日本乳癌検診学会誌
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12 巻, 2 号
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  • 鹿児島県の乳癌検診を振り返って
    金子 洋一
    2003 年 12 巻 2 号 p. 134-139
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    鹿児島県の乳癌検診は, 昭和50年 (1975年) から始まった。恩師故西満正教授 (前癌研附属病院院長) が鹿児島大学第一外科に赴任してきて, 鹿児島の乳癌の医療は10年遅れていると感じ, 医局員に乳癌検診を命じたことからであった。鹿児島県の乳癌検診の歴史を振り返ることで, 乳癌検診の少しずつではあるがグレードアップへの道のりについて考えてみたい。この中で, さらに今後グレードアップしていくための課題として考えていかなければならない問題点について論じてみたい。
  • 伊藤 末喜, 園尾 博司
    2003 年 12 巻 2 号 p. 140
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • -視・触診の省略について-
    伊藤 末喜, 安藝 史典
    2003 年 12 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高知県における乳癌集団検診は, 視触診により1973年に開始した。2001年までに延907,148名 (実人数156,721名) の検診を行った。発見乳癌は638名であり, 早期率は56.9%であった。初回検診での発見は216名 (早期率44.9%), 繰返し検診での発見は422名 (早期率63.0%) であった。受診率が30歳以上の対象婦人の15%に達した1985年頃から標準化死亡比が95から80前後に低下し, 検診効果がみられた。
    検診を通じて自己検診法が普及しており, 中間期癌198例の早期率は55.6%で, 検診発見癌のそれと遜色なく良好であった。また, 1982年から2001年までの間に治療した1,441例の原発性乳癌の37.1%に検診歴があり, その早期率は58.8%で, 検診歴のないものの早期率43.6%との間に大差がみられた。
    視触診の精度は検診医の質によるのであるが, 最近, 熟練した医師の確保が困難となり, マンモグラフィ検診の可能性を追求した。原発性乳癌231例についてマンモグラフィ二方向撮影のダブルチェックを行ったところ, 見落とし率は5.6%であった。普及した自己検診法をさらに徹底することにより, マンモ単独検診が可能なものと思われた。
  • 白水 光紀, 渡辺 良二, 古澤 秀実, 松 敬文, 広利 浩一, 中原 浩, 松永 忠東, 難波 滋子, 難波 清
    2003 年 12 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    【目的】当院の乳癌検診においては視触診を省略したマンモグラフィ (以下, MMG), 超音波 (以下, US) 併用検診を実施しているが, 視触診省略による問題点を検討した。
    【対象と方法】乳癌手術症例420例 (2000年1月より2001年12月) を用い, モダリティの組合せ別に乳癌発見率および組織型, 進行度 (リンパ節転移) を検討し, 乳癌検診においてどのモダリティの組合せが適当かを検討した。
    【結果】乳癌発見率は視触診のみ80.5%, MMGのみ85.2%, USのみ92.6%, 視触診+MMG 90.5%, 視触診+US 96.7%, MMG+US 98.6%であった。視触診+MMGでは40例が非発見となり, 内30例 (75%) が浸潤癌であった。視触診+USでは14例が非発見となり, 内6例 (42.9%) が浸潤癌であった。MMG+USでは6例が非発見となるがすべて非浸潤癌であり, 乳頭分泌症例が5例, Paget病が1例であった。
    【結語】MMG, US併用検診では, 乳頭分泌のみをチェックすれば, 視触診は省略できる。
  • MMG・US・視触診検診の結果から
    内田 賢, 山下 晃徳, 高倉 俊晴, 斎藤 妙子, 渡邊 周治, 神谷 憲太郎
    2003 年 12 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    [目的・対象] 1993年4月~2002年3月 (9年間) の検診発見乳癌65人を対象に, MMG検診に視・触診は省けるか否かを検討した。
    [結果] MMG, US, 視触診各々の乳癌発見の割合はMMG 87.7% (57人/65人), 超音波75.4% (49人/65人), 視触診55.4% (36人/65人) であった。MMGと超音波併用では98.5% (64人/65人), MMGと視触診併用では95.4% (62人/65人), 超音波と視触診併用では78.5% (51人/65人) であった。
    乳癌の見逃しは, MMGと超音波のみの検診では1例 (1.5%), MMGと視触診のみでは3例 (4.6%), 超音波と視触診のみでは14例 (21.5%) である。結論として, MMGに視触診を加えると, 57人から62人, 5人の乳癌が拾えることになる。
