岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
Print ISSN : 0385-1311
ISSN-L : 0385-1311
2 巻, 2 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
巻頭の辞
総説
原著
  • 第1報 対象症例分析
    関 重道, 関山 三郎
    1977 年 2 巻 2 号 p. 79-85
    発行日: 1977/07/30
    公開日: 2018/12/23
    ジャーナル フリー

    ロ腔領域疾患204例に細胞診を施行し, 症例分析を試みた。対象症例の平均年令は51.9才, 性別では男94例, 女110例で男女比は1:1.2だった。

    臨床診断分類では, 悪性腫瘍新鮮例が39例(19.1%), 再発を疑った症例は27例(13.2%), 両者で66例 (32.3%)と最も多く, 全例とも組織診で悪性腫瘍と診断された。次いで潰瘍・びらん43例(21.1%), 良性腫瘍23例(11.3%), 炎症20例(9.8%)などであった。採取部位では, 上顎が最も多く67例(32.9%), 次いで, 下顎54例(26.6%), 舌44例(21.7%), などであった。採取方法は擦過177例(86.8%), 穿刺27例(13.2 %)であった。判定は位相差顕鏡法と染色法にて総合判定を行ない分類はPapanicolaouの分類に従った。

    正診率は84.4%, 誤診率は9.2%, 偽陽性率は0.6%, 偽陰性率は8.6%という結果を得た。偽陰性率が8.6%と高い値を示したが, これには悪性腫瘍の再発例が13例を占め, 偽膜の形成, 炎症の合併, 治療の影響などによるものであり1つの問題点であろうと思われた。

  • 鈴木 隆, 八幡 文和, 平 孝清, 松本 範雄, 林 謙一郎
    1977 年 2 巻 2 号 p. 86-97
    発行日: 1977/07/30
    公開日: 2018/12/23
    ジャーナル フリー

    ネコの8本の歯髄に電気刺激を与え, 大脳皮質誘発電位(EP)を記録した。歯髄内麻酔ならびに抜髄操作などにより, EPは歯髄神経要素だけの興奮で得られることを確認したのち, 下記の観察を行った。

    1)EPの波形は, 潜時の長短により第1次誘発電位と第2次誘発電位に大別される。前者の頂点時, 振幅は刺激強度の対数に比例して規則的に増減した。

    2)第1次EPの振幅を指標に, 歯髄から大脳皮質への神経投射を調べると, 体性領SIならびにSへは対側歯よりの投射が優勢で, Sは両側性支配を受けるが同側歯よりの投射が著名であった。

    3)上記投射を歯牙の位置, 種類別に比較すると,下顎歯優勢で, 臼歯からの投射は犬歯のそれよりも明瞭であった。

    4)歯列の同型複原的投射の存否に関する所見については結論を下すことは困難と思われた。

    5)2本の歯牙を同時的に刺激(複合刺激)すると, その組合せの選び方によりEPは促進または抑制効果を受けた。

症例報告
  • 大淵 義孝, 水野 明夫, 関山 三郎, 鈴木 鍾美, 山岡 豊
    1977 年 2 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 1977/07/30
    公開日: 2018/12/23
    ジャーナル フリー

    われわれは, 食道悪性腫瘍にて入院し, 舌背中央部の腫瘤を担当医に指摘され, 精査のため受診した正中菱形舌炎の1例を経験したので報告する。

    患者は55歳男性。2~3ケ月前, 鏡で見ていて舌が荒れているかと思ったことはあったが, 他には特に症状はなかった。初診時の口腔内所見としては, 舌背正中部の後方に楕円形の境界明瞭な隆起が認められ, その前後径は32㎜, 左右径16㎜と前後に長く, 最大隆起は約5mmであった。表面は舌乳頭を欠如し, くすんだ赤色を呈していた。更に同部は4~5個の腫瘤に分割された外観を呈し, それぞれの表面はやや凹凸不正であった。硬度は弾性硬で接触痛, 圧痛は認められず, 周囲に硬結は触知しなかった。

    生検による病理組織像としては, 舌粘膜上皮は異角化ないし錯角化症を呈し強い棘細胞症がみられ, 一部にはかなり深層への粘膜上皮の陥入増殖像がみられた。上皮下組織には広汎な慢性炎性浸潤が存在していた。なお, 粘膜上皮の表層付近にカンジダが証明された。

例会記事
岩手医科大学歯学会第3回例会抄録
feedback
Top