経済地理学年報
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49 巻, 2 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2003 年49 巻2 号 p. Cover1-
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2003 年49 巻2 号 p. Cover2-
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2003 年49 巻2 号 p. App1-
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • Koji MATSUHASHI
    原稿種別: 本文
    2003 年49 巻2 号 p. 115-118
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 富樫 幸一
    原稿種別: 本文
    2003 年49 巻2 号 p. 119-141
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    日本工業は1980年代までの競争優位を誇った時期から,1990年代には国内におけるバブル崩壊,国際的な円高や中国を始めとしたアジア諸国との競争の激化によって大きな変容を迫られた.この10年間を通じて工場数と雇用は減少を続けたが,出荷額と輪出額においては増減を示している.衣服など低付加価値部門における衰退は著しいものの,機械工業などでは新製品の開発や市場開拓,より生産性の高い技術や工程の導入によって競争力を維持しようと努力している.日本の産業組織の特徴であった企業間での横並び的な競争関係から,各企業における優位なコア部門への集中と劣位部門からの撤退,そしてグローバル化した日本企業の中における国内工業のより高度化した機能へのシフトが進められている.その空間的な帰結は,大都市圏の旧式工場や地方圏における不採算部門の双方からの撤退と,大都市周辺部や地方圏残存工場の高度化という,個別企業からみても地域的にも不均等なものとなっている.日本の中央に位置する岐阜県の工業を事例としてみると,繊維,衣服,陶磁器,刃物などの地場産業は,円高と不況の中で大きく工場数や雇用,輸出を減じている.他方では中堅企業はグローバル化に対応しつつ,独自製品の開発や市場開発,生産工程の改善などに取り組んでいる.さらに空間的な取引関係も広域化,国際化が進んでおり,狭域的な産業集積においては量的な規模的な縮小とその機能の低下と内部での企業の二極分化が生じている.アジア諸国への進出は,従来の系列取引を越えたビジネスチャンスとなっており,それが国内の事業にも反響をもたらしている.こうしたことからも,企業のグローバル化と地域経済の産業空洞化を単純な二律背反の関係と見ることはできない.既存の日本の経済地理学では,国内における市場分割型立地や,空間的な階層的分業関係が明らかにされてきた.しかし,最近のリストラクチャリングを通じて,企業間での合併・再編を通じた立地システムの合理化や工場閉鎖が進んでいる.さらに,グローバルな立地戦略の中での日本工業のプラットフォームの浮き上がりと,その中での個別戦略に応じた工場立地のダイナミズムが生じている結果,大都市圏と地方圏の空間的階層関係も,よりゆるやかでまだら模様の状態へと変化している.日本の産業立地政策も,大都市圏から地方圏への分散促進策から,グローバル競争の下での効率性重視と,大都市への再集中の容認へと転換した.産業クラスターなどの新たな集積政策が提示されているが,それ自体は上記のような企業行動と産業集積の変容の中では限界があると考えられる.国家レベルの産業政策の役割が経済のグローバル化の中で低下した一方で,地域レベルにおいては企業向の連携や,大学,自治体との協力関係を促すものへと代わっている.また地域政策自体も,従来の産業優先から,地域づくりを通じた社会的セーフティネットの整備や,環境保全などの枠組みを重視したものに変えていくことが必要であろう.
