手の骨の主な疾患として,関節リウマチや骨粗鬆症がある.現在,これらの疾患の診断には,CR, CT, MRIによって撮影された画像情報により,骨密度値の計測などの画像診断が主に行われている.しかし,画像診断を行う際の関心領域の設定には,医療従事者によるマニュアル操作が主として行われており,操作者の個人差の問題から自動による関心領域の設定法が求められているが,研究報告はほとんど見られないのが現状である.そのため,関心領域の設定結果の再現性や精度に欠け,病変部の見落としの危険性が懸念されている.これらの問題点から,コンピュータを用いた関心領域の自動抽出・定量評価を行うためのシステム構築への要望が高まっている.本稿では,指骨の経時変化の定量化を行うための関心領域の抽出と位置合わせ手法を提案する.手法としては,手のCR画像から関心領域である指骨の領域を自動抽出し,過去・現在画像の位置合わせを行い,両画像間での経時変化を定量化するための,コンピュータ支援診断(CAD)システムの開発を行う.提案法を,同一被験者の過去および現在の実CR画像セットに適用した結果について述べる.
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