徐波睡眠期に持続性棘徐波 (CSWS) が著しく出現するてんかん (ECSWS) の臨床的脳波学的特徴を明らかにするために, 1971年から1992年の間に岡山大学小児神経科において睡眠時脳波に著明な広汎性棘徐波を認めたために終夜睡眠ポリグラフを施行し, spike-wave indexが25%以上を示した29例について研究した. spikewave indexの程度によりI群85%以上 (9例), II群50~84% (12例), III群25~49% (8例) に分類しそれぞれ比較検討し, 以下の結果を得た.
1) CSWSの出現年齢, 消失年齢は3歳~15歳で3群間に差を認めなかった. CSWSの持続期間は, 1群に比しII群とIII群は有意に短期間であった.
2) ECSWSに合併してみられたてんかん発作は15歳までに消失し, 成人難治てんかんへの移行例はみられなかった.
3) 永続的な知的障害はspike-wave indexが50%以上の症例にみられ, 特にI群の全例に知的障害を認めた. CSWSの持続期間が2年以上であった症例では全例に知的障害が認められた.
4) ECSWSは国際分類 (ILAE) において未決定てんかんに分類されている. しかし, 臨床的脳波学的追跡研究により局在関連性てんかんの要素を多分に有することを指摘した.
抄録全体を表示