情報社会と高齢社会が同時に到来し,若年者だけではなく高齢者がWebサイトを利用して情報取得を行う機会が増加した.視覚機能は加齢とともに低下することが知られており,視覚を介した情報提供が中心となっている.Webサイトは,視覚特性の変化に配慮して視認性を高めることが重要となる.Webサイトの視認性に関しては,心理指標による検討が多く報告されているが,今後は生理指標による検討も必要となってくる.そこで,眼球運動に着目し,黙読時間,注視時間およびサッカードを用いて可読性の評価を行った.背景色より文字色の輝度が低いポジティブ配色とその反対のネガティブ配色の文章を読んでいるときの注視点計測を行った.その結果,両配色でコントラストが低下すると黙読時間と注視時間が長くなり,サッカードが小さくなる傾向が得られた.さらに,ネガティブ配色はポジティブ配色に比ベコントラスト低下時の可読性低下が大きくなった.以上のことから,コントラストが高いほど可読性が高く,ポジティブ配色が有効であることが示された.
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