てんかん研究
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14 巻, 1 号
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  • 西林 尚祐
    1996 年 14 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1996/02/29
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    徐波睡眠期に持続性棘徐波 (CSWS) が著しく出現するてんかん (ECSWS) の臨床的脳波学的特徴を明らかにするために, 1971年から1992年の間に岡山大学小児神経科において睡眠時脳波に著明な広汎性棘徐波を認めたために終夜睡眠ポリグラフを施行し, spike-wave indexが25%以上を示した29例について研究した. spikewave indexの程度によりI群85%以上 (9例), II群50~84% (12例), III群25~49% (8例) に分類しそれぞれ比較検討し, 以下の結果を得た.
    1) CSWSの出現年齢, 消失年齢は3歳~15歳で3群間に差を認めなかった. CSWSの持続期間は, 1群に比しII群とIII群は有意に短期間であった.
    2) ECSWSに合併してみられたてんかん発作は15歳までに消失し, 成人難治てんかんへの移行例はみられなかった.
    3) 永続的な知的障害はspike-wave indexが50%以上の症例にみられ, 特にI群の全例に知的障害を認めた. CSWSの持続期間が2年以上であった症例では全例に知的障害が認められた.
    4) ECSWSは国際分類 (ILAE) において未決定てんかんに分類されている. しかし, 臨床的脳波学的追跡研究により局在関連性てんかんの要素を多分に有することを指摘した.
  • 川崎 淳, 兼本 浩祐, 西川 覚, 中川 嘉洋, 武内 重二, 河合 逸雄
    1996 年 14 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 1996/02/29
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    難治側頭葉てんかんに対する発作時脳波検査の有用性を検討する目的で術後1年以上CPSの抑制された10例を対象とし、蝶形骨誘導を含む頭皮上脳波記録10例38発作について、3名の判読者が独立して判読した。その結果CPS時の律動的変化が最も多く出現し、起始側は56~80%の発作で手術側と一致した。脳波上側性を判断できた発作に限ればすべて手術側と一致した。振幅の左右差による判定は手術側との一致率、判読者間の信頼性とも起始側による判定に及ぼなかった。また発作後の徐波は出現が少ない上に、側性の判定が困難なものが多く見られた。判読基準を明確にすることで発作時頭皮上脳波の有用性がより高まることが示唆された。
  • 金澤 治, 長藤 洋
    1996 年 14 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1996/02/29
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    9歳女児の睡眠中の異常行動を脳波・ビデオで同時記録し検討した結果, 前頭葉起源の発作と考えられた. 発作は就寝1時間後より頻発し, 両眼を強く閉じ, 両上肢を挙上し, 全身を律動的に揺するようだった. 知能は正常で, 神経学的な異状はなく, 頭部CT, MRI, SPECTは全て正常だった. 発作間欠期睡眠脳波で中心部右側家優位に低振幅鋭波が見られた. 終夜脳波で17回の完全な発作が記録され, 一部の発作で右前頭部起始と思われた. 抗てんかん薬投与による発作抑制は極めて容易だった. 本例はてんかんの家族歴はないが, 1993年にVigevano and Fuscoが提唱した前頭葉起源の小児良性部分てんかんと思われた. 本例は本邦最初の上記疾患例報告と思われるが, 非てんかん性発作として見逃されている例が多いかも知れない.
  • 左 光治, 清水 章, 広石 恭子, 豊田 裕敬, 深井 光浩, 岡村 武彦, 堺 景子, 米田 博, 堺 俊明, 辰 吉光, 楢林 勇
    1996 年 14 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1996/02/29
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    123I-1MP SPECTにて逆再分布現象を示した局在関連性てんかんの2症例を経験した. いずれも発作の数時間後に検査を受けており, 発作コントロールを行って後の検査では逆再分布が認められなかったことから, 逆再分布現象がてんかん原焦点における発作直後のIMPの停滞能の異常を反映している可能性が考えられた.
    2症例とも逆再分布現象が生じた部位が発作間欠期頭皮上脳波所見やMRI所見から推測されるてんかん原焦点部位と一致することから, 発作直後の逆再分布現象を利用したてんかん原焦点の局在決定の可能性が示唆された.
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