若年ミオクロニーてんかん(JME)は両側上肢のミオクロニー発作を主徴とするてんかんである。ミオクロニー発作は時に下肢に及び転倒を引き起こすがJ M Eの発作重積状態は稀である。今回我々は発作回数が少なく発作時にしばしばミオクロニー発作重積状態(myoclonic status epilepticus:MSE)となるためP N E Sとの鑑別が必要であったJ M Eの1例を経験した。症例は18歳男性。15歳時、右手のパンを落とした後、全身に振戦様のふるえがみられる発作で発症しそれ以降ピクつきや体が硬くなる発作が3年間で5回程あったものの持続時間が長かったことなどからP N E Sの可能性も考えられていた。しかし18歳時に上記発作が繰り返し起こり救急搬送された際に発作の様子の観察や発作時脳波の記録に成功しMSEと診断された。PNESは専門家でも鑑別が容易でないことがあり、MSEは本症例のようにPNESと誤認される可能性がある。PNESとてんかんの鑑別における発作時脳波同時記録の重要性が改めて示唆された。