てんかん研究
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18 巻, 1 号
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  • 栗原 まな, 熊谷 公明, 中江 陽一郎
    2000 年 18 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    てんかん発症以前は歩行可能であったにもかかわらず、てんかん発症後、寝たきりの状態に退行した11例を対象とし、背景因子、てんかん類型・治療経過について比較検討した。てんかん発症後6年未満で寝たきりの状態に退行した群では、てんかん発作は1日1回未満に減らず、未決定てんかん・全般てんかんが多く、mobility (機能面からみた移動能力) の低下は、てんかんそのものないしは抗てんかん薬の影響による活動性や筋緊張の低下に由来していた。6年以上たって寝たきりになった群では、全般てんかん・局在関連性てんかんが多く、前者より発作はコントロールしやすかったが、mobility低下の要因には、運動量や介助量の減少といった社会的要素が加わっていた。てんかん患者におけるmobility低下を防ぐためには、発症早期からの適切なてんかん治療、特に抗てんかん薬の適正使用に加え、二次障害に対する身体的・精神的・社会的なリハビリテーションが必要である。
  • 木村 清次, 大槻 則行, 根津 敦夫
    2000 年 18 巻 1 号 p. 10-14
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2013/02/25
    ジャーナル フリー
    睡眠で自然に消失する非痙攣性てんかん発作重積状態 (NCSE) のみを示す2例を報告した。(1) NCSEのみを反復、(2) NCSEは睡眠で自然に消失、(3) 痙攣発作既往なし、(4) 非発作時脳波は前頭部優位の棘・多棘徐波が主、(5) 発作時脳波は全般性棘・多棘徐波結合の連続、(6) 脳画像は正常、であった。2例のNCSE時は軽度の意識減損と運動の拙劣さのみで、感情変化や自動症はみられなかった。一般的にはNCSEは救急治療の対象になり、予後が不良な例が多いが、睡眠で改善することや抗てんかん薬によく反応したことから、今回の2例の予後は良好である可能性が高いと思われた。
  • 浅井 禎之, 中村 文裕, 武田 洋司, 小林 淳子, 小山 司, 志賀 哲
    2000 年 18 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    症例は20歳、男性。日中覚醒時の動悸や上腹部不快感を伴う単純部分発作と、早朝睡眠時の複雑な身振り自動症を呈する複雑部分発作が頻回に出現した。入院の上、発作時ビデオ脳波同時記録検査、発作時SPECT検査を施行した。発作時SPECT検査では、複雑部分発作の開始と同時に99mTc-ECDを静脈内投与し、得られた画像をUNIXプログラムによりMRI画像と重ね合せ処理した。その結果、複雑部分発作開始直後の両側前頭葉、特に右前頭葉眼窩面および内側面の高集積像を鮮明にとらえることができた。
  • 音成 龍司, 市川 俊夫, 三浦 夕美子, 楠原 智彦
    2000 年 18 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2000/02/29
    公開日: 2012/07/17
    ジャーナル フリー
    てんかん外科治療術前評価のため入院となり、抗てんかん剤を減量し、長時問脳波ビデオモニターを行った局在関連性てんかん (17名) と特発性全般てんかん (7名) において、抗てんかん剤減量前後の45分間の脳波記録におけるてんかん型波形の出現頻度を測定した。
    抗てんかん剤の減量によって、局在関連性てんかんの場合、棘波の出現頻度は増加しなかったが、全般てんかんの場合、棘波の出現頻度は増加した。発作間欠期の棘波の抗てんかん剤に対する反応は、局在関連性てんかんと全般性てんかんで異なった。
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