塩化トリオクチルメチルアンモニウム (TOMA) または塩化トリオクチルプロピルアンモウム (TOPA) を利用してAmberlite XAD-7にヘキサシアノ鉄 (II) 酸銅 (II) (CuFC) を担持した複合体を調製し, セシウム分離用イオン交換体としての特性を調べた。
CuFCの担持は, まずTOMA, TOPAを樹脂細孔に十分担持させたのち, ヘキサシアノ鉄 (II) 酸カリウム, 塩化銅 (II) の各水溶液でこの順に処理し, 遊離するTOMA, TOPAをアセトンで抽出して行った。この方法により, CuFC沈殿のほぼ全量を陰イオン交換基のない樹脂細孔内に析出させることができた。本複合体は, セシウムの分離に繰り返し使用した場合, CuFC/陰イオン交換樹脂複合体に見られる陰イオン交換基による悪影響を克服できることがわかった。すなわち, 本複合体の場合, セシウム脱着のための酸化処理に続いて, 還元処理を銅イオン無添加で行っても繰り返し使用可能な状態に再生することができた。さらに, 本複合体に対して脱着処理, 再生処理と同条件で予め酸化処理に続いて還元処理する前処理を施すことにより, 初回からセシウム吸着能が高く, 銅の溶離が少ないセシウムの繰り返し分離を達成できることがわかった。
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