  • 箸本 健二
    原稿種別: 本文
    2003 年49 巻2 号 p. 142-158
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    情報化の進展は,製造業を含む流通システム全体に大きな影響を与えた.その具体的な内容として,次の3点を指摘することができる.第1は,消費財流通における「不確実性」の軽減である.消費財流通は,市場のニーズを予測し,一定の在庫を準備することで成立する.この点に関して情報化は,消費と生産のタイムラグを大幅に縮小することで,需要予測の精度を飛躍的に向上させ,市場の不確実性による過剰投資や在庫リスクを軽減した.第2は,OA化や物流システムにおけるFA化を通じたハードメリットの創出である.業務における省力化,省スペース化,業務時間の短縮などは,直接的あるいは間接的に,流通システム全体のコスト削減に寄与した.第3は,データベース化された情報を戦略的に活用することによるソフトメリットの創出である.こうした変化は,アドホックな取引情報に過ぎなかったPOSデータを,戦略性の高い情報資源へと進化させた.流通システムの情報化は,消費の動向をデータとして把握し,これに産業システムを適合させる戦略を加速させた.その過程で,必然的に,データの起点となるチェーンストアヘのパワーシフトが進行した.流通チャネルの主導権を得たチェーンストアは,自らの経営効率を高めると同時に,地域市場への浸透を深める政策を立案し,卸売業やメーカーをその戦略に組み込もうとした.たとえば,多頻度小ロット配送化は前者を,また,商圏への適応や多ブランド化は後者を代表する政策といえる.こうした政策は,在庫や配送費用など,流通システムの中で必然的に発生するリスクやコストを,小売業から卸売業・メーカーに転嫁することを意味している.このことは,ブランドのライフサイクルを短縮させ,多品種小量生産の引き金を引くと同時に,大量消費を前提とした大量生産体制という高度経済成長期の枠組みそのものを変化させる原因ともなった.小売業,とりわけチェーンストアヘのパワーシフトと,大量生産・大量消費体制の終焉は,メーカーの生産・出荷体制を変化させている.まず,多品種生産を維持するために,メーカーは生産拠点の集中化を進めている.その理由は1製品あたりの生産量が製品数の増加と反比例して減少するため,生産のスケールメリットを維持するために,各工場で集中的に生産した製品を全国に出荷する体制が不可欠だからである.こうした生産体制の変化は,これまで消費地立地型工業の典型とされてきたビール工業でも確認されている.このことは,共同物流やサプライチェーンマネジメントの導入など,増大する物流コストを庄縮する流通システムの再編に繋がっている.また,営業活動でも,戦略性が高いチェーンストアとの商談を,地方の支店・営業所から本社など上位組織に移管するなど,企業組織内部の再編も進んでいる.一方,小売業とメーカーとをつなぐ卸売業では,情報化の進展とともに急速な上位集中化が進行している.最後に,情報化を通じた流通システムヘの影響は,流通システム内部に留まらず,都市の機能や地域経済のあり方にも変化を及ぼしている.例えば,メーカーの支店・営業所や卸売業の販売額は,地方都市における重要な経済基盤である.それゆえ,メーカーの支店・営業所が本部に統合され,また卸売業の急速な上位集中化が進むことは,地方都市の弱体化に直結し,都市の階層構造や都市間競争のあり方にも影響を与えるであろう.
  • 荒木 一視
    原稿種別: 本文
    2003 年49 巻2 号 p. 159-179
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    本論の目的は,1990年代までのわが国のフードシステムの再編過程を地理学的な観点から検討し,その問題点を指摘するとともに,求められるフードシステムについて展望することである.また,その過程で,フードシステムの再編による農業地域構造の再編にも触れた.野菜を中心に見た1990年代までのわが国のフードシステムの地理的特徴は,地域・地方的なスケールのシステムから全国的なスケールのそれへの再編成ということができる.自県や自地方を中心として完結性の高かった野菜の供給体系(フードシステム)は,主産地形成の推進や輸送技術・輸送体系の整備,消費スタイルの変化などにともなって,東京を一つの極とする全国的な体系へと変貌した.言い換えれば,巨大都市の大規模需要に牽引された野菜の供給体系ということができる.その過程で,出荷を担う産地にも大きな変化が見られた.第1には東京への出荷を担ってきた関東地方の主要な産地県が出荷を安定的に伸ばしたこと,第2には早くから域外の消費地への出荷を行っていた長野県も安定して出荷を伸ばしたこと,第3には北海道や九州などの遠隔の産地が域外の大市場への出荷を通じて成長してきたことなどである.その一方,北陸や近畿,中国などの産地は急速に野菜供給地としての従来からの特質を失ってきたことが明らかになった.さらに1990年代後半以降は,全国的なスケールから国際的なスケールヘとの再編が加速する時期であった.この時期,わが国の野菜の輸入量は年を追って増加し,中国やアメリカ合衆国,ニュージーランド,韓国などが主要な対日輸出国としてあげられる.このような再編の過程で,様々な問題点も表出してきた.