日本イオン交換学会誌
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8 巻, 3 号
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  • ―セシウム分離用レドックス型複合イオン交換体 (4) ―
    谷原 紘一
    1997 年 8 巻 3 号 p. 136-144
    発行日: 1997/09/08
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    塩化トリオクチルメチルアンモニウム (TOMA) または塩化トリオクチルプロピルアンモウム (TOPA) を利用してAmberlite XAD-7にヘキサシアノ鉄 (II) 酸銅 (II) (CuFC) を担持した複合体を調製し, セシウム分離用イオン交換体としての特性を調べた。
    CuFCの担持は, まずTOMA, TOPAを樹脂細孔に十分担持させたのち, ヘキサシアノ鉄 (II) 酸カリウム, 塩化銅 (II) の各水溶液でこの順に処理し, 遊離するTOMA, TOPAをアセトンで抽出して行った。この方法により, CuFC沈殿のほぼ全量を陰イオン交換基のない樹脂細孔内に析出させることができた。本複合体は, セシウムの分離に繰り返し使用した場合, CuFC/陰イオン交換樹脂複合体に見られる陰イオン交換基による悪影響を克服できることがわかった。すなわち, 本複合体の場合, セシウム脱着のための酸化処理に続いて, 還元処理を銅イオン無添加で行っても繰り返し使用可能な状態に再生することができた。さらに, 本複合体に対して脱着処理, 再生処理と同条件で予め酸化処理に続いて還元処理する前処理を施すことにより, 初回からセシウム吸着能が高く, 銅の溶離が少ないセシウムの繰り返し分離を達成できることがわかった。
  • 大久保 祐司, 坂本 和夫, 鮎沢 信家, 鈴木 喬
    1997 年 8 巻 3 号 p. 145-153
    発行日: 1997/09/08
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    無電解ニッケルめっき浴中の亜リン酸イオンの除去特性について検討するために, 造粒した八ヶ岳系火山灰土壌GY2を用いて, モデル排水中での吸着特性の検討を行った。その結果, 次のようなことが判った。 (1) GY2の吸着反応の律速段階は, 粒径が1mm以下の場合, 初期段階では境膜内拡散過程であり, その後粒子内拡散過程であることが判明した。 (2) 粒径が2mm以上の場合, 律速段階は粒子内拡散過程であることが判明した。 (3) 亜リン酸イオンに対する, 直径0.64~1.68mmのGY2の総括物質移動容量係数KFavは7.90×10-3/sであり, この値は, 亜リン酸イオンを含むめっき排水に対する実用的な装置を求めるための, 理想的なカラムの設計に有用である。
  • 佐田 俊勝
    1997 年 8 巻 3 号 p. 154-165
    発行日: 1997/09/08
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜とポリピロールの複合膜をFe3+を用いた化学酸化重合によって合成し, 電気透析に於ける陽イオン間, 陰イオン間の相対輸率及びその他の膜性質を評価した。複合膜の合成は同じFe3+を用いた化学酸化重合であっても重合手順によって膜表面のみにポリピロールが存在する膜, 膜内に均一に存在する膜と違った膜構造のものが得られる。
    陽イオン交換膜の片面にポリピロールが存在するとNa+に比較してアルカリ土類金属イオンの透過量が減少する。これは緻密なポリピロール層による篩効果と一部ポリピロールの二級アミンによる静電的反発力に基づくものである。また陰イオン交換膜をポリピロールと複合化するとCl-に対するSO2-4, Br-の透過性が減少し, NO-3の透過性が増加する。陰イオンに対する篩効果と同時に陰イオンの水和状態が透過性に密接に関連している。陰イオン交換膜から得た複合膜は耐有機汚染性があり, また塩酸の電気透析で高い電流効率を示す。
    その他電子電導性とイオン電導性を併せ有する高分子膜状物としての若干の評価を示した。
    即ち, Li電池への利用, Fe3+-Fe2+のレドックス電池, 湿度センサーなどである。
  • 加納 博文, 馮 旗, 大井 健太
    1997 年 8 巻 3 号 p. 166-179
    発行日: 1997/09/08
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    マンガン酸化物への水素イオンやアルカリ金属イオンの挿入/抽出はイオン交換反応だけではなく, 酸化還元反応で進行する。酸化還元反応はマンガンが比較的容易に3価と4価に変わりうることに起因する。このような性質は, 電気化学反応に応用できる。すなわち, マンガン酸化物を電極にし, ある特定の電位を印加することによって, イオンの挿入/抽出反応を制御することが可能となる。スピネル型マンガン酸化物電極によるリチウムイオンの電気化学的挿入/抽出反応を例に挙げ, 電気化学的ホスト・ゲスト反応の基礎について記述した。
    スピネル型マンガン酸化物電極は優れたリチウムイオン選択電極として作用し, 電気化学的にリチウムイオンを挿入/抽出する。この反応機構はマンガンの3価/4価の酸化還元反応に基づいて説明できる。電位を掃引することによりリチウムイオンの挿入/抽出を制御でき, また, その移動過程を電気化学的に解析できる。
    一方, バーネサイト型マンガン酸化物電極によるアルカリ金属イオンの電気化学的インターカレーションは, スピネル型マンガン酸化物のリチウムイオン抽出/挿入反応とは異なる機構により進行する。その機構は, 酸化還元反応とイオン交換反応が組み合わさったものである。
  • (その2: オキシン型化学修飾キトサンの金属イオン吸着・分離特性)
    井上 勝利, 吉塚 和治, 馬場 由成
    1997 年 8 巻 3 号 p. 180-187
    発行日: 1997/09/08
    公開日: 2010/03/18
    ジャーナル フリー
    キトサンにオキシンの官能基を導入したオキシン型キトサンを合成した。さらにガリウムや鉄 (III) を鋳型とした鋳型架橋を行い不溶化した。このような吸着剤を用いて硫酸水溶液からのガリウム, インジウム, モリブデン, バナジウムなどのレアメタルと, 錫 (II) を添加した塩酸水溶液からのロジウム (III) の吸着・分離特性を調べ, 優れた特性を有することを見出した。
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