    [まとめ] MMGのみの検診では12%の見逃しが存在し, 検診には視触診がなお必要である。しかし, MMG, US併用検診では視触診を省くことが可能である。
  • -検診における視触診の意義 : MMG単独検診の可能性-
    喜島 祐子, 大脇 哲洋, 吉中 平次, 愛甲 孝, 金子 洋一
    2003 年 12 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    鹿児島県でのマンモグラフィ併用乳癌検診の結果を人的労力・経済効果の面からも検討した。40歳以上の女性にマンモグラフィ併用検診を導入した平成12, 13年度の癌発見率は0.16%, 0.18%と高率であった。年代別にみると, マンモグラフィ併用検診は40歳代においても有用であり, 早期発見に寄与していた。
    平成13年度の結果を用いて, 乳癌患者1名を発見するために要した費用を概算すると, マンモグラフィ検診では1,461,432円であった。同様にマンモグラフィ偽陰性例を発見するのに要した金額は1名あたり15,249,950円であった。さらに, 視触診を行うために派遣された医師ののべ人数は340人に及んだ。マンモグラフィ単独検診のモデル事業では1,945人から3人の癌が発見された (癌発見率0.15%) 。
    人的労力・経済効率・受診率向上などの面で, マンモグラフィ単独検診の可能性が示唆された。
  • 高橋 かおる, 西村 誠一郎, 多田 敬一郎, 蒔田 益次郎, 多田 隆士, 吉本 賢隆, 秋山 太, 坂元 吾偉, 霞 富士雄
    2003 年 12 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    【目的】検診マンモグラフィ (MMG) では発見できない乳癌の特徴と, 触診の役割を考える。【対象と方法】癌研における1999~2000年の入院手術症例のうち, 他院生検後と両側 (同時, 異時) 症例を除いた腫瘤触知乳癌987例中, スクリーニングMMG (一方向) では病変を指摘できない70例につき, 年齢, 触診径, 組織型, 発見動機を検討した。【結果】MMG所見なし70例は腫瘤触知乳癌全体の7.1%に相当したが, 50歳以上で3.7% (22/595) であるのに対し, 49歳以下では12.2% (48/392) であった。70例中, 30例 (43%) は触診径2cmを超え, 58例 (83%) が浸潤癌であった。94%が不均一高濃度または高濃度の乳腺で, 脂肪性は1例もなかった。患者の自己発見が24%, US発見が14%であった。【考察】MMG単独では腫瘤触知乳癌が見逃される可能性があり, 特に50歳未満で高率だった。必ずしも早期乳癌ではなくT2以上の浸潤癌が見逃される場合もあり, 注意を要する。6割は患者発見であり, 自己触診と精査施設受診の啓蒙がまず重要であるが, 約4分の1が医師の触診で見つかっていることから, 検診では視触診併用が望ましく, 50歳未満ではその役割が大きいと考えられた。
  • 柴田 亜希子, 高橋 達也, 深尾 彰, 松田 徹, 佐藤 幸雄, 大内 憲明
    2003 年 12 巻 2 号 p. 169
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    [目的] 視触診による乳がん検診の効果を再評価するために, 検診発見症例の予後について検討した。 [方法] 1989-1998年に山形県がん登録に登録された女性乳がん患者は2,746名であった。この集団をがんの発見契機に従って検診発見群と外来発見群の2群に分けて, 生存曲線の比較と, Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析を行った。
    [結果] 1998年末までの観察期間 (最長9.8年) において, 外来発見群と比較して, 検診発見群の生存率が統計学的に有意に高かった (p<0.001) 。年齢で層化した場合, 49歳以下の群では2群の生存率の差は小さかった。年齢, 臨床病期, 居住地域, 発見暦年を調整した検診発見群の外来発見群に対するハザード比は, 0.32 (95%信頼区間0.17-0.63) であった。 [考察] 富永班の多施設研究では, 視触診により発見された症例と外来発見症例との間で10年生存率に有意差を示さないとしていたが, 山形県に限定した本研究では有意な差を認めた。このことから, 視触診による検診は客観的評価が難しいため, 精度管理の面での地域差がある可能性が示唆された。
  • 生存率と感度からの検討
    小泉 亮, 大貫 幸二, 石田 孝宣, 武田 元博, 坪野 吉孝, 大内 憲明
    2003 年 12 巻 2 号 p. 170
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    [目的] 検診発見乳癌と外来発見乳癌の生存率比較およびモダリティ別の検診精度により, 乳癌検診における視触診の意義を検討した。 [対象と方法] 1989-98年の宮城県がん登録乳癌につき, 診断契機と予後を調査, 生存分析を行った。また2000-01年の宮城県対がん協会で実施された乳癌検診の結果に基づき, 視触診単独検診 (CBE), マンモグラフィ (MG) 併用検診の感度とMG併用検診におけるモダリティ別病変検出率を求めた。
