日本乳癌検診学会誌
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18 巻, 2 号
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第18回学術総会/会長講演
第18回学術総会/シンポジウム
マンモグラフィ検診の検証
  • 2009 年 18 巻 2 号 p. 115-116
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
  • ―受診率の大幅アップに向けて―
    前田 光哉
    2009 年 18 巻 2 号 p. 117-125
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    がん対策推進基本計画(平成19年策定)では,がん検診の受診率について,5年以内に50%以上(乳がん検診,大腸がん検診等)とすることを目標としている。
    平成21年度予算の概算要求においては,がん検診の受診率を向上させるため,(1)がん検診受診向上企業連携推進事業,(2)都道府県がん検診受診率向上対策事業,(3)エリア集中型がん検診受診促進モデル事業,(4)女性の健康対策事業,(5)がん検診受診向上指導事業,(6)がん検診精度管理向上支援事業を新たに要求している。今後とも,日本乳癌検診学会と連携しながら,さまざまながん対策を講じることにより,がん患者を含めた国民が,進行・再発といった,さまざまながんの病態に応じて,安心・納得できるがん医療を受けられるようにするなど,「がんを知り,がんと向き合い,がんに負けることのない社会」の実現をめざしていきたい。
  • 黒石 哲生
    2009 年 18 巻 2 号 p. 126-133
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    わが国では乳がん検診にマンモグラフィ検診が2000年に導入された。その根拠は世界の8つのRCT研究のメタ解析によっていた。しかし,わが国のマンモグラフィ検診が乳がん死亡率減少効果を示すことが問われている(検証)。それを評価するには,まずマンモグラフィ検診の普及が必要で,さらには検診受診率の大幅な向上が必要である。検診受診率が不十分な現時点では,マンモグラフィ検診の乳がん死亡率減少効果を評価するには時期尚早で,当面は検診精度を良くすることが重要と考える。
  • ―同時併用検診と要精検率低下策―
    大貫 幸二, 大内 憲明
    2009 年 18 巻 2 号 p. 134-141
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    日本では,1987年に視触診による乳癌検診が30歳以上に対して開始された。しかし,その後の研究で,日本人においても欧米と同様にマンモグラフィ検診は感度および早期乳癌比率が良いことが示され,2004年に厚生労働省から40歳以上に対してマンモグラフィ併用検診を行うよう通達が出された。現在の日本における課題は受診率の向上であるが,受診率が向上した場合,要精検率が高いと検診の不利益の部分が増加してしまう。感度を高く保ったまま要精検率を低下させるためには,同時併用検診が有効である。その考え方は,マンモグラフィ上で脂肪濃度の部分は触診で硬く触れても要精密検査としないというものである。同時併用検診により,視触診単独検診の要精検率が1.0%から0.7%に約30%の低下を示した。さらに,この方式はマンモグラフィ上の高濃度部分をよく触れることによって,感度の上昇が期待できる。また,マンモグラフィ単独の要精検率を低下させるためには二重読影で判定の分かれた症例に対する第三読影が有効である。
  • ―マンモグラフィ&超音波検査併用検診の成績から―
    市村 みゆき, 伊藤 登, 大窪 英明, 神尾 恵子, 中村 好宏, 鈴木 有美, 斎藤 シズ子, 渡邉 朋子, 黒川 徳子, 森久保 寛
    2009 年 18 巻 2 号 p. 142-149
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    栃木県保健衛生事業団では2000年度から2006年度の7年間でマンモグラフィ(MMG)と超音波検査(US)併用検診を延べ115,444名に実施し,確定癌は285例,発見率は0.25%であった。要精検率は年々上昇し,2006年度は11.6%となった。MMGにおいては当初より過去画像を参照していたが,USも2007年度より過去画像との参照が可能となり,この結果2008年度は8.0%(MMG 4.2%,US 4.7%)と減少した。検診機関として把握できた精検受診率は,2005年度以後は75%前後と低く,精度管理上問題となっている。確定癌を検査法別にみると,両者での検出は155例(55%),MMGのみは81例(28%),USのみは49例(17%)であった。TNM分類の病期0,I期割合は78%,病理学的リンパ節(n)転移割合は21%であった。年代別にみると,60歳代と70歳以上ではMMGの検出率が有意に高く,40歳代と50歳代では有意差はなかった。乳房の構成を5段階に分類し,検査法別にみると,脂肪性と乳腺散在-2でMMGの検出率がUSより有意に高かった。この結果から40歳代と50歳代および不均一高濃度と乳腺散在-1ではMMGとUSが補完的に機能しており,この年代や乳房の構成では両者の併用が望ましいと考えられた。マンモグラフィ検診が導入され9年が経過したが,効果的・効率的に検診を実施するための仕組づくりや検証を今後もさらに進めていく必要があると考える。
  • 川島 博子, 俵原 真理, 片桐 亜矢子, 吉野 裕司, 渡辺 博之, 井口 雅史, 横山 浩一, 羽柴 厚, 魚谷 知佳, 達 美奈子, ...
