昭和58年から62年までに本学小児歯科外来を訪れた, 1歳から17歳までの患者1,579名の乳歯12,066歯, 永久歯727歯に行った歯冠修復処置について, その内容を検討すると同時に, 処置後に発生したトラブルについても調査した。
歯冠修復数は, 5年間で約2.5倍に増加し, メタルインレーが最も多く, 36.5%を占め, 次いでコンポジットレジン, 乳歯用既製冠, レジンジャケットクラウン, グラスアイオノマーセメント, 鋳造冠であった。各年度とも, 3~5歳児に行った修復が最も多く, 全体の約70%を占めていた。歯種別の修復数は, 乳歯では, D, E, E, D, A, 永久歯では, 6, 6, 1, 2, 7の順であった。5年間におけるトラブルは, 総修復数の16.5%であり, 最も多いトラブルは脱落で, 次いで破折, 不快症状, 二次齲蝕の順であった。トラブルの発現は, 58年の25.7%から, 62年の7.3%と経年的に減少傾向にあった。トラブルの発現する頻度は, 乳歯では, 上顎でA, B, D, C, E, 下顎ではA, D, E, C, Bの順に, 永久歯では, 2, 1, 6, 6の順に高かった。
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