 孝教, 申 基澈
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P47
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、付加体堆積物の初期続成作用に伴うヒ素の挙動を探ることを目的とし、堆積物および間隙水を分析した。試料は、統合国際深海採掘計画(IODP)Expedition.338 によって南海トラフ、熊野海盆沖で採取された間隙水と、間隙水を絞った残りの堆積物を用いた。間隙水濃度には深度に伴う増減が見られた。C0002 地点では深度が増すに従いヒ素濃度が増加し400 mbsf付近で最大となった。C0021、C0022では 130~180 mbsfで最大となった。一方、堆積物のヒ素濃度はいずれの地点でも深度による増減は見られない。間隙水と堆積物のヒ素濃度には、明白な関係性は認められない。C0002 地点において、間隙水中のヒ素濃度が最大となる400 mbsf では,メタンハイドレート起源の淡水の希釈により、塩化物イオン濃度が最小であった。本研究で用いた堆積物カラムでは、ヒ素と鉄含有鉱物は同時に挙動せず、メタンハイドレート中の淡水とともに移動している可能性が示唆される。
  • 金銅 和菜, 奥西 勇介, 山本 智子, 山中 寿朗
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G10 水圏環境の地球化学
    セッションID: 1P48
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    鹿児島湾奥部海底には姶良カルデラと呼ばれる火山性陥没地形が存在する。その東部海底には現在活動中の火口の一つと考えられている若尊火口が存在し、活発な噴気活動が認められている。噴気ガスの主成分は二酸化炭素及びメタンである。火山ガスモニタリングは火山活動の状態を把握する有用な方法の一つである。本研究では過去6年間のCO2フラックス及びメタンフラックスの推定、またメタン酸化細菌によるフラックスへの影響を調査することを目的とし、溶存二酸化炭素の濃度と炭素同位体比及びメタン濃度を測定した。見積ったCO2フラックスは年ごとに変動はあるものの、大きな変化は見られなかった。全炭酸のδ13C値は海底から直上60mで7‰低下しており、メタン濃度の著しい低下も見られた。このことから、若尊火口内で活発なメタン酸化が起きており、メタン酸化細菌によってmMオーダーのメタンが消費されている可能性が考えられる。
G15 初期地球と生命起源の地球化学
  • 香田 輝, 仲井 貴弘, 金丸 博, 鶴山 真美, 桑原 裕典, 三田 肇
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G15 初期地球と生命起源の地球化学
    セッションID: 1P49
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
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    生命の誕生には、生体を構成するアミノ酸のようなモノマーの生成、それらの重合と機能発現が必要である。ここはリンゴ酸モノアンモニウムの加熱熔融系について、構造形成と構造形成に伴う分子の選択などについての研究を行った結果について報告する。リンゴ酸モノアンモニウムを加熱して得られたプロテノイドから球状構造物であるプロテノイドミクロスフェアを得た。SEM観察により、直径はおおよそ1 mm程度であり、形成時に共存するイオンをNa+やK+から、Mg2+に変えると大きなミクロスフェアが形成した。また、金属イオン濃度が高くなると、粒径がより大きくなった。ただし、粒径が大きくなるとミクロスフェアの凝集や沈殿が生じ、均一な分散状態が失われた。これらプロテノイドとプロテノイドミクロスフェアの関係について議論する。
  • 須田 好, 上野 雄一郎, Alexis Gilbert, 山田 桂大, 吉田 尚弘, 丸山 茂徳
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G15 初期地球と生命起源の地球化学
    セッションID: 1P50
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    地球上の生命がいつ・どこで・どのように誕生したのかは、地球史上最大の謎の一つである。生命誕生場の有力候補として、蛇紋岩に胚胎する熱水あるいは温泉環境が考えられている。この蛇紋岩系では深海や陸上といった地質環境の違いによらず炭化水素の存在が報告されており、無機的に生成された可能性が示唆されている。しかしながらその生成メカニズムに関しては未だ十分に理解されていない。そこで、陸上の蛇紋岩体中に位置する白馬八方温泉において継続的かつ系統的な(C, H)安定同位体比解析を行い、炭化水素の生成メカニズムの解明を試みる。