    2009 年 18 巻 2 号 p. 150-155
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    石川県では平成11年に3町をパイロットモデルとしてマンモグラフィ併用乳がん検診を開始し,平成16年より全市町村でマンモグラフィ併用検診が実施されている。平成19年度までの石川県の検診成績を検討した。
    平成11年度~19年度のマンモグラフィ併用乳がん検診の受診者は131,115名,要精検率13.8%,精検受診率89.3%,がん発見率0.30%,早期がん比率67.9%であった。
    石川県では読影医の選定における細かい配慮や,検診機関と読影医,また検診機関どうしの優れたチームワーク,撮影技師の検診読影現場への深い介入などにより検診の精度向上に努力している。これらの特徴を今後も活かしながら,受診者の増加にどう対応していくかが今後の課題である。
  • 森田 孝子, 丹羽 多恵, 鈴木 るり子, 須田 波子, 遠藤 登喜子
    2009 年 18 巻 2 号 p. 156
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    【はじめに】マンモグラフィ(MG)検診導入後の愛知県の乳がん検診の現状と問題点を明らかにする。【対象と方法】愛知県生活習慣病対策議会がん対策部会乳がん検診精度管理委員会の会議資料および愛知乳がん検診研究会(愛乳研)の読影結果を資料として検討をおこなった。【結果】対象者、全受診者数、受診率ともに平成15年度731,690人、130,691人、17.9%をピークとして減少している。MG検診は急増し、平成18年度には48,053人の受診者となった一方、平成18年度にも視触診のみの検診が19,604人あった。要精査率は平成16年度以降4%から6%へ増加しているが、同時にがん発見率(0.09%から0.22%)、早期乳がん割合(55%から65%)も増加した。愛乳研が関与している検診実施施設のMG読影について、平成15年度のMG検診受診者数33,772人から平成18年には96,913人へと急増している(企業検診も含む)。愛乳研の精査把握率は、市町村が県に報告した88%よりも低く60%台にとどまっていた。【考察】MG検診により乳がん検診全体の精度向上が認められるが、問題点も多かった。
  • 寺田 央, 岡崎 正敏, 遠藤 登喜子, 堀田 勝平, 逸見 典子, 八木 浩史, 篠原 範充, 木村 千明, 大貫 幸二, 東野 英利子, ...
    2009 年 18 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    マンモグラフィ検診では高品質のマンモグラムで精度の高い読影を行うことが求められている。そのためNPO法人精中委・施設画像評価委員会は,2004年9月からアナログ画像,デジタル画像の評価を共通の評価基準で行っている。しかし,画像評価を受けた施設はきわめて少数で,2008年8月現在で画像評価を受けて認定され,インターネット上に公開されている施設数は1,259施設で,マンモグラフィを保有している施設の35%に過ぎない。今後の課題として,精度管理評価を受けることが社会的な責務であることを認識して,検診施設のみならず,精密検査施設も含めすべてのマンモグラフィ検査施設が施設画像評価を受けることが望まれる。
  • 2009 年 18 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
原著
  • 丹羽 多恵, 須田 波子, 森田 孝子, 遠藤 登喜子
    2009 年 18 巻 2 号 p. 169-175
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    CR方式の検診デジタルマンモグラムのハードコピー(HC)とソフトコピー(SC)の所見の描出能の差異を比較した。平成18年9月から平成19年1月に出張検診で撮影されたデジタルマンモグラム969例のHC,SCそれぞれを精中委A認定医12名が分担し二重読影した結果,4回の読影のうち少なくとも1名がカテゴリー2以上とし,かつ4回のカテゴリーが完全には一致しなかった65例69所見を対象とした。所見の内訳は腫瘤13,局所的非対称性陰影(以下,FAD)39,石灰化15,構築の乱れ2。69所見を読影医12名中読影経験の豊富な3名により,同一人物のHCとSCを並べて比較し,所見の描出能を評価した。使用モニタは5M LCD。69所見中HCとSC間の見え方に差異があると思われたのは13所見(腫瘤1,FAD 6,石灰化6)。54所見はHCとSC間に描出能の差異はないと思われた。2所見は読影医間で評価の相違があった。石灰化はHCよりも明らかにSCの拡大により多く描出された。乳腺内のFADはSCで明るさとコントラストを変化させることにより濃度が強調され,過剰に拾い上げる傾向がある一方,乳腺外の淡い所見はコントラストなどを変化させても情報を読みとることが困難であった。SCでは所見の情報を十分に得るようビューワーソフトの機能を最大限に生かして読影しなければならない。デジタルマンモグラフィおよびソフトコピー診断は現在なお発展途上の技術であり,今後の展開が期待される。
  • 岡崎 寛子, 辻本 文雄, 太田 智行, 岡本 恭子, 印牧 義英, 中島 康雄, 岩谷 胤生, 緒方 晴樹, 太田 智彦, 福田 護, 前 ...