    [結果] 10年生存率はMG併用群92.1%, CBE群91.5%, 外来発見群79.3%であり, 両検診群の生存率は外来発見群に比較して有意に優れていた (p<0.01) 。また乳癌検出感度はCBE 79%, MG併用93%であり, 併用検診におけるモダリティ別病変検出率はCBE 56%, MG 86%であった。 [考察] 視触診単独でも生存率改善効果は認められ, マンモグラフィで異常所見を認めず, 視触診で発見される症例も少なからず存在する。しかし, 検診精度を考慮すると視触診とマンモグラフィの併用が妥当である。
  • 伊藤 末喜, 園尾 博司
    2003 年 12 巻 2 号 p. 171-176
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
  • -それをどう考えるか-
    辻 一郎, 坪野 吉孝, 大内 憲明
    2003 年 12 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/08/17
    ジャーナル フリー
    デンマークの研究者Olsen & Gøtzscheが, 乳癌検診の有効性に関するメタアナリシス結果を2001年10月20日にCochrane LibraryとLancetに報告した。その報告は, 彼ら自身がLancet 2000年1月8日号に掲載した論文をさらに補強するものであり, その後の反響も大きかった。本稿では, Olsen & Gøtzscheの2001年論文を要約するとともに, その後の論争で新たに出されてきたデータや理論を紹介する。さらに2002年には乳癌検診に関するガイドラインが世界各地で改訂された。ここでは米国予防医学サービス特別委員会と米国立がん研究所Physician Data Queryという2つの独立したガイドラインについて, それぞれの検討過程と改訂版の特徴を提示する。これらをもとにわが国として教訓とすべきことを論じる。
  • 古妻 嘉一, 遠藤 登喜子, 岩瀬 拓士, 大貫 幸二, 永井 宏, 東野 英利子, 角田 博子, 大村 峯夫, 増田 慎三, 中谷 守一, ...
    2003 年 12 巻 2 号 p. 185-192
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ読影講習会の精度向上には, 種々の要因が満たされていることが必要である。講習会が多く開催されるにつれ, 精度が落ちてきていることを前報 (平成13年12月末までの12講習会) で報告した。今回は, 引き続き平成14年末までの19講習会の精度クリア成績を追加し, 精度管理に必要な講習会企画・運営上での解決策を検討した。平成14年の1年間に19講習会が開催され, 精度クリアできた講習会は15講習会 (79%) で, 報告5の精度クリア率よりも改善が見られた。受講者アンケートや講師アンケートの回答から, グループ講習の1単元時間の設定や講師間の事前の十分な打ち合わせ, さらに講師反省会など, 講習会の内容の充実を図ったためと考えられる。今回は, 平成14年に開催された全19講習会を基にして, 講習会の精度に影響を及ぼす受講者側の要因について検討した。精度は, 受講者年齢では50歳台まで, 専門科別では放射線科が, 受講前読影経験ではレベル2以上に, それぞれ良い傾向が見られた。受講者読影力の向上には, 自施設の技師が撮影技術講習会を受講している場合に良い影響を与えることが窺われた。今後は, 読影医と技師の緊密な連携による画質の向上についての検討も, 読影講習会の精度管理に必要な集計・解析事項であることが示唆された。
  • 赤川 元, 土橋 一慶
    2003 年 12 巻 2 号 p. 193-198
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    妊婦関連乳癌の早期発見を目的とした産婦人科医自身による, 連携診療としての妊婦乳房スクリーニングのあり方について検討した。「乳房チェック」外来受診者161名を対象に, 妊婦12~16週時に視・触診法 (座位と仰臥位) と乳房超音波検査の両法を全例に行った。硬結および腫瘤や超音波検査で嚢胞, 充実性腫瘤あるいは乳腺構造に乱れや乳管拡張を認める例に二次検査を施行した。二次検査は視・触診法とともに超音波・マンモグラフィ検査, 乳腺穿刺細胞診あるいは乳腺穿刺針生検を行った。スクリーニングの視・触診法で43例, 超音波検査のみで12例, 計55例に異常が発見され, 精密検査の結果, 線維腺腫14.5%, 嚢胞9.1%, 葉状腫瘍1.8%が診断された。今回, 検討した群からは乳癌を含めた悪性腫瘍は発見されなかった。以上の成績から, 視・触診法だけで乳房スクリーニングをすると, 妊娠による乳房変化のために腫瘤性病変を見落とすことが多くなると思われるので, 超音波検査法を併用した方がより好ましいと思われた。精密検査群には妊娠性変化による所見が多かったので, より妊娠早期にスクリーニングすべきであると思われた。
  • 画質と線量に影響を与える因子の解析
    田中 勇, 村上 典子, 畑田 俊和, 野村 純恵, 王丸 明子, 秋田 富二代, 豊永 真紀子, 満園 紫, 亀井 良子, 赤司 薫, 中 ...
