原発性マクログロブリン血症に併発した多発性口腔内腫瘤を伴った全身性AL アミロイドーシスの1 例を経験したので報告する. 患者は65 歳の男性で, 口腔内の多発性腫瘤の精査のため当科を紹介され受診した. 既往歴では2002 年に原発性マクログロブリン血症を発症し, 化学療法を受けていた. 2012 年に皮膚の結節をアミロイドーシスと診断されていた. 口腔内診察では, 下顎前歯部口腔前庭に25 × 20 × 15 mm 大の腫瘤を認め, 両側小臼歯部まで大豆大の腫瘤を数個触知した. 舌背中央と舌下面にもそれぞれ20 × 15 × 5 mm, 30 × 15 × 10 mm 大の腫瘤を認めた. 境界明瞭な腫瘤はいずれも黄色を帯びて弾性硬を呈し, 表面粘膜は平滑であった. おのおのの腫瘤からの生検ではアミロイドーシスの診断であった. アミロイドーシスは病型診断でALκ型と診断され, Waldenström macroglobulinemia に伴う全身性AL アミロイドーシスと最終的に診断された. 口腔内の腫瘤は, 患者の希望により外科的切除は行わず, 経過観察とした. その後2 年間, 血液内科では化学療法が継続されたが, 消化管アミロイドーシスが進行したことによる栄養吸収不良により全身状態が悪化し, 2016 年5 月に永眠した.
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