イオン交換は言うまでもなく, 優れた化学分離法であり, 同位体の分離までにも応用されうる。本論文は化学平衡において発生する同位体効果の原理から説き始め, イオン交換樹脂を用いた同位体分離への応用まで記述している。本研究では種々の条件下で実験をおこない同位体分離係数と理論段高さを実験から求めており, 特に
15N濃縮系のHETPについて流速, 吸着帯移動速度依存性を詳しく調べた。分離係数を求める研究はより重い元素, 遷移金属元素, 希土類元素, アクチノイド元素等の同位体効果へ拡大してきた。錯形成の同位体効果よりも, 酸化還元をともなう系がより大きな同位体効果を示すことから, 今後とも化学交換反応は有効な同位体分離技術として発展する可能性がある。
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