日本イオン交換学会誌
Online ISSN : 1884-3360
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20 巻, 2 号
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一般論文
  • 高橋 博, 亀山 智明, 菊地 賢一
    2009 年 20 巻 2 号 p. 64-69
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/08/30
    ジャーナル フリー
    γ-アミノ酪酸と他のアミノ酸を含む酵素反応溶液からの γ-アミノ酪酸の分離を目的として,イオン交換膜を用いた電気透析法ならびに陽イオン交換膜を用いた拡散透析法におけるアミノ酸の膜透過特性を調べた。電気透析法によりグルタミン酸と γ-アミノ酪酸の分離を行った場合,pH 3 においては γ-アミノ酪酸が陽イオン交換膜を優先的に透過したが,グルタミン酸は透過せず,両アミノ酸の分離が達成された。次に陽イオン交換膜を用いる拡散透析法により γ-アミノ酪酸,アスパラギン酸,グルタミン酸の混合溶液を用いて透析操作を行った結果,これらのアミノ酸の膜透過速度はストリップ溶液中の電解質の種類と濃度により影響を受けた。さらに,米糠中の酵素によりグルタミン酸を γ-アミノ酪酸に転換した水溶液を用いて拡散透析を行った結果,γ-アミノ酪酸は優先的に陽イオン交換膜を透過し,酵素反応後の溶液から γ-アミノ酪酸を含むアミノ酸群が分離できることが明らかとなった。
受賞論文(平成 20 年度学術賞)
  • 岡田 哲男
    2009 年 20 巻 2 号 p. 70-78
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/08/30
    ジャーナル フリー
    イオン交換現象の理解を深めるためには,イオン交換を種々の観点から捉え,評価することが必要である。ここでは,筆者らが開発してきたイオン交換への種々のアプローチとして,クロマトグラフィー,X 線吸収微細構造 (XAFS),キャピラリー電気泳動,液液界面イオン移動ボルタンメトリー,音場-重力複合場を用いて得られた結果について概説する。これらの手法は,合成イオン交換体に限らず,ミセルや表面単分子膜などの分子集合体とイオンの相互作用などの広い意味でのイオン交換現象に適用が可能である。これまでに本誌で紹介されている XAFS を用いるイオン交換の構造的起源への言及は最小限に留め,その他の研究について述べる。
受賞論文(平成 20 年度功績賞)
特集「イオン交換と再処理・放射性廃棄物処理」第五回
  • 三村 均, 山岸 功
    2009 年 20 巻 2 号 p. 86-97
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/08/30
    ジャーナル フリー
    先進的再処理・放射性廃棄物処理においてはアクチノイド核種の選択的分離回収技術の高度化が重要な課題とされている。長寿命核種の核変換処理のための第一のステップであり,さらに核不拡散および廃棄物処分の負担軽減,環境負荷低減および資源化・有効利用の観点からも高度分離技術の開発は期待されている。イオン交換技術は,アクチノイド分離の先駆的な技術と位置づけられており,基礎的に選択性を評価するとともに,実用化に向けたイオン交換プロセスの合理化や簡素化の研究が各国で精力的に展開されている。近年より精密な核種分離手法の開発に期待がかけられており,選択的なイオン交換技術の高度化は極めて重要な意義を有している。
    本報では,(1)アクチノイド分離の目的と効果,(2)有望なイオン交換体の分離特性と耐久性,(3)先進的核種分離プロセスでのアクチノイド分離技術について解説する。
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