義歯性口内炎患者の義歯床粘膜面 denture plaque から分離した Candida albicans (serotype A) T株の表層多糖体である菌体抽出画分 (粗多糖体, 粗マンナン, 中性マンナン, 酸性マンナン) を分離, 精製し, これらの菌体抽出画分を抗原として, C. albicans 死菌感作モルモットに対しての遅延型皮膚反応試験, マクロファージ遊走阻止試験を行った。また, 菌体抽出画分の起炎性を調べるため皮膚毛細血管透過性亢進試験を行った。さらに, ラットロ蓋粘膜に粗多糖体を塗布し, 口蓋床を装着し組織学的観察を行い, 以下の結果を得た。
1. 遅延型皮膚反応試験では粗多糖体にのみ強い遅延型皮膚反応活性を示し, マクロファージ遊走阻止試験ではいずれの C. albicans T株菌体抽出画分にもマクロファージ遊走阻止活性を示した。これらのことから C. albicans T株抽出マンナンに遅延型アレルギー活性があることが認められた。
2. 皮膚毛細血管透過性亢進試験ではいずれの C. albicans T株菌体抽出画分にも起炎性が認められた。
3. ラットロ蓋粘膜に粗多糖体を塗布し, 口蓋床を装着したラットロ蓋粘膜における組織学的観察では, 慢性炎症性所見が認められた。
以上の結果から, C. albicans 抽出マンナンは義歯性口内炎の病因の一つとして深く関与していることが示唆された。
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