  • 三島 郁, 上野 雄一郎, Maarten de Wit, Harald Furnes, 齋藤 拓也
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G15 初期地球と生命起源の地球化学
    セッションID: 1P51
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    地球大気の化学組成は46億年の固体地球と生命活動の変化の結果、劇的に変化してきたと予想される。24億年前以前の堆積岩から硫黄の質量に依存しない同位体分別(S-MIF)が発見されたことにより、現在とは異なる硫黄循環と還元的大気が主張された。近年、太古代堆積物のD36S/D33S比は大気組成変動の強力なトレーサーとなることが注目されている。従来の研究は後期太古代を対象としS-MIFの研究が活発に行われており、30億年以前でD33S-D36Sの変動を報告した例は少ない。太古代の初期におけるD36S/D33S比を决定することにより、後期太古代の変動と対比することは極めて重要である。本研究では約35億年前の南アフリカ・バーバートン緑色岩帯を研究対象地域とし、そのドリルコア試料を用いて全岩4種硫黄同位体分析を行った。その結果D36S/D33S比が後期太古代とは異なる変化を示し、大気組成の違いを反映している可能性がある。
  • 石川 宏, 大竹 翼, 川井 洋二, 佐藤 努, 掛川 武
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G15 初期地球と生命起源の地球化学
    セッションID: 1P52
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
     地球表層の酸化は酸素発生型光合成細菌の出現が原因であると考えられているが、その進化時期と初期地球表層環境の変遷については明らかになっていない。主に先カンブリア時代に産出する縞状鉄鉱層の微量元素や同位体組成は、形成当時の海洋溶存成分を反映していると考えられ、初期地球表層環境の推定に用いられてきた。本研究の目的は,南アフリカ・バーバトン地域において主に浅海性堆積岩から構成されるムーディーズ層群中の約32億年前に形成した縞状鉄鉱層中で発見されたクロム濃集の空間的広がりを明らかにすることである。そのため、バーバトンから南西に10kmほどに位置する、先行研究においてクロム濃集がみられたMoodise Hills (MH)および北東に10kmほどに位置するEureka synclineにあるGate of Paradise (GP)において調査を行った。
  • 青山 慎之介, 上野 雄一郎
    原稿種別: ポスター講演
    専門分野: G15 初期地球と生命起源の地球化学
    セッションID: 1P53
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    微生物硫酸還元は地球史を通じて普遍的に行われてきた微生物代謝方法の1つである。一般に太古代で観測されるsulfate-sulfide間の硫黄同位体分別は最大でも20‰程度であり、現世で観測される分別と比較して小さい。しかし太古代の玄武岩・コマチアイトは大きな分別を示す可能性がある。また微生物活動の深度とアクティビティを制約することは、太古代当時の地下生物圏の下限深度を決めることに他ならない。本研究は西オーストラリア・ノースポール地域に産出する玄武岩6試料、コマチアイト2試料の計8試料から硫化鉱物の硫黄を抽出し、モデルを構築し観測結果を解析した。その結果、一部の硫化鉱物を説明するためには60‰以上の分別係数が必要であることがわかった。これらの結果は太古代海洋において初生的な硫化鉱物と硫酸濃度のマスバランスが見かけの同位体分別を支配していたことを示唆している。
口頭発表(第2日目)
F1 地球化学を先導する研究計画検討会
  • 日高 洋, 寺田 健太郎, 圦本 尚義
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    宇宙化学分野からは惑星探査,探査によってもたらされるリターンサンプルのキュレーション体制の強化,新しい分析手法の開発を伴うリターンサンプルのキャラクタリゼーション等を包含する大型研究計画を提案する。
  • 岩森 光, 鍵 裕之, 鈴木 勝彦, 折橋 裕二
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    地球創生から現在までの地球の起源と進化をたどるには、アラユルニウム的に広範なデータを系統的に収集し、データの全体構造をまんべんなく(統計的に公平に)とらえる必要がある。そのようなビッグデータ解析とは、「データ数が多い」ことが重要なのではなく、全体の構造・関連性を見ることが重要である。このことを、実例を挙げながら議論する。
