てんかん研究
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22 巻, 2 号
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原著
  • 山本 仁, 依田 卓, 村上 浩史, 神山 紀子, 小林 憲昭, 宮本 雄策, 福田 美穂
    2004 年 22 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/31
    ジャーナル 認証あり
    未熟児、新生児のけいれん重積に対するLidocaine (Lid) 投与の効果を後方視的に検討した。Lidは生後0∼3日の間に使用した。対象者は「けいれんが持続または群発した未熟児、新生児で通常の抗けいれん薬投与を含めけいれんに対して何らかの対処を必要とした者のうち、けいれんが停止せずLidを使用した者」とした。最初にLid (静注用キシロカイン) 2mg/kg/doseを静注後、2∼4mg/kg/hrで持続静注した。対象者の生下時体重は580∼3, 200g、在胎週数は25∼40週の間に分布していた。9例中5例 (56%) に有効であったが、うち1例は徐脈のため投与中止となった。有効例は、低酸素性虚血性脳症の例が多く、染色体異常や脳形成異常に伴うものには無効であった。副作用は併用薬との薬物相互作用が疑われた。未熟児、新生児のけいれん重積に対しても今後症例によりLidの使用を検討すべきと考えられた。
  • 三浦 清邦, 熊谷 俊幸, 鈴木 淑子, 松本 昭子, 加藤 純爾, 石原 尚子, 山田 裕一, 孫田 信一, 若松 延昭, 山中 勗, 長 ...
    2004 年 22 巻 2 号 p. 101-107
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/31
    ジャーナル 認証あり
    重度精神遅滞、特異顔貌を特徴とするSIP1(Smad interacting protein 1)異常症の3幼児例を報告した。2例が男児で、1例が女児であった。3例ともてんかん発症以前から経過観察できた。1例はHirschsprung病を合併していた。複雑部分発作をそれぞれ3歳、4歳1カ月、2歳1カ月で発症した。2例は嘔気・嘔吐を主体とする複雑部分発作であった。2例は熱性けいれんの発症が先行した。3例とも重積の既往がみられた。MRIは1例は正常範囲、2例で両側側脳室下角の拡大と脳梁の低形成を認めた。3例とも正常脳波の時期を経て局在性発作波を呈した後、前頭葉優位の不規則高振幅徐波・棘徐波が連続する所見を、それぞれ2歳10カ月、5歳3カ月、3歳3カ月から示すようになった。特異顔貌と経過と遺伝子検索からSIP1異常症が診断されれば、発作重積の可能性を念頭に入れて経過観察をする必要がある。
  • 吉宗 真治
    2004 年 22 巻 2 号 p. 108-115
    発行日: 2004年
    公開日: 2004/08/31
    ジャーナル 認証あり
    完成した扁桃核キンドリングラットに対する非定型抗精神病薬の影響について検討した。雄性SDラットにおいて通常の扁桃核キンドリング完成後、全般発作誘発閾値強度刺激による発作に対する各種抗精神病薬の影響について検討した。quetiapine高用量(50 mg/kg)投与により前肢クローヌス潜時の延長、clozapine高用量(50 mg/kg)投与により発作段階の減退と後発射持続時間の短縮、olanzapine高用量(20 mg/kg)投与により後発射持続時間の短縮がみられた。haloperidol、zotepine、risperidone、perospirone投与では有意な変化はなかった。今回の結果から一旦起こった辺縁系由来の発作自体に対してはclozapine、olanzapineは抑制的に働く可能性が示唆された。
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