著者は, 舌癌切除後に胸鎖乳突筋皮弁を使用し, 即時再建を行った1例を経験したので報告する。
症例は, 57歳の女性で約2ヵ月前より左舌側縁部の疹痛と腫瘤を形成した。2週間前より疹痛が増強してきたために, 某耳鼻科より紹介来院した。現症は体格中等度, 栄養状態良好で, 他に特記事項はなかった。 所属リンパ節, 頸部リンパ節は触知しなかった。口腔内所見では, 左舌側縁部から口腔底・反対側舌におよぶ潰瘍と硬結を認めた。臨床診断: 舌悪性腫瘍(T3N0M0)。病理組織診断: 高分化型扁平上皮癌。手術および経過: PEP70mg筋注の後, 左頸部廓清, 舌・口腔底切除, 胸鎖乳突筋舌皮による即時再建を行った。胸鎖乳突筋皮弁の生着状態は良好で, 術後5週目より経口摂取が可能となり, 誤嚥することもなく, 会話も次第に明瞭となり, 日常会話にも何ら支障なく, 経過良好である。
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