  • 角皆 潤, 小畑 元, 川口 慎介
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    科学研究に共同利用可能な飛行艇を国内に導入すべきであると考えており、これを機会に同志と導入実現のためのアイデアを広い分野から募りたい。
  • 野村 大樹, 西岡 純, 川合 美千代, 大木 淳之, 田村 岳史
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    我が国におけるこれまでの海氷研究は、主に物理過程を明らかにすることに主眼が置かれ、海氷の物理的動態を実測や衛星観測、モデリングから明らかにする研究が精力的に進められてきた。一方で、海氷に関わる化学過程や生物過程に関しては、これまで十分な研究が展開されていなかった。海氷の生成が生み出す独特の海洋循環を介して、他海域の物質循環にまで多大な影響を与えているシステムの存在が指摘されており、これらのシステムを理解するためには、海氷の存在する時期から消失していくまでの詳細な時系列観測、ポリニヤにおける海氷の生成が起こっている現場での観測が欠かせない。また、地球規模で起こっている環境変動を理解するためには、通年観測する必要があり、海洋研究プラットフォームを生物地球化学分野で最大限活用すると同時に、厳冬期でも観測が続けられる本格的な観測研究用の砕氷船が欠かせないだろう。
  • 奈良岡 浩, 藪田 ひかる
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    有機物・生命活動が関与する地球化学は非常に幅広く(図1)、単に宇宙地球化学に止まらず、サイエンス全体に及んでいると言っても過言ではない。これらの中には地球上の生命の起源や宇宙での生命普遍性のような根源的問題から進行中の国内外の様々な大型プロジェクトのほかに、人類が直面している様々な問題も含まれる。一方で、現代のサイエンスの進歩は著しく速く、一世代前には予想もされなかったことが解明されている。ブレークスルーは徐々に起こるのではなく、初めて手にする試料、全く新しい分析法や実験によってもたらされる。それらには革新的な技術が欠かせない。
  • 原田 尚美, 大河内 直彦, 南 雅代, 関 宰, 岡崎 裕典
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    古気候・古環境研究とは、広い時空間スケールにわたって宇宙-地球間や海洋-大気-陸域の各系間における多様なリンクについて知り、そこから地球表層環境の本質をえぐり出す研究分野である。多くのオープンクエスチョンの中でも「気候変動のドライビングフォース」・「物質循環」・「進化」に関する内容は関心が高い。このような問題の解決に地球化学が貢献すべき点は多く、新しい代替指標や分析法の開発、データの時空間スケールの高度化といったアプローチが必要不可欠である。研究推進には、労力と予算に加え、堆積物コア・アイスコア・サンゴなど古気候情報をもつ試料採取・分配をはじめとし、分野全体を網羅かつ統括した体制づくりが重要となる。大きな拠点を作り、微量安定同位体測定装置や目的に応じた各種質量分析計など先端的な大型装置を導入するといった大型予算を伴うやり方、古環境・古気候研究を進める既存のラボを有機的につなげたバーチャルラボラトリーの構築とネットワーク強化といった低予算型のやり方まで、複数のプランを練っておく必要がある。
  • 平田 岳史, 佐野 有司, 角皆 潤, 寺田 健太郎
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    質量分析計は、最も高感度な元素分析法、同位体組成分析法の一つとして、地球化学研究だけではなく、様々な応用研究分野でなくてはならないものとなっている。本講演では、次世代の地球化学を先導する分析技術として、マルチイオン源質量分析計と分子分光法を用いた同位体分析法を提案したい。
  • 角野 浩史, 豊田 岐聡, 青木 順, 河井 洋輔, 中山 典子, 古谷 浩志, 丸岡 照幸, 橘 省吾, 西尾 嘉朗, 折橋 裕二, 森 ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    質量分析法は、地球化学において重要な指標である元素の同位体比や微量元素濃度の測定に不可欠であり、地球化学は質量分析技術の進化とともに発展してきたとも言える。近年、更なる高感度・高精度を目指して質量分析装置の大型化が進む一方で、小型・軽量の可搬型質量分析計の開発は、惑星探査機に搭載された特殊な例を除いて、ほとんど行われていない。本講演では、多重周回飛行時間型質量分析計”MULTUM”を用いた、分野横断的なリアルタイム・オンサイト地球化学の展開を提案する。
