日本イオン交換学会誌
Online ISSN : 1884-3360
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21 巻, 1 号
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受賞論文
  • 三村 均
    2010 年 21 巻 1 号 p. 2-19
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/16
    ジャーナル フリー
    原子力バックエンド分野における再処理·高レベル放射性廃液処理の高度化において,核種選択性に優れたイオン交換法を主体とするコンパクトな分離·回収技術の開発が重要な課題とされている。高度核種分離手法の開発は,廃棄物の高減容化および再資源化を可能とし,先進的なサイクルシステムの構築および廃棄物処理の合理化にもつながる。核種の高度分離を達成するためには,新規な選択性吸着剤の設計·合成によるコンパクトで一貫した精密分離プロセスの開発が重要と考えられる。本研究では,コンパクトで高選択性を有する分離·回収プロセスを開発するための基礎研究として,ゾル·ゲル法により,アルギネートバイオポリマー担体を用い微小ナノ分離剤を内包する高機能性·高選択性ハイブリッドマイクロカプセルを設計·合成し,そのキャラクタリゼーションを行うとともに,原子力レアメタル Cs, Pd, Tc および Reの選択的吸着特性の解明および回収のためのクロマトグラフィー分離特性を評価し,実用化の可能性を検討した。
  • 井上 勝利
    2010 年 21 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/16
    ジャーナル フリー
    農林業等で発生するバイオマス廃棄物を利用した重金属の除去,有用元素の回収に関する筆者らの最近の研究について紹介した。様々なバイオマス廃棄物の中で本稿では特にミカンジュースカスを取り上げ,2つのタイプの吸着剤の調製とその利用方法について紹介した。1つはミカンジュースカス中のぺクチン酸を利用する方法で,飽和水酸化カルシウム水溶液を用いて生のジュースカスを処理して吸着剤(SOJR)を調製する。SOJRは鉛(II)等の陽イオンとして存在する重金属の吸着·除去に有効である。またこれにジルコニウム(IV)を吸着·担持したものを用いるとヒ素やリン等のオキソアニオンの吸着に有効である。もう1つは濃硫酸で生のジュースカスを処理して調製するものである。この吸着剤では塩酸中の金イオンのみが選択的に吸着され,金の粒子として回収される
一般論文
  • 関谷 裕太, 霜田 祐一, 梅野 太輔, 斎藤 恭一, 古本 五郎, 白瀧 浩伸, 篠原 直志, 久保田 昇
    原稿種別: 一般論文
    2010 年 21 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/16
    ジャーナル フリー
    グリシジルメタクリレートを放射線グラフト重合した後,亜硫酸ナトリウムを使うスルホン酸基導入によって,平均粒径35 μmのポリエチレン製粒子にカチオン交換ポリマーブラシを固定した。得られたカチオン交換粒子を充填したカラム(高さ 2 cm, 断面積 0.61 cm2)に,リゾチーム溶液を空間速度500∼2300 h-1で流通させた。リゾチームの平衡吸着容量および溶出率の点から,線量およびグラフト率としてそれぞれ200 kGyおよび100%で作製したカチオン交換粒子が優れていた。カチオン交換粒子を充填したカラムは,拡散物質移動抵抗が無視できるために,リゾチーム溶液の空間速度によらずに一定の動的吸着容量を示した。
  • Shigekazu USUDA, Ruiqin LIU, Yuezhou WEI, Yuanlai XU, Hiromichi YAMAZA ...
    2010 年 21 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/16
    ジャーナル フリー
    In order to develop a simple separation process by extraction chromatography of trivalent minor actinides (MA) and lanthanides (Ln), a novel macroporous silica-based R-BTP (BTP: 2,6–bis–(5,6–dialkyl–1,2,4–triazine–3–yl)–pyridine, R: isohexyl) extraction resin was synthesized by impregnating the R-BTP extractant into the pores of SiO2-P support particles. The adsorption property of simulated fission products including Ln was investigated with HNO3 solution onto the R-BTP extraction resin. It was found that Dy(III), probably similar adsorbability to MA (III), was dominantly adsorbed onto the resin in 2-4 M HNO3 solution at 50℃, compared with the other Ln (III). In addition, the chemical stability and thermal decomposition property of the resin were evaluated and the resin was resistant to HNO3 solution at ambient temperature.
解説
  • 諏訪 雅頼, 渡會 仁
    2010 年 21 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/16
    ジャーナル フリー
    ナノ·マイクロメートルサイズの微粒子を非侵襲で分析し,個々の微粒子の違いを観測する手法が現在求められている。筆者らの研究グループでは,物理的外場による微小作用力を利用した微粒子の新規な分離分析法の開発を行なってきている。小さい微粒子では,その表面に存在する分子が微粒子全体の物性に大きく寄与する。これは,微粒子のサイズに依存する。ここでは,このサイズ依存性に着目し,外部場として不均一磁場を用いた磁気泳動法により,水相中に分散した2-フルオロトルエン液滴の界面に吸着したDy(III)-カルボン酸錯体の検出法について解説する。
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