てんかん研究
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17 巻, 3 号
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  • 病態と診断: 遺伝子診断ならびに神経生理学的の最近の進歩を中心として
    大沼 悌一
    1999 年 17 巻 3 号 p. 153-172
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    ミオクローヌスてんかん (PME) は顔面、四肢にミオクロニーを示し、かつてんかん発作 (ミオクロニー発作、GTC) や小脳性失調症などを合併する進行性の神経疾患である。ミオクロニーは不規則で、非律動的で急速に起こる瞬間的・電撃的筋収縮で動作開始や肢位保持時などで悪化する。多くは光過敏である。分子遺伝学の進歩はPMEの診断、病因、分類に著しい進歩をもたらした。Lafora病、Neuronal Ceroid Lipofuscinosis (CLN) 、Sialidosis、Mitochondria病、Unverricht-Lundborg病 (UL病) および、特に日本に多いDRPLAとPME関連疾患であるBenign Adult Familial Myoclonus Epilepsy (BAFME) について特に分子遺伝学的、電気生理学的所見を中心に述べた。最近BAFMEの病的遺伝子の座は染色体8q23.3-24.1にあることがわかった。DRPLAは他のPMEとは異なり、誘発電位 (SEP、ABP) の振幅低下があり、ミオクローヌスは皮質下起源が疑われた。
  • 渡辺 みづほ, 高橋 幸利, 平野 明子, 寺田 知新, 山本 裕, 加藤 義弘, 磯貝 光治, 三輪 由香, 近藤 直実
    1999 年 17 巻 3 号 p. 173-179
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    てんかん重積状態の2カ月後にWest症候群を発病した1例を経験した。発作問欠時脳波では、てんかん重積状態の約1カ月後に多焦点性の棘波が出現、2カ月後にはヒプスアリスミアを呈するようになり、それとともにepileptic spasmsが出現した。West症候群発病時のMRI (magnetic resonance imaging) では両側前頭葉を中心とした軽度の脳萎縮が出現、発作間欠時SPECT (single photon-emission computed tomography) でも両側前頭葉の血流低下が見られた。発作はビタミンB6投与によって消失した。West症候群発病前の精神運動発達は正常であったが、その後軽度の言語発達遅滞が出現してきている。生後11カ月のてんかん重積状態がWest症候群の発病に寄与した可能性が考えられた。
  • 福智 寿彦, 松田 博史, 加藤 昌明
    1999 年 17 巻 3 号 p. 180-189
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    Statistical Parametric Mapping (SPM) による画像統計解析手法を前頭葉てんかん患者の発作間欠期脳血流SPECTに応用し、てんかん焦点同定の精度向上について検討した。対象は、患者23例と同年齢の健常者49例である。個々の脳血流を健常者群全体のそれとSPMにより比較すると、異常部位を前頭葉に限局して検出しえたものが12例存在し、視察による評価 (4例) よりも高率であった。臨床症状と脳波所見から、第1群: 背外側・前頭中心発作3例、第2群: 補足運動野発作2例、第3群: 前頭葉底部・帯状回発作18例の3群に区分したところ、SPMで個々に得られた血流異常部位と、この分類の一致率は67%であった。SPMにより、抗てんかん薬の影響を除去すると第3群において、臨床的焦点部位と一致して血流低下部位が検出された。SPECTの有用性が低いとされている前頭葉てんかんの発作間欠期においても、SPMによる解析は臨床上、有意義な情報を提供しうることが判明した。
  • 相川 博, 山内 俊雄, 小出 博義, 岡島 宏明
    1999 年 17 巻 3 号 p. 190-199
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    電子スクリーンゲーム (Electronic Screen Game: ESG) 遊技中にミオクロニー発作あるいは強直間代発作がみられた2症例について、臨床的検討と特殊賦活脳波検査を行い、ゲームと発作との関連を検討した。症例1ではアクション系ゲームでのみ、症例2ではパズル系ゲームでのみ発作が認められた。ゲーム以外では症例1では楽器 (ピアノ、縦笛) の演奏中に、症例2では将棋を指していた時に発作がみられた。2症例とも間歓性光刺激では突発性異常脳波はみられなかったが、これまでに発作を起こしたことのあるゲームを施行中には突発性異常脳波の明瞭な増加が認められた。従来より電子ゲームプレイ中に発作が誘発される機序としては、スクリーン上の光が誘発因子として働く光誘発発作であることが多いと報告されているが、この2症例は認知や運動などのゲームの内容と関連する「純粋なESG発作」と考えられた。
  • 白石 秀明, 渡邉 裕貴, 渡邉 雅子, 重松 秀夫, 山田 康一郎, 藤原 建樹, 八木 和一
    1999 年 17 巻 3 号 p. 200-204
    発行日: 1999/10/31
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    前頭葉内側表面に限局性皮質病変を持つ、前頭葉てんかん患者について、発作問欠時、発作時の脳磁図所見が、この病変近傍のてんかん原性を示唆した症例を経験した。症例は17歳女性で、1歳2ヵ月時より両口角が下に引かれ、四肢の伸展強直を来たす発作が日単位で持続していた。発作間欠時脳波ではFz~Czの棘波、あるいは両側広汎性に出現する棘波を認めた。発作時脳波では上記の発作問欠時のてんかん波が増加した後、全野で活動が抑制され、その後広汎性の棘律動が出現し、脳波上発作起始部位の同定は不可能であった。MRI上、左前頭葉内側皮質に限局性病変を認め、脳磁図において発作問欠時に出現する棘波の等価電流双極子を求めたところ、病変近傍に双極子の局在が認められた。脳磁図は空間分解能に優れる特性から、大脳半球内側表面でのてんかん原性焦点の検索において有用であると考えた。
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