  • 高橋 嘉夫, 石橋 純一郎, 益田 晴恵, 山岡 香子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A09
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    将来の地球化学の方向性として、分子レベルの物理化学的素過程の理解が、地球環境の精密予測につながることを示す。こうした研究の方向性は、地球化学が本来固有に持つ興味に基づくものであることを示し、様々な分野での分子地球化学的研究に基づく環境地球化学を大型研究計画で提案したい。
  • 土岐 知弘
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: F1 地球化学を先導する研究計画検討会
    セッションID: 2A10
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本プロジェクトは,沖縄トラフの海底熱水鉱床掘削の推進施設として,コア保管庫,物性計測装置,化学分析装置を有する「国際地球化学研究拠点“GUSUKU(Geochemical Universal Study Unit - Knowledge Utility -)”」の建設を目指すものである。本センターでは,海底掘削による深海底生態系への影響評価研究にも資するために,深海大型生物の研究標本や微生物遺伝子ライブラリーの整備など,大型生物を含めた生物関連分野との連携が大きな目玉である。また,沖縄本島北部振興策とタイアップし,名護市周辺に掘削船からの直接搬入プラットホームや輸送用鉄道の敷設,移動用ヘリポートの建設など,コア試料の運搬に関するインフラ整備も同時に進める。推進母体としては,琉球大学,GODAC及びOISTが連携し,沖縄本島北部地域の協力を仰ぎつつ,「地域特性に基づく資源・環境に関する研究教育拠点の形成」を行う。
G09 生物と有機物の地球化学
  • 新家 弘也
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 2B01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    セレンは、酸素や硫黄と同族元素であり、我々ヒトも含めた多くの生物にとって生体必須微量元素のひとつである。海洋性微細藻類にとってセレンは、数多くの種で生育の必須元素であることが知られており、赤潮の消長への関与も示唆されている重要な成長因子である。しかし、機能態であるセレン含有タンパク質にばかり注目が集まっており、セレンの細胞内への輸送や代謝についての報告は少ない。本発表では、我々の研究により明らかとなった、円石藻におけるセレン生理機能の全体像を中心に、海洋性微細藻類におけるセレン利用について紹介する。
  • 竹田 真佑美, 沢田 健, 高野 淑識
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 2B02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    南極スカルブスネス露岩地域に分布する淡水湖の長池,塩湖のすりばち池および舟底池の堆積物の脂質バイオマーカー分析と顕微鏡観察を行い、過去数千年間の古環境変動を復元した。また、極限環境の生態系や生物の挙動を理解することを目的として古生態系の復元を試みた。その結果、淡水湖の長池では、水生蘚類に加えて藍藻や緑藻・珪藻、塩湖のすりばち池および舟底池では珪藻が主な生産者であることがわかった。また、珪藻に由来する高分枝鎖イソプレノイド(HBI)アルケンは海水の流入を経験した湖から検出され、淡水湖の長池からは検出されない。ハプト藻に由来するアルケノンはすべての湖で検出され、各々の湖でその組成の違いがみられた。バイオマーカーに記録された古生態系変動は,温暖/寒冷化といった南極大陸の気候変化に連動していることが推察された。
  • 中村 英人, 沢田 健, 新家 弘也, 鈴木 石根, 白岩 善博
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 2B03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    陸水のアルケノン生産種を含むグループであるハプト藻イソクリシス目(Isochrysidaceae) のアルケノン組成と系統の関係を明らかにするため、培養株7株の LSU rDNA 塩基配列を決定して分子系統解析を行い、これらの株のアルケノン組成を比較した。培養株は Tisochrysis Isochrysis に分類され、Tisochrysis の株は、4不飽和アルケノンをほとんど持たない点が共通していた。一方で、Isochrysis のうち2株は4不飽和アルケノンを顕著に含み(%37:4 > 5)、2不飽和アルケノンの割合が少なかった。これらの特徴は先行研究のデータを加えても調和的であり、Tisochrysis Isochrysis をよく区別する化学分類学的特徴である可能性が示唆された。