    2009 年 18 巻 2 号 p. 176-181
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    2005年1月~2007年10月の間に当院でMMGとUSを施行され,手術検体で非浸潤性乳管癌(DCIS)と診断された53症例を対象とし,各々カテゴリー3以上を正診として仮想検診感度を求め,両者の比較を行った。
    仮想検診感度は,MMGで71.7%(38/53),USで81.1%(43/53)と有意差は認めなかった。年齢別に解析した結果では,49歳以下でMMG 75.0%(21/28),US 82.1%(23/28),50歳以上ではMMG 68.0%(17/25),US 80.0%(20/25)であったが,有意差は認められなかった。USは,DCISの検出においてMMGに劣らなかった。また,53症例中,MMG・US何れの検査でも検出できたものは54.7%(29/53),MMGのみで検出できたものは17.0%(9/53),USのみで検出できたものは26.4%(14/53)であり,うち5例に点状高エコーを認めた。石灰化検出におけるUSの意義も検討すべき結果となった。また,何れかの検査で検出できた症例は98%(52/53)に達し,DCISの検出においても,MMGとUSは相補的な役割を果たすと考えられた。
  • 坂 佳奈子, 高梨 智子, 南澤 京子, 竹下 茂樹, 木下 雅雄, 高田 維茂, 佐藤 隆宣, 長束 美貴, 緒方 昭彦, 金 慶一, 西 ...
    2009 年 18 巻 2 号 p. 182-188
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    2003年度と2006年度の東京都内の事業所を対象とした職域検診と地域の住民検診について,年代,検診モダリティ,要精検率,癌発見率,陽性反応的中度について比較検討を行った。職業を持っている女性を対象としている職域検診では30歳代,40歳代の検診受診者が中心であった。検診モダリティでは,2003年度においては視触診単独検診が住民検診においても行われていたが,厚生労働省の通達により,40歳以上のマンモグラフィ検診が開始されてからは住民検診では90%以上がマンモグラフィに統一されてきている。しかしながら,職域検診では2006年度のデータにおいても視触診単独検診が24%見られた。職域検診は受診者の平均年齢が若く,40歳未満の受診者が2003年度で38.3%,2006年度でも35.7%であり,その検診モダリティは2006年度で視触診単独30.5%,マンモグラフィ35.9%,超音波30.5%とほぼ同数であり,30歳代の乳癌検診の指標が未だにないことに関連し,混乱が見られる。癌発見率は住民検診よりも職域検診の方が有意に低い結果となった。しかしながら,乳癌罹患数の多い40歳代,50歳代に限って検討すると,癌発見率に有意差はなかった。結論では,職域検診は住民検診に比べて,対象年齢や検診の方法などに住民検診と比較して相違があり癌発見率が低かったが,年代および検診方法を絞り込むと両者の間の差はなかった。今後の課題としては,職域検診は対象年齢を何歳からにするのか,その場合若年層の最適な検診方法は何であるのかなどを検討する必要があると考えられた。また,少なくとも40歳以上に関しては,住民検診にならった整備をしていくことで,より精度の高い,有効な検診となるのではないかと考えられた。
症例報告
  • 門馬 智之, 佐久間 威之, 松嵜 正實, 片方 直人, 渡辺 文明, 山口 佳子, 野水 整, 竹之下 誠一
    2009 年 18 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 2009/06/30
    公開日: 2009/11/05
    ジャーナル フリー
    乳腺葉状腫瘍と乳癌が同時同側乳房に合併することは稀である。これまで本邦では19例の報告があり,それらほとんどの受診動機は腫瘤の自覚であった。今回,地域MMG併用検診の触診で硬結を指摘され発見された乳腺葉状腫瘍合併Stage IV乳癌を経験した。症例は50歳代,女性。7年前の地域検診で微細石灰化あり,精密検査としてのステレオガイド下マンモトーム生検では乳腺症の診断であった。3年前と1年前の地域検診では異常は指摘されていなかった。今回の地域検診にて触診上硬結を指摘され,当院を受診し,右外側上部に5.0×4.5cmの硬結を触知し,右の腋窩リンパ節も触知した。MMGでは右乳房には線維腺腫の石灰化を思わせるポップコーン状石灰化を認めるのみであった(カテゴリー2)。超音波検査では辺縁不整な低エコー腫瘤影と石灰化が認められた。針生検では浸潤性乳管癌であり,胸部CTにて多発肺転移が見つかり,T2 N3 M1,Stgae IVと診断した。右乳房切除術(Bt+Ax)を行い,術後の病理組織診断では,葉状腫瘍を伴う浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌)で,リンパ節転移が24個中22個に認められた。術後は化学療法および放射線療法を施行している。葉状腫瘍を伴う乳癌で,地域乳癌検診を行っていたにもかかわらずStage IVにて発見された,教訓とすべき貴重な症例と考えられた。
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