    2003 年 12 巻 2 号 p. 199-208
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    平成12年4月から5月にかけて, 福岡県内で増感紙-フィルム系を採用してマンモグラフィを実施している62施設に対してアンケート調査を行った。内容は, 撮影条件, X線装置, 感光材料, 現像処理条件, 品質管理などである。58の施設 (94%) から回答が得られたので, これらのアンケートについて集計と解析を行った。また, 増感紙-フィルム系, グリッド, 現像条件, X線質などの平均乳腺線量や画質に影響を与える因子について, 次の2つの照射条件によって撮影を行い解析した。
    今回行った調査は, マンモグラフィを用いた乳癌検診の確立のためには有用であろう。
  • 豊永 真紀子, 東田 善治, 福居 重和, 酒本 司, 豊福 不可依
    2003 年 12 巻 2 号 p. 209-216
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    イメージングプレートを用いた新しいCR (computed radiography) マンモグラフィシステムが最近開発されており, 広く用いられている増感紙-フィルム系との比較や装置の評価が重要な問題となっている。
    本研究では, 50ミクロンのサンプリングピッチを有する新しいCRシステムの低コントラスト検出能について, コントラスト-ディーテル曲線を用いて比較した。また, このシステムの画像処理効果についても, image quality figure (IQF) を用いて評価した。
    今回の結果から, 同一線量で撮影したCRマンモシステムのコントラスト検出能は, 増感紙-フィルム系とほぼ同等の値を示した。また, 画像処理を行ったCR画像と画像処理を行わなかったCR画像には, 検出能に有意の差が見られなかった。
  • -病理組織標本との対比-
    西出 裕子, 春日 敏夫, 山道 昇, 畑 和則, 宮地 利明
    2003 年 12 巻 2 号 p. 217-223
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    高分解能の断層像を得ることが可能なmicro-focus X線をCTを用いて微細石灰化を有する3例の乳房切除標本を撮影し, 切除標本軟X線撮影や病理組織標本と対比することで, 微細石灰化の良悪性の鑑別における診断的価値について検討した。その結果, micro-CT画像は病理組織標本と対比することのできる解像力を有し, 脂肪と乳腺部のコントラストを明瞭に描出していた。また, 小葉癌の浸潤部を濃度不均一部として描出した。すべての症例において, マンモグラフィや病理組織標本より多くの微細石灰化を描出した。石灰化の3次元表示では, 乳腺症に伴う良性の石灰化が円形でそれぞれの関係が明瞭でなかったのに対し, 乳癌に伴う壊死型の石灰化では, 乳管の走行と分岐を明瞭に描出していた。以上より, micro-CTは, 切除標本を分割することなく内部の微細な構造を得ることが可能な診断法で, 臨床的価値は大きいと考えられた。
  • 黒住 昌史, 秋山 太, 市原 周, 小山 徹也, 越川 卓, 津田 均, 林 透, 森谷 卓也, 嵩 真佐子, 大内 憲明, 遠藤 登喜子
    2003 年 12 巻 2 号 p. 224-228
    発行日: 2003/06/20
    公開日: 2011/03/02
    ジャーナル フリー
    厚生労働省「50歳未満の適正な乳がん検診のあり方に関する研究」班では, 乳がん検診体制における病理診断登録の実状を把握する目的で, 「乳がん検診体制における病理診断の位置付け」に関するアンケート調査を行った。回収率は56%であり, 回答した27機関の全検診受診者数は72万人であった。紹介した病院から病理診断の報告を受けた機関は85.2%であり, 病理診断のための書式を有する機関も85.2%であった。しかし, 病理医が記載している機関は3.7%しかなく, 病理診断結果を独立した「病理診断書」として登録している機関も25.9%しかなかった。また, 本班で作成する予定の「病理診断登録」書式を74.1%の機関が使用する考えがあると回答した。このアンケート調査結果から, 欧米の「乳がん検診における病理診断登録システム」と同様の体制を作る必要があると考えた。
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