先に示したような出荷県間の格差が拡大しているということに加えて,消費者サイドからみても,いくつかの地理的課題が現れている.第1は,大分市と東京都の市場の卸売価格の比較で例証した価格の地域間格差の問題である.大分などローカルな市場では,自県産のシェアの高い品目ほど東京のそれよりも価格が安い反面で,自県産シェアが下がり北海道などの遠隔産地からの入荷シェアが高い品目では価格は東京のそれと拮抗し,東京の方が安い品目も見られた.第2は,松山市のスーパーで例証した高付加価値商品の調達の問題である.より高値が期待される大都市市場への出荷が優先される中で,地方の都市の卸売市場では充分な量の高付加価値商品が確保できないということが認められた.以上の諸点は大量生産・大量消費を軸としたフードシステムの構築を目指してきた中で顕在化したものである.確かに,このシステムは大きな市場である東京や大阪などの大都市では効率的で潤沢な野菜の安定供給を享受できるシステムであり,その過程で市場が必要とする大量の出荷量を賄える産地が成長した.しかし,地方の中小都市ではそのシステムが必ずしも効率的には機能していないこと,地域間に格差をもたらしていることに,地理学者は目を向けるべきである.大規模なシステムの欠点が各所で指摘されている今,新たなフードシステムが希求されている.それは,規模の経済を追求する形態のものではなく,多様な需要に応じて必要な食料を効率よく供給するものでなくてはならない.その意味では,ネットワーク型の供給体系が想定されるかも知れない.また,その文脈の中で,多様で少量の需要を効率的に満たす出荷者として,大規模システムの中では淘汰される中小の産地が再評価される.
  • 梶田 真
    原稿種別: 本文
    2003 年49 巻2 号 p. 180-195
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    バブル景気が崩壊した1990年代以降,わが国の建設業では大きな再編成が進みつつある.本稿は地理学的な観点から1980年代以降における建設業の動きを分析し,今後の動向を展望することを目的としている.本稿では特に土木業と公共投資の動きに注目する.オイルショック後の不況に対する1970年代後半の景気刺激策によって,1970年代の末期にわが国の財政は危機的な状況に陥る.1980年代に入ると欧米諸国では,小さな政府を志向したニューライトの台頭の中で公共投資が縮小し,工事内容でも維持・補修工事の比重が高まる.当時,わが国でも同様の動きが予想され,国はこのようなシナリオに基づいた建設業の産業ビジョンを発表する.しかし,バブル景気がはじまると建設需要は再び拡大し,さらに内需拡大を求める諸外国からの圧力によって公共投資額も再び増加した.これらの動きによって,わが国の建設業は1980年代に大きな再編成を経験することがなかった.しかし,1990年代に入って,バブル景気が崩壊すると民間需要は急速に縮小する.さらに,地価の大幅な下落によってゼネコン,特にバブル期に積極的に開発事業に乗り出した業者の経営状態は急速に悪化する.一方で,1970年代後半と同様に,国は1992年以降,毎年のように公共投資を中心とした景気刺激策を打ち出し,土木業中心の経営を行う地方の中小ゼネコンは好調な業績を上げた.地域的にも需要規模が急速に縮小した大都市圏と,民間需要の縮小を公共投資の拡大で補った地方圏との間で対照的な様相を呈する.1990年代後半に入ると長引く不況と,継続的に実施された景気刺激策によって国家財政は再び危機に陥る.当初,財政改革を主張する人々とさらなる景気刺激策を求める人々との間には激しい対立があった.しかし,1999年に公共投資額が減少に転じると,以後,わずか3年の間に公共投資額は10%以上も減少する.さらに,国は公共事業における事業コストの縮減と入札・契約改革を進め,再び建設業界の再編成を志向した産業ビジョンを発表する.市場の縮小によって経営状態が悪化した大手ゼネコンは事業コストの削減に乗り出し,情報化の進展による業者間競争の激化は,わが国の建設業の特徴の一つである,協力会組織の再編成をもたらしつつある.このように1990年代以降,わが国の建設業では大きな再編成が進んでいる.これは他産業において1980年代に生じた現象が,建設業ではバブル景気によって"延期された"ものと考えることができるだろう.
  • 原稿種別: 付録等
    2003 年49 巻2 号 p. App2-
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2003 年49 巻2 号 p. App3-
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2003 年49 巻2 号 p. Cover3-
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 表紙
    2003 年49 巻2 号 p. Cover4-
    発行日: 2003/05/31
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
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