  • 宮田 遊磨, 沢田 健, 中村 英人, 高橋 正道
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G09 生物と有機物の地球化学
    セッションID: 2B04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    陸上高等植物はクチンやスベリン、リグニンといった特殊な抵抗性高分子を発達させてきた。これらの抵抗性高分子はその構造や構成するモノマーの組成が植物の種類や器官、成長段階などによって異なることが知られている。本研究では、白亜紀の植物組織の化石を用いアルカリ加水分解性脂質を分析し、古代堆積物中における抵抗性高分子の保存過程やその構成分子組成による化学分類を検討した。試料は白亜紀コニアシアンの双葉層群芦沢層から産出した小型化石を用いた。試料は遊離態成分を抽出後、その残渣をKOH/メタノールでアルカリ加水分解を行った。分解抽出された成分をGC/MSで分析・定量した。一部の非炭化試料からは典型的なクチン酸が顕著に検出され、白亜紀のような古代堆積物においても生体が持つクチン酸がよく保存されることがわかった。クチン酸の異性体組成は現生の植物を使った研究とも調和的であり、白亜紀の植物化石においても強力な化学分類指標として応用可能であることが立証された。
G01 大気微量成分の地球化学
  • 山川 庸芝明, 坂田 昂平, 宮原 彩, 宮本 千尋, 高橋 嘉夫, 坂口 綾
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C01
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    地球温暖化に影響を与える要因にエアロゾルによる冷却効果が挙げられる。エアロゾル中のシュウ酸は間接的冷却効果をもつとされているが、吸湿性を示さない金属錯体を形成することによる冷却効果の低下が示唆されている。そのため、錯体生成の効果を精密に解析し、シュウ酸の吸湿性及び冷却効果を評価することは地球温暖化を正確に予測する上で重要である。そこで本研究では、シュウ酸の吸湿性および安定性について評価した。その結果、1.7 µm以下の粒径において全シュウ酸に対して30-60%のシュウ酸が不溶性の金属錯体を形成していることが明らかとなった。そのため、シュウ酸による間接的冷却効果はこれまでの推定よりも小さいと考えられる。また、シュウ酸は金属錯体を形成することにより、光分解性が低下することが分かった。そのため、大気中のシュウ酸は金属錯体を形成することにより、他の水溶性有機物と比較してエアロゾル中に高濃度存在していると考えられる。
  • 河村 公隆, 立花 英里, 坂本 陽介, 廣川 淳
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C02
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    イソプレンーオゾン反応による微粒子中の生成物をガスクロマトグラフ(GC), GC/MSにて解析し、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリオキサール酸、グリオキサール、メチルグリオギサールなどを検出した。反応の初期では、メチルグリオギサールが主成分であったが、反応の時間と共にシュウ酸が主成分に取って代わった。本研究は、イソプレンは、シュウ酸など低分子ジカルボン酸の重要なソースであることを明らかにした初めての室内実験である。
  • Kundu Shuvashish, Kawamura Kimitaka, Kobayashi Minoru, Tachibana Eri, ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C03
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    東アジアにおける大気エアロゾル中のグリオキサールおよびメチルグリオキサール濃度の増加について(2001-2008)(英語での発表になりますので、英語の要旨をご覽ください)
  • 伊藤 彰記, Lin Guangxing, Penner E. Joyce
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C04
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本発表では、エアロゾル中と雲水蒸発時におけるグリオキサールおよびメチルグリオキサールのアンモニウムとの反応により生成される有機態窒素の生成過程を全球エアロゾル化学輸送モデルに組み込んだ。その結果、このボトムアップ手法による海洋への有機態窒素の予測値は、トップダウン手法による推定値と比較して南半球の外洋において重要な供給源となることが示された。しかし、主要な産業地域において、ボトムアップ手法による有機態窒素の予測値がトップダウン手法による推定値を過小評価する原因については不明であり、今後さらなる研究が必要となる。
  • 松本 潔, 田草川 文, 山本 裕也
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C05
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    大気から陸域への窒素沈着量の増大により引き起こされる環境影響が懸念されているが、不均質な地表面特性をもつ陸域環境への沈着量の見積もりには不確かさが大きく、様々な環境における観測データの蓄積が必要である。近年の研究から、エアロゾルや降水中に有機態窒素成分が検出され、その大気化学過程や窒素沈着への影響が考察されているが、大気からの有機態窒素の沈着量に関する観測データは少ない。本研究では、エアロゾル、その前駆ガス、沈着物中の窒素成分の分析結果より得られた、大気からの有機態窒素の沈着に関する知見を報告する。
  • 坂田 昂平, 坂口 綾, 高橋 嘉夫, 永石 一弥, 谷水 雅治
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C06
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では大気中におけるホウ素(B)の挙動をB同位体の分別過程から明らかにするために、都市域、海上で採取した粒径分画エアロゾル中のB同位体比測定を行った。都市域では海塩粒子の寄与が大きい粗大粒子でB同位体比が高く、人為的活動の寄与が大きい微細粒子でB同位体比が低かった。また、海上の粗大粒子では海水(d11Bとして+39.6‰)より低いB同位体比が、微細粒子では海水より高かった。都市域、海上ともに粗大粒子では海塩粒子の寄与が大きいが、その間のB同位体比の差が大きいため、海塩粒子に対して同位体分別が生じていると考えられる。その過程は(1)11Bの選択的気化、(2)10Bの選択的共沈だと考えられる。高いB同位体比が海上の微細粒子にみられる原因として、海塩粒子から気化した高いB同位体比を持つガス状Bの濃集が考えられる。このように、エアロゾル中のB同位体比から、Bの挙動を把握できる可能性が本研究により示唆された。
  • 南 秀樹, 的場 澄人, 植松 光夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C07
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    東海大学札幌キャンパス屋上(札幌市南区)および北海道大学北方生物圏フィールド科学センター天塩研究林庁舎前観測露場(幌延町問寒別)において,粗大粒子(d>2.5μm)と微小粒子(d<2.5μm)に別けて大気中のエアロゾルを採取した(2008年から2012年)。採取したフィルターから主要イオンと微量金属元素を測定し,都市型大気の札幌市と清浄地である天塩研究林のデータを比較しながら考察する。
  • 池田 恒平, 山地 一代, 金谷 有剛, 竹谷 文一, Pan Xiaole, 駒崎 雄一, 黒川 純一, 大原 利眞
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G01 大気微量成分の地球化学
    セッションID: 2C08
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/12
    会議録・要旨集 フリー
    化学輸送モデルを用いて排出量感度実験を行い、2010年の日本のPM2.5質量濃度に対する人為起源の発生源地域別寄与を評価した。モデルはPM2.5濃度の時間変動や地域分布を概ね再現していた。年平均濃度に対する中国からの寄与は、関東以西で40-60%を占めた。中国の中では、中国中北部からの寄与が主要であった。越境輸送の寄与は、西日本では、秋から春季にかけて大きくなり、夏季に小さくなった。西日本では、日本国外からの寄与が国内起源を上回る一方、関東地方では国内起源が最も重要(50%)であった。東アジアスケールの越境輸送が、環境基準の達成に対し重要な一因となることが示唆された。
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