岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
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15 巻, 2 号
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原著
  • 佐々木 実, 金子 克
    1990 年 15 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 1990/08/30
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    Staphylococcus epidermidis の産生するslime中のproteaseが, Tリンパ球膜抗原CD2, CD3, CD4, およびCD8に対する作用とマクロファージ活性化因子(MAF)産生におよぼす影響について検討した。S. epidermidis slime protease(slime protease)処理によりTリンパ球CD2, CD4およびCD8とそれぞれに対するモノクローナル抗体の結合が阻害され, その結果, CD2, CD4およびCD8陽性細胞数はslime proteaseの用量に依存して減少した。また, phytohemagglutnin刺激によるTリンパ球からのMAF産生もslime proteaseでTリンパ球を処理すると, 用量依存的に抑制された。なお, 本実験でslime proteaseは, Tリンパ球に対し細胞毒性を示さなかった。

    以上の結果から, slime proteaseによりTリンパ球が活性化されてできる活性物質MAFの産生は抑制されることが示された。このことはslime proteaseがTリンパ球膜抗原を分解して, 障害を与えることにより引き起こされたものと考えられる。

  • 本田 寿子, 金子 克, 村田 政美
    1990 年 15 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 1990/08/30
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    1982年から1989年までの8年間に, 岩手県久慈地方で分離したβ溶血レンサ球菌1,843株について, 溶血レンサ球菌用免疫血清(生研)を用いて群別と型別を行った。また, 分離したA群レンサ球菌についてpenicillin, ampicillin, cephaloridine, cephalexin, oleandomycin, lincomycin, tetracycline, chloramphenicol, erythromycinの合計9薬剤に対する感受性試験を行った。

    分離したβ溶血レンサ球菌1,843株のうち, A群レンサ球菌は1,393株, B群レンサ球菌は442株, C 群レンサ球菌は1株そしてG群レンサ球菌は7株であった。A群レンサ球菌1,393株のT型別をみると, T12型が386株(27.7%)で最も多く, T 1型は260株(18.7%), T 4型は249株(17.9%), T6型は 140株(10.0%),そしてT13型113株(8.1%)の順であった。これを年次別に首位のT型をみると1982 年と1989年にはT1型, 1983年にはT13型, 1984年と1985年にはT4型, 1986年と1987年はT12型で, 1988年にはT6型で年次毎に変化した。このT型の年次別推移は, 盛岡市における同時期(1978年から1988年)のA群レンサ球菌の年次別推移とは様相が異なり, 同じ岩手県内においても明らかに地域差がみられた。薬剤感受性についてはpenicillins, cephemsに高い感受性を示したが, erythro-mycin, oleandomycin, lincomycinには高度耐性(≧200μg/ml)菌もあった。また, tetracy-clime耐性菌(≧25μg/ml)が1984年1985年に多かったが, 1984年にはT4型が114株(50.2%), 1985年には57株(26.5%)と高率に分離してtetracydine耐性とT4型の関連性がうかがわれた。

  • 小野 玲子, 石川 亮子, 古館 淳子, 佐藤 輝子, 野坂 久美子, 甘利 英一
    1990 年 15 巻 2 号 p. 128-142
    発行日: 1990/08/30
    公開日: 2017/11/20
    ジャーナル フリー

    昭和58年から62年までに本学小児歯科外来を訪れた, 1歳から17歳までの患者1,579名の乳歯12,066歯, 永久歯727歯に行った歯冠修復処置について, その内容を検討すると同時に, 処置後に発生したトラブルについても調査した。

    歯冠修復数は, 5年間で約2.5倍に増加し, メタルインレーが最も多く, 36.5%を占め, 次いでコンポジットレジン, 乳歯用既製冠, レジンジャケットクラウン, グラスアイオノマーセメント, 鋳造冠であった。各年度とも, 3~5歳児に行った修復が最も多く, 全体の約70%を占めていた。歯種別の修復数は, 乳歯では, D, E, E, D, A, 永久歯では, 6, 6, 1, 2, 7の順であった。5年間におけるトラブルは, 総修復数の16.5%であり, 最も多いトラブルは脱落で, 次いで破折, 不快症状, 二次齲蝕の順であった。トラブルの発現は, 58年の25.7%から, 62年の7.3%と経年的に減少傾向にあった。トラブルの発現する頻度は, 乳歯では, 上顎でA, B, D, C, E, 下顎ではA, D, E, C, Bの順に, 永久歯では, 2, 1, 6, 6の順に高かった